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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える中外製薬が目指す理想の情報処方 〜必要なとき、必要な相手に、必要な情報を提供する 『調査・副作用データベースツール』〜 第1回

中外製薬が目指す理想の情報処方 〜必要なとき、必要な相手に、必要な情報を提供する 『調査・副作用データベースツール』〜 第1回

中外製薬 執行役員 信頼性保証ユニット長 兼 医薬安全性本部長 総括製造販売責任者 大箸義章 氏
中外製薬 医薬品安全性本部 安全性リアルワールドデータサイエンス部長 製造販売後調査等管理責任者 青木事成 氏
中外製薬 医薬品安全性本部 安全性コミュニケーション部 副部長 安全性情報戦略グループ グループマネジャー 竹本信也 氏

2017.12.12 取材:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 構成:同取材班 竹林篤実
大箸 義章 氏
大箸 義章(おおはし よしあき)氏
1960年生まれ。1988年東京薬科大学 大学院博士課程後期終了(学位:薬学博士)、同年 中外製薬に入社、国際開発部に配属。1992年~1997年 ロンドン勤務。1997年医薬開発推進部 グループマネジャー/グローバルプロジェクトリーダー。2002年 薬事部、薬事企画グループマネジャー。2004年 信頼性保証推進部長(総括責代行)。2009年 安全性推進部長(安責代行)。2011年4月 Global PV Head、安全管理責任者。2013年 医薬安全性本部長。2015年1月 執行役員 医薬安全性本部長、同年3月執行役員 信頼性保証ユニット長 兼 医薬安全性本部長、総括製造販売責任者
○専門
国内外の製薬業における製品開発、申請、販売、薬事制度。薬剤師
○社外活動
日本薬剤師会 製薬薬剤師部会常任幹事 日本医薬品安全性学会評議員 RAD-AR(くすりの適正使用協議会)理事 日本医薬情報センター(JAPIC)理事 国際医学情報センター理事
青木 事成 氏
青木 事成(あおき ことなり)氏
1965年生まれ。1991年日本大学理工学部大学院修了(工学修士)、同年、日本ロシュ入社。戦略的アライアンスにより2002年より中外製薬勤務となる。入社以来、一貫して医薬安全性部門に所属。2017年現在、安全性リアルワールドデータサイエンス部長 兼 疫学グループマネジャー 兼 製造販売後調査管理責任者
○専門
薬剤疫学 生物統計(6Bios卒) プログラミング データマネジメント
○社外活動
日本薬剤疫学会評議員、ファーマコビジランス・スペシャリスト 日本臨床疫学会上席専門家 レギュラトリーサイエンス財団データサイエンス・アドバイザリー委員、PV分野・MA分野エキスパート 日本製薬団体連合会(日薬連)安全対策WT3(薬剤疫学・医療データ活用促進)リーダー 日本製薬工業協会(製薬協)委員会TF1(医療データベースの活用)リーダー 日本製薬工業協会(製薬協)PMS部会TF3(GPSP省令改訂タスク)アドバイザー 医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET)関連 日薬連より製薬企業代表として参画 講演、座長、パネリスト、執筆等、社外活動多数
竹本信也 氏
竹本信也(たけもと しんや)氏
1978年生まれ。2002年 東京大学大学院総合文化研究科修了(学術修士)、同年、中外製薬に入社。入社以来、一貫して医薬安全性部門に所属。2007年 ファーマコビジランス部。2011~2013年 F. Hoffmann-La Roche(スイス・バーゼル本社)Safety Scientist。2014年 安全性推進部安全性コミュニケーショングループ。2017年 安全性コミュニケーション部 副部長 安全性情報戦略グループ グループマネジャー(現在に至る)
○専門
医薬品のリスクコミュニケーション 医薬品リスク管理計画(RMP) 薬剤師
○社外活動 
日本製薬工業協会(製薬協)PMS部会KT1(RMP)リーダーとして、RMPに関するガイダンス作成、外部講演多数

中外製薬は、独自に開発した『調査・副作用データベースツール』を使い、医療関係者に対して医薬品の安全性に関する情報提供を行っている。MRが収集した副作用情報などをデータベース化し、“必要なとき、必要な相手に、必要な情報を提供”する。このツールの導入に合わせて同社は、全国を36エリアに細分化し、各地域の特性に応じた医療提供体制の構築にも取り組んでいる。

連載2回の第1回は、製薬企業の副作用情報の収集の方法、医師や薬剤師が求める情報とは何か、さらに調査・副作用データベースツール開発の経緯などについて、中外製薬・信頼性保証ユニット長 兼 医薬安全性本部長 総括製造販売責任者の大箸義章氏、医薬品安全性本部 安全性リアルワールドデータサイエンス部長 製造販売後調査等管理責任者の青木事成氏、同本部 安全性コミュニケーション部 副部長 安全性情報戦略グループ グループマネジャーの竹本信也氏にお話を伺った。

年間約16万件、
リアルワールドのビッグデータ

製薬企業は、自社製品に関する副作用情報を集めていますが、どのように情報収集しているのでしょうか。

大箸 まず製薬企業には、自社製品の副作用に関する情報を収集し、厚生労働省に報告する義務があります。弊社が収集している情報は、国内外・治験から市販後まで合わせて年間約16万件程度です。収集した情報は翻訳し、海外にも送ります。年間約16万件、6年も経てば100万件近くにもなりますから、リアルワールドでのビッグデータといえるでしょう。

これら副作用に関する情報は、製品の上市後は主に次の2つの経路によって集められます。一つは製薬企業が収集するものであり、製造後販売調査(PMS:Post Marketing Surveillance)によるものと自発報告があります。治験を経て厚生労働省の承認を得た薬剤は、新薬として使われるようになります。ただし、治験による使用経験だけではデータ数が十分ではなく、患者背景も限られています。また、日常診療で使われて初めてわかる副作用もあります。こうした市販後の情報収集のための調査がPMSです。一方、医療関係者から副作用の情報を収集した場合、その報告が義務づけられており、これは自発報告と呼ばれます。

一方で、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度により、医療関係者も、医療の現場で発生する副作用などの情報を厚生労働省に報告しています。情報の報告窓口は、平成26年11月25日より独立行政法人医薬品医療機器統合機構(PMDA)となりました。これは「医療機関報告」と呼ばれ、主に医師、薬剤師による自発的な副作用報告ですが、こうした情報も当該企業に入ってきます。

青木 少し補足すると、製薬企業の自発報告は製薬企業に課せられた義務であり、医師等による医療機関報告はあくまでも努力目標です。加えて、集まる情報内容にも違いがあります。PMSで集める情報は、副作用情報に限定されていません。一方、自発報告が行われるのは、副作用が起こったケースのみです。

収集された副作用情報は、医師などにフィードバックされているのでしょうか。

大箸 従来は、特定の医薬品に関するPMSの結果を集計してまとめたものを、MRが医師に提供していました。しかし、その類の情報は必ずしも医師が求めているものとはいえません。何しろ多忙ゆえに、添付文書でさえ細部まで目を通す時間のないのが医師の実態です。自分が処方して患者に副作用が出た医薬品ならともかく、他の薬の副作用情報に医師が関心を持つことはまずありません。ただ、副作用情報に対して医師が全然関心がないかといえば、それも全く逆です。むしろ患者と向き合う医師や薬剤師にとって、副作用情報は極めて重要な情報です。

目の前の患者に
適切で安全な薬を処方するために

医師や薬剤師は、どのような情報を求めていますか。

大箸 現場で求められているのは「情報処方」。これが長い時間をかけて現場の先生方に対しリサーチした結果、我々がたどりついた結論です。要するに、医師や薬剤師にとって必要なのは、今目の前にいる患者に関わる副作用情報です。例えば、年齢が80才で既往歴がわかっていて、併用薬も掴めている患者を診ている医師に必要なのは、その患者に処方する薬の安全性です。同じような患者に対して副作用は起きていないか。仮に副作用があった場合に、どのような症状が出て、その後、経過はどうだったのか。我々にはこうした情報を提供する義務があります。

必要な情報をタイムリーに提供するのが「情報処方」というわけですね。

大箸 収集した副作用に関する情報を適切に処方し、“必要なとき、必要な相手に、必要な情報を提供”する。こうした情報は、医師に限らず患者にも届ける必要があります。製薬企業にとって、薬の有効性と安全性に関する情報を的確に提供することは義務だと考えています。リスクとベネフィットの関係性でみるなら、イノベイティブな薬が増えている昨今では、リスク情報も的確に伝えなければなりません。

幸いPMSと自発報告により情報は集まっています。そうであれば、集まった情報を現場で使いやすいように加工して提供すれば良い。実は弊社では7年前に一度、こうした情報提供の仕組みを作るプロジェクトを立ち上げています。ただし、このときは社内調整がうまくいかなかったり、技術的な問題があって途中で断念しました。

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