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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える手術技能の均てん化と患者のQOL向上を目標に、「フェムトセカンドレーザー」を用いた白内障治療を採用

手術技能の均てん化と患者のQOL向上を目標に、「フェムトセカンドレーザー」を用いた白内障治療を採用

東京慈恵会医科大学眼科学講座 主任教授 常岡 寬 氏

2016.09.30 聞き手:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 構成:同編集 安井 透
東京慈恵会医科大学眼科学講座 主任教授 常岡 寬 氏
東京慈恵会医科大学眼科学講座 主任教授 常岡 寬 氏

国内の白内障手術件数は年間130万件を超え、眼科手術全体の85%を占めている。白内障は老化により水晶体が濁ることで発症する病気で、70代では80%、80代では約90%の人が発症する。つまり、ほぼすべての人が罹患する疾患といえる。超高齢社会を迎える日本では、高齢者の増加に伴って白内障患者は増え続けていくことが予想されている。

現在、混濁した水晶体を薬物によって透明にすることは出来ず、治療方法は手術のみである。白内障患者の濁ったレンズを取り除き、人工の眼内レンズに置き換える。最近は技術の進歩により、フェムトセカンドレーザーを使った白内障手術が可能になってきた。

いち早く白内障のフェムトセカンドレーザーによる白内障の手術に乗り出した東京慈恵会医科大学の眼科学講座主任教授の常岡寬氏にお話を伺った。

白内障手術の進歩

まず白内障という眼の疾患について教えてください。

常岡 白内障は、眼の中にある透明なレンズである水晶体が濁ってしまった病気です。水晶体は、硬い核とそれを取り巻くやわらかい皮質から形成されていますが、加齢とともに、皮質のたんぱく質の変性や核の体積の増加で、透明性を維持できなくなり、混濁するのです。白内障の初期は自覚症状がありませんが、進行すると、目がかすむ、ぼやける、ものがだぶって見える、光がまぶしく感じるなどの症状がでてきます。

白内障の手術件数は年間130万件を超え、眼科の手術の85%を占めています。患者にとっては「難しい手術ではない」という認識が芽生えていますが、眼科専門医から見ていかがですか。

常岡 一般的な白内障の手術は、目に麻酔をし、水晶体の殻(嚢)を切開して超音波で核を砕いて吸引し、その後に人工のレンズを挿入します。痛みもほとんどなく、手術時間も15分ほどで済むようになりました。以前は、もっと大変で、麻酔一つとっても眼球の後方への「球後麻酔」が必要でしたし、水晶体も全摘出し、その後はずっと分厚い眼鏡をかけて過ごさないといけませんでした。それが、麻酔も点眼麻酔で済むようになり、水晶体も全摘出するのではなく、水晶体の前面の嚢(前嚢)を丸くくりぬいた後に、中にある濁った核の部分を超音波で砕いて皮質とともに吸い取り、残した水晶体の嚢の中に人工の眼内レンズを挿入するようになったのです。

水晶体の殻をくり抜く手技はC.C.C.(continuous curvicular capslotomy)と呼ばれている。左が人の手によるもの、右がフェムトセカンドレーザーによるもの。フェムトセカンドレーザーは1秒でこの正円をくり抜く(AMO提供)

技術や機器の進歩で眼科医の手術のスキルによる差が少なくなってきたのでしょうか。

常岡 一概にそうとは言えません。たとえば眼内レンズもかつては焦点が1つでしたが、今は遠近2焦点のものが登場してきました。効果的に機能させるためには、眼内レンズを水晶体の嚢の真ん中に挿入しないといけません。そのためには水晶体の前嚢を一定の大きさで丸く切り取る必要があるのですが、常に決まった直径の正円で切開できる眼科医はいないでしょう。しかし前嚢切開がいびつになると、眼内レンズが嚢の中心からずれたり傾いたりしてしまうこともあるのです。

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