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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える日本学術会が報告書を公表 「超高齢社会における生活習慣病の研究と医療体制」

日本学術会が報告書を公表 「超高齢社会における生活習慣病の研究と医療体制」

2017.10.24 構成:21世紀医療フォーラム取材班

日本学術会議臨床医学委員会の循環器・内分泌・代謝分科会は、審議内容を取りまとめ、2017年9月29日、報告書「超高齢社会における生活習慣病の研究と医療体制」を公表した。

超高齢社会における重要疾患
糖尿病・心血管系疾患の現状と対策

超高齢社会の到来と共に、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は増加の一途をたどっている。また、それらを主たる原因とする合併症、終末像としての心不全、脳卒中、フレイルなども極めて負担の大きい疾患である。今後も高齢化の進展と共に、これら疾患の患者数も増加することが予測されており、その対策は急務となっている。

同分科会は、榊原記念病院院長・東京医科歯科大学特命教授の磯部光章氏を委員長に、循環器・内分泌・代謝領域の臨床医や研究者が議論し、生活習慣病のうち、がんや歯周病を除く糖尿病・心血管系疾患を対象に、その問題点と対策について検討した。超高齢社会における生活習慣病対策についての現状、今後求められる研究の方向性、さらに医療提供体制に対する施策を報告書にまとめた。以下、報告書の要旨を抜粋して紹介する。

(1)医療関連ビッグデータ・登録事業を用いた疫学研究
患者の網羅的な情報が登録された医療データベースの構築により、生活習慣病の実態を正しく把握することが必要であり、がんと同様のレジストリ制度の構築が求められる。すでに国あるいは学会の主導で整備されつつある、さまざまな医療ビッグデータベースを利用した疫学的研究は、高齢者における生活習慣病の診療の実態分析、病態分析に大きな効果をもたらす。

さらに、創薬等の新規治療法の開発に結びつけるためには、ゲノム情報や遺伝子発現情報、プロテオーム情報、メタボローム情報とDPCなどの電子的医療情報とを統合的に集積した解析手法の開発が求められる。

(2)基礎研究
生活習慣病領域の基礎研究において、ゲノム情報をはじめとしたオミックス情報への多面的なアプローチとシステム的な解析が求められる。従来の疾患モデル研究に加え、iPS細胞を用いた病態研究、治療標的や創薬標的の探索の深化、分子イメージングや微細構造解析、数理モデルを導入した生体シミュレーションの技術融合、医療関連ビッグデータからさまざまなリスク因子を探索し、1人ひとりの疾患発症を予測しうるアルゴリズムやバイオマーカーの開発研究など、医学、工学、情報学等、新しい領域、融合領域の研究の発展が必要である。

(3)研究者の育成
臨床医として基礎研究に取り組む研究者の減少に伴い、日本から発信される基礎医学論文の数も減少している。資金の強化、研究機関への財政的支援、研究を支えるインフラの整備、教育体制の充実、研究者としてのキャリアパスの検討等の充実が望まれる。

(4)高齢者医療とそれを支えるための社会システム
高齢者の生活習慣病にはフレイル、併存疾患、治療目標の確立、生活環境といった高齢者固有の問題が大きい。医療は病院で完結することなく、多職種のプロフェッショナルが地域の中でケアしていくシステムが必要である。その実態の調査とケアシステムの確立に向けた対策が求められる。

(5)健康寿命延伸にかかる包括的対策
生活習慣病を基盤とする高齢者の疾病負担を軽減し、健康寿命の延伸を図るために国や自治体を主体とした支援が求められる。上記のような研究推進に加えて、啓発活動を通じた予防、生活の質の向上に向けた診療体制、再発予防等を可能とするシステム確立を行うために、生活習慣病に対する対策基本法が必要であり、国にその制定を望む。

■超高齢社会における生活習慣病の研究と医療体制
(日本学術会議 臨床医学委員会 循環器・内分泌・代謝分科会)

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