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人を組み替える

2016.12.02

うまく進むときこそ油断してはならない。落とし穴が待っている

安恒 理

ビジネスの極意は兵法にあり

危機管理 教育 成長戦略

安恒理氏は、兵法書には〈勝ち残るための戦法〉〈組織の編成方法〉〈人の動かし方〉など、現代ビジネスにも通用する知恵や戦略がたくさん詰まっていると言います。具体的なビジネス例をもとに、兵法書の教えを会社経営に置き換えて読み解いていく独自のスタイル。安恒氏によって、中国古典の兵法書が処世宝典となって現代に蘇りました。経営者必読の連載です。

事業で大成した人々の足跡を追ってみると、必ずと言っていいほど数多くの失敗や挫折を繰り返し、それを乗り越えて今日の地位を築いているものです。

では、百戦百勝、負け知らずで来たらどうなるのか。果たしてそんな成功者は存在するのか──。

その疑問に答えてくれたのは、梅崎信也さん(=仮名)です。梅崎さんは従業員50人に満たないメーカーの社長として日々、部下たちを叱咤激励しています。

「部下が犯したミスに関しては、まず叱ることはありません。それより仕事がうまくいっている部下にこそ鋭く目を光らせます。調子に乗っている部下の失敗は、それこそ取り返しがつかなくなるケースもあります。一番の問題は、天狗になっている部下は成長が止まりがちになることです」

だからこそ、あら探ししてでも叱る場面を作るといいます。

そつなく仕事をして失敗の経験がない社員が、なぜ成長しないのか。小さな失敗を積み重ねてこそ、致命的な失敗を避けることができるといいます。また、優秀すぎる人間の欠点として、失敗を繰り返す部下の気持ちが理解できないというケースも目立つといいます。上司として部下を育てる上で大きな障害になるのです。

「だから私は、前向きの失敗は恐れるなと部下に教えています。そして物事がうまくいっているときほど慎重に物事を進めろ、と口を酸っぱくして言っています」

「数勝ちて天下を得る者は稀、以て滅ぶ者は衆し」 『呉子』図国篇

幾たびもの戦いで勝利を収めても、それで天下を取る者は数少なく、逆に滅亡してしまうことのほうが多いといいます。成功と失敗を繰り返してこそ、人間は大きく成長するのです。何事もうまくいき過ぎるときは、慎重に進むべきなのです。

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貪欲に一人勝ちを求めるだけが「成功」ではない

ある地方都市で小売店を営む戸田紀夫さん(=仮名)は、父親が創業した店を、その死後に受け継ぎました。父親は地域の業界団体のまとめ役、世話役として活動し、業界仲間からも尊敬の念を一身に受けていました。

プロフィール

安恒 理 (やすつね おさむ)

現代ビジネス兵法研究会。オフィスミックスナッツ代表。1959年、福岡県生まれ。慶應義塾大学文学部国文学科卒業。出版社に勤務し、主にビジネスマン向けの雑誌編集の仕事に携わる。1997年にフリーとして独立。ビジネスや株式投資関連の執筆を中心に、歴史から経済、スポーツ、サブカルチャーと幅広い分野に精通する。主な著書に『「孫子兵法」のことがマンガで3時間でマスターできる本』(共著)『ビジネスに効く教養としての「中国古典」超一流の常識』『トップになる人のためのプロフェッショナル仕事術』『「ゲリラ戦」で勝つ!反撃経営』(共著)『いちばんカンタン!株の超入門書』ほか多数。