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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える高齢者だけでなく、中高年にさまざまな黄斑疾患が増加 OCTの登場で早期発見・早期治療へ

住友病院眼科部長 五味 文氏 インタビュー 第1回(連載2回)

高齢者だけでなく、中高年にさまざまな黄斑疾患が増加 OCTの登場で早期発見・早期治療へ

2015.06.03 21世紀医療フォーラム取材班
五味 文 氏
住友病院眼科部長 五味 文 氏
1989年大阪大学医学部卒業、大阪大学眼科入局。1990年大阪労災病院眼科。1997年大阪大学大学院入学、2001年同大学院終了、大阪大学眼科助手。2006年大阪大学眼科講師。2012年住友病院眼科部長、大阪大学医学部招へい准教授
○所属学会 日本眼科学会 日本網膜硝子体学会 日本眼循環学会 日本糖尿病眼学会 日本眼科手術学会 American Academy of Ophthalmology

日本は世界でも類を見ない超高齢社会に突入している。健康長寿を延伸するためには、視覚、聴覚、嗅覚といった感覚器の機能を維持することが重要である。中でも、視覚が衰えることで、QOLの質は著しく低下する。中高年の20人に一人が緑内障を煩っているとされるが、視野に異常が出る早期の段階で自ら眼科での検査を受けることが求められる。

その早期発見、早期治療において、注目を浴びているのが、「OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)」である。OCTの登場によって、従来の眼底検査では見ることができなかった網膜の断面が見られるだけでなく、網膜の出血の範囲や深さ、むくみまで確認することが可能になった。OCTを必要とする代表的な疾患として、緑内障、加齢黄斑変性、黄斑上膜、黄斑浮腫、糖尿病網膜症などが挙げられる。検査は専用の台に顎を乗せるだけで、器械が直接目に触れることもなく、数分程度で済むため、患者への負担も少ない。

連載2回の第1回は、OCTを導入し、多数の実績を持つ住友病院眼科部長の五味文氏に、加齢黄斑変性をはじめとする黄斑疾患の病態や要因、治療などについてお話を伺った。

日本では中年層の男性に多い
加齢黄斑変性

高齢者の眼疾患の中で加齢黄斑変性が増えていると聞きますが、その病態やその要因などについて教えてください。

五味 まず、高齢者を含めた中高年を対象にすると、緑内障よりは少ないですが、「加齢黄斑変性」をはじめとする黄斑疾患の患者数が増えてきています。

黄斑とは眼底にある網膜の中心にあり、物の形と色を見分ける役割を果たしています。ここが障害されると、歪む、ぼやける、影が見えるなど、さまざまな症状が現れます。黄斑の神経組織の障害が進むと、視力は低下し元には戻りません。黄斑疾患には加齢黄斑変性のほか、「黄斑浮腫」や「黄斑上膜」、「黄斑円孔」など、黄斑が付く病気はとても多く、症状は似ていてもそれぞれ治療法は異なります。

加齢黄斑変性は、黄斑疾患のうちの1つですね。

五味 そうです。ただ、「加齢」黄斑変性と聞くと、まだまだ先のことと捉える人もいると思いますが、実は40代の方でも、加齢黄斑変性を発症するケースもあります。また、前述したようにさまざまな黄斑疾患があるため、本人の自覚に加え、検診などでも早期に発見することが重要です。

加齢黄斑変性の性差はありますか。

五味 日本では男性が多く、欧米人では逆に女性に多い疾患です。また、欧米では両眼性に発症する割合が高いですが、日本ではより若年層に多く、片目で発症する率が高くなっています。

なぜ、若年層は片目で発症する割合が増えるのですか。

五味 高齢になれば加齢による変化も進むため、両眼に出てくる割合が高くなります。日本をはじめとするアジア人では、やや若い人が発症する例が多く、その分、組織の傷みも少ないので片目で始まることが多いようです。本来、脈絡膜は年をとると薄くなりますが、アジアでは脈絡膜の厚い人にみられる黄斑変性のタイプもあります。発症の要因として、ストレスや喫煙との関連が疑われています。

欧米では高齢の女性に多く、眼底にドルーゼンと呼ばれる老廃物がみられる人に発症しやすいようですが、日本人でドルーゼンがみられる頻度は欧米人ほど高くありません。

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