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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページトップインタビュー超高齢社会に求められる医療  「質の高い医療」を提供し続けるためには 第2回

超高齢社会に求められる医療  「質の高い医療」を提供し続けるためには 第2回

国立循環器病研究センター理事長 橋本信夫 氏
ボストン・サイエンティフィック コーポレーションCEO
マイク・マホーニー氏

2015.10.16 取材:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 構成:同取材班 但本結子

超高齢化社会を迎えた我が国では、医療財源の不足、全身疾患を抱える高齢患者の激増、多死の到来など、医療を取り巻く環境は厳しさを増している。こうした中で、「質の高い医療」を提供し続けるためには、何が必要なのか。

脳血管と心臓血管の両部門を併設し、世界的にも稀有なナショナルセンターとして、最先端の研究と臨床を手がける国立循環器病研究センター。1979年の創業以来、低浸襲治療(インターベンション)に特化し、革新的な製品を送り出してきた医療機器メーカー、ボストン・サイエンティフィック。共に世界中の患者のQOL向上、患者への貢献を理念とする同センター理事長の橋本信夫氏と、同社CEOのマイク・マホーニー氏に対談していただいた。

連載の第2回は、患者主体の医療に向けて何をすべきか、ヘルスリテラシーをどう高めていくのか、さらに新しい治療法や医療機器への期待などについて、語っていただいた。

マホーニー  チーム医療については、米国の状況も似ています。現在、病院では専門分野間の垣根をなくそうとしており、心臓外科医も今まで行っていなかった低侵襲治療を手がけるケースが増えているほか、僧帽弁や大動脈弁置換術、ハートチーム(Heart Team)もできています。これは院内インセンティブを統一させている現象と言えます。医療従事者のインセンティブが患者のアウトカムに沿っていれば協力的になります。

患者が個別に心臓内科や外科医に診てもらうのではなく、心臓関係者が1つのスペシャルティとなって、的確な治療法を考えていきます。ただし、物理的にメンバーがいつでも一堂に会するのは難しく、専門分野の連携は簡単ではありませんが、コストが高騰する中で、こうしたチーム体制が主流になっていくと思います。

また、誰がリーダーシップを摂るかについては、まず一般心臓内科が患者を診て、ケアのパスウェイがあれば、その医師が窓口になることが理想です。そこで重要なのは、中心的役割を果たす一般心臓内科のトレーニングです。病院のシステムに入れば、医療チームが価値を発揮するので、前述した左心耳閉塞デバイスや大動脈弁置換術といった高度な手技には、電気生理や外科医、内科医が協力して対応します。

ヘルスリテラシーを高めるために
国民、医療者が何をすべきか

橋本  一方で、患者の心臓病に対するリテラシー。その前にヘルスリテラシー、あるいはメディアリテラシーが問題です。今は一般の人でも、インターネットで膨大な情報を手に入れることができますが、そのどれが正しいのか理解していません。時々驚かされるのは、学歴が高く、常識的な人でも、バナナを食べたら痩せるなどといった情報を信じていることです。

これはリテラシーと言えるかどうかわかりませんが、50年程前に米国やオランダ、イタリア、日本など7カ国が参加したコホート研究「セブン・カントリーズ・スタディ(Seven Countries Study)」が行われました。その中で、大量に脂肪を摂取する米国人は心筋梗塞が多いというデータが出たため、脂肪を減らしたところ、かえって炭水化物の摂取量が増え、動脈硬化を発症するようになりました。後に、フランス人はあれほど脂肪を採っているのに、なぜ心筋梗塞が少ないのかという疑問が出ました。その辻褄合わせのためにフレンチ・パラドックスと言っていますが、実はパラドックスではありません。そもそもこの研究にフランスとドイツは参加しておらず、そこに大きなミスがありました。

2年程前のTime誌で、本当は脂肪を採って炭水化物を減らした方が良かったという特集が組まれていました。つまり、今はむしろバターを採れというキャンペーンです。欧米人と日本人では、バターの摂取量は違うため一概にそれが悪いとは言えませんが、私が深刻に感じるのは、偏ったスタディの結果に国全体が惑わされてしまうことです。

マホーニー  ヘルスリテラシーについては、米国でも日本と同じ課題を抱えています。弊社では医師と患者を対象とした良質なオンライン教育とトレーニングを提供し、そこでは治療を受けた患者の体験談も載せています。膨大な情報がある中ではシンプルに説明することが重要ですが、その効果はこれからです。

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