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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
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国民一人ひとりのデータは国の財産であり価値 学会ガイドラインや国の施策への活用を 第4回

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター理事長 小川久雄 氏
同 循環器病統合情報センター センター長 宮本恵宏 氏

2017.03.09 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 構成:同取材班 但本結子
小川久雄 氏
小川久雄(おがわ ひさおお)氏
1953年生まれ。1978年 熊本大学医学部卒業。同年、熊本大学第二内科入局。1981〜1984年 国立循環器病センター(現 国立循環器病研究センター)にレジデントとして勤務。1984年 熊本大学循環器内科。2000年熊本大学循環器内科学教授。2011年〜2015年 国立循環器病研究センター副院長兼任。2016年より現職
○受賞
2013年 井村臨床研究賞
2016年 日本医師会医学賞
○所属学会
日本循環器学会代表理事(2014年4月~2016年6月)
日本心臓病学会理事 日本脈管学会副理事長 日本医学会連合理事ほか
小川久雄 氏
宮本恵宏(みやもと よしひろ)氏
1989年 京都大学医学部医学科卒業。同年、京都大学医学部附属病院内科研修医。1990年 静岡県立総合病院内科研修医。1992年 京都大学医学部附属病院第二内科医員。1997年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了。2000年 国立循環器病センター動脈硬化代謝内科医員。2005年 同センター動脈硬化代謝内科医長、臨床研究開発部医長。2010年〜同センター予防健診部長、研究開発基盤センター予防医学・疫学情報部長。2012年〜バイオバンク副バンク長。2014年4月より現職

国立循環器病研究センターは、心臓病や脳卒中などの循環器病を対象とする高度専門医療研究施設として1977年に設立され、2010年に独立行政法人へと移行。3年後の2019年には吹田市操車場跡地へ移転する予定で、同センターを核とした医療クラスター「北大阪健康医療都市」、愛称「健都(KENTO)」は、循環器病分野の予防・医療・研究で世界をリードする地域を目指す。

50年に一度といわれるこのビッグプロジェクトには研究や治療、人材育成に加え、民間企業との連携も求められるが、その難しい舵取りを任されたのが、同センター新理事長の小川久雄氏である。

連載5回の第4回は、JROADの事業を手がける意味、課題と成果、今後の目標などについて、小川久雄氏と宮本恵宏氏にお話を伺った。

データを提供することは
自分が受ける利益ではなく、価値である

前回、循環器にはがん対策基本法のような法律がないために、全病院からデータを提供してもらうことができず、ご苦労されていると伺いました。私たちはデータを提供することについて、国の共有財産であり、自分が受ける利益(ベネフィット)ではなく、価値(バリュー)であるという方向に変えていくことが求められますね。

宮本 まさにJROADも同じ考えに則っています。現在も本体は学会ですが、もともとJROADは日本循環器学会が主導してきたものです。なぜこの事業にナショナルセンターが取り組むのか、国の運営交付金等を使って調査を行うのか。それは、JROADとは国民の財産、価値であり、将来的に様々に活用することや継続性を考えると、やはり国の機関であるナショナルセンターで取り組むことが不可欠だからです。

小川 その通りです。全国がん登録で集められたデータも、全てナショナルセンターである国立がん研究センターに一元化されていますね。

宮本 はい。ただ、厚労省からは逆に法律にしない方がいいと言われました。というのも、法律で集めたデータは、それを使って研究はできないためです。

私はバイオバンクにも関わっていますが、例えば国立がん研究センターのバイオバンクで使用する検体の付属情報はセンターで院内登録しているデータがあるので、それをリンクすれば何もしなくても情報は集まるものの、それができません。なぜなら、院内登録は別の法律で決められ集めたデータであり、それを研究に利用するためにバイオバンクにつなげることはできないからです。私から見れば、非常に不思議なことです。

1962年に国立がん研究センター、1977年に国循がそれぞれ開設され、様々な面でがんの方が先行しています。循環器領域は遅れてスタートしたものの、がんセンターでの様々な取り組みや方法を見ながら、無駄にならないよう財産として登録されているデータをうまく活用しなければならないと考えています。

データの連結等に関して一つの法律ができると、別の面では妨げになることもある状況です。循環器に関するデータは、安全な環境でどう使えるかを考えていくことが求められますね。

リスクファクターを共有する循環器と脳卒中
情報を統合し、ガイドラインや施策に活用

JROADのアウトプットについて、お聞きしたいと思います。すでにいくつかのエビデンスが出てきて、直接診療に活かされる段階にきているのでしょうか。

宮本 例えば、急性心筋梗塞が1年間で200症例ある施設数をまとめた度数分布があります。また、心不全で見ると1施設178症例が全国平均ですが、施設によっては400例を超えるビッグスケールの病院から非常に少ないところまであります。この数値と入院患者の予後に関連があることがわかってきており、現在、論文化しているところです。

今年、この結果をそれぞれの施設がどこに位置するかをグラフで確認できる形にしてホームページに出します。他施設の状況はわかりませんが、自分たちの施設のここが優れている、あそこが足りないといったように、どこに位置付けられているかが自己評価できるようフィードバックします。

小川 これはまだみんな知らないことです。より多くの人に広く知ってもらうために国にもアプローチしたいところです。

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