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人を組み替える

2016.11.01

他人に安く見られる行動

高石 宏輔

明日を拓く「価格交渉」特集

交渉 コミュニケーション 信用

明日を拓く「価格交渉」特集
価格交渉や条件交渉がいつも難航するとしたら、それはあなた自身が「安く見られているから」かもしれません。他人に安く見られてしまう行動とその正し方とは。カウンセラーの高石宏輔さんと、取ってしまいがちな行動を振り返りながら考えてみます。

習慣になった、いつもの手練手管を振り返る

「他人を安く見てしまうのは、いつであるか」ということを考えると、「その人がこちらを無視して、焦ってすぐに動いてしまったとき」のことが、いくつか思い浮かびます。他人の行動もそうですが、全く同じことを自分もしてしまっています。そう思うと、思い返すのも恥ずかしくなりますが、いくつかケースを並べてみます。

まず挨拶もそこそこに、焦ってすぐに聞かれてもいない自己紹介をしてしまうとき。そこには周囲への気遣いや当人の勢いよりも、初対面の沈黙に耐えるだけの余裕のなさがあります。

すぐに人の服装や挙動などを指摘し、いじるとき。攻撃は最大の防御、という言葉が思い浮かびます。相手をいじる限りは、自分が踏み込まれることはありません。そうしたいじりをすぐにしてしまうとき、会話慣れをしてしまって傲慢になっている部分と、他人に自分を開けない頑なさがあります。

他人の言動に対して、否定から入るとき。外から見ていれば「うん」と言っておけばいいものを、「いや、そうは思わない」と、そこからさらに自分の意見を主張し始めてしまうことがあります。そこには議論への関心よりも、自己主張の欲求があります。

反対に「そうなんだね」と殊更に同意するとき。包容力よりも、理解者ぶって思ったことを言わず、傷つかないようにしている弱さ、自分の立ち位置を守ろうとしている頑なさがあります。

相手を抑え込むとき

上に挙げたものは、場合によってはうまくいったり、場所によっては奨励されることもある行動です。

その様子を第三者として傍から見ていると、「そうされると断れないだろうな」とか、「思ったことを言いづらくなるだろうな」とか、「会話のスピードについていけずに流されているんだろうな」とか、そのように思います。

でもこうした場合、これを行なっている人は、相手が意見を言うのを抑え込もうという意識ではなく、職業上や社会人として、コミュニケーションのセオリーとして行なっていることの方が多いようです。明らかな悪意をもって行う人は少なく、むしろ善意から行なっていることさえあります。

余裕を持った相手と対峙するとき

第三者として見ていられないのは、自分より余裕を持って自分のことを見ている相手に、それらの行動を取ってしまっているときです。

余裕を持っている相手に対して、自分を売り込もうとしたり、交渉を自分の有利に進めようとしたり、その人の関心を得ようとしたりして、上に挙げたような行動をとった場合、効果がないどころか、安い詐欺師、信用のできないお調子者にしか相手の目には映らないことがあります。

そういうときには、相手と関係をうまく築けずに会話が進まなくなります。

その場合、安く見られないためにできることは、高く見せようとしないことです。

相手が“いかさま”を見抜いているにもかかわらず、いかさまをし続けているから安く見られるのです。高く見せようとしないためには、それらを捨てて、また自分の目的もひとまず置いておいて、相手の様子をただ見て、それから話をただ聞いてみます。

そうしていると、自分が予期していなかった相手の望みが聞けたり、それに応じた新しい会話が生まれたりします。反対に、いつもと同じやり方をしているということは、相手を見ているようで、見たいようにしか見ていないということでもあります。

また、自分より余裕のある相手をきちんと見るように心がけていると、その分だけ自分にも余裕が生まれます。そうすると、いつも自分の都合の良いように扱おうとしていた相手のこともよく見るようになり、その人の意見にも耳を傾けたくなります。

そのとき、習慣になっていた手練手管を弄する必要性を感じなくなっているかもしれません。

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プロフィール

高石 宏輔 (たかいし ひろすけ)

1980年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文専攻中退。在学中よりカウンセリングのトレーニングを受け、セミナー講師を務める。スカウトマンを経てカウンセラーとして活動を開始。クライアントからの要望により、路上ナンパ講習も始める。著書に『あなたは、なぜ、つながれないのか──ラポールと身体知』(春秋社)、共著に『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(中経出版)。