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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト

急性期から慢性期までの医療を提供する 地域で連携した心臓病診療センターの構築へ (2/2)

鳥取大学医学部 総合内科医学講座 病態情報内科学分野 教授
山本一博氏 第2回(連載3回)

2016.02.04 取材:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 構成:同取材班 小池雄介

再発や心不全への移行を防ぐ
薬物治療、食事や運動などの内科的治療

心臓病の診療に携わる先生方の専門分野には、循環器内科、心臓血管外科、電気生理学(心電図検査、カテーテルアブレーションなど)、超音波検査などがありますが、各分野の役割分担はどのように行われていますか。

山本 循環器内科医、心臓血管外科医ともに、電気生理学検査、超音波検査、心臓カテーテル検査などの基本的な知識を共有しています。初診の患者に対しては、主に循環器内科医が診断を行っています。

急性心筋梗塞の場合、ただちに診断・治療を行い救命する必要があるため、基本的には循環器内科医が心臓カテーテル検査やPCIを担うことになります。PCIが難しいケースであれば、心臓血管外科医にバイパス手術を依頼するのが一般的です。

緊急のPCIや手術を必要としない虚血性心疾患、弁膜症や心筋症の場合、循環器内科医と心臓血管外科医が、検査結果をもとに合同でカンファレンス(症例検討会)を行ない、治療方針を決定します。この循環器内科医の中に、電気生理、虚血、心不全、超音波をはじめとする画像診断の各々の専門家が存在することで、より高いレベルのディスカッションを行うことができます。

日本では欧米諸国に比べ、施設ごとの症例数が少ないと指摘されていますね。

山本 米国では専門医療機関のセンター化が進んでおり、あたかも大企業のようにベッド数や専門の医療スタッフ、最新の医療機器が豊富に揃った大規模な病院で、集中的に心臓病の急性期診療や高度医療が行われています。

これに対し、日本の病院は大学病院や基幹病院とはいえ、欧米諸国に比べれば中小企業並みの陣容といえます。一方、専門医を有する病院の数が多いため、患者さんは比較的容易に専門病院にアクセスできるという利点が日本にはあります。但し、心臓外科医の数は循環器内科医に比べて少なく、病院によってはPCIに習熟した循環器内科医はいても、バイパス手術に長けた心臓血管外科医がいない、あるいは1つの病院で揃えられる機器に限りがあるといった事情があります。このため、各地域で心臓病の診療を担う病院同士が連携を密にして診療にあたる病病連携が円滑に機能することが重要視されてきました。

現在の心臓病診療の課題について、教えてください。

山本 近年、急性心筋梗塞の治療ではPCIが注目を浴びており、特に若い循環器内科医はPCIを行うことにより目の前の患者さんを救命できたことで、「十分なことをした」という自己満足に浸りがちです。しかし、その患者が将来、再発したり心不全に移行したりしないようにするためには、薬物治療や食事・運動療法などの内科的治療に努める必要があります。

若い循環器内科医には、PCIを行った後の再発予防や心不全への移行を防ぐための内科的治療にも習熟してほしいと思います。その上で、地域ごとに各医療機関の循環器内科医、心臓血管外科医がそれぞれの専門性を持ち寄って、地域ぐるみの「心臓病診療センター」として機能し、急性期から慢性期に至るまでベストな医療を地域ごとに提供できるようになることを願っています。

第2回終わり(第3回に続く)

医療を変える