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人を組み替える

2016.04.27

会話で「意識の変化」を読むためのトレーニング

高石 宏輔

場の空気を変える「もの」コレクション

コミュニケーション 感情 意識改革

場の空気を変える「もの」コレクション
会話をする時には自分の意識を相手に向け、また相手の意識を読み取ることが大切だと説くカウンセラーの高石さん。今回は、会話において自分や相手の意識の変化を感じ取れるようになるための、実践的な訓練を学びます。

文章を読んで、自分の反応を意識してみる

前々回、話を聞きながら相手に意識を向けることについて書きました。前回は相手に意識を向けながら話をすると、スムーズに会話を進められるという話でした。今回は、それをもう少し細かく活かす方法について書いていきます。

まずは次の文章を読んでみてください。

僕は一日の終わり、寝る前に、お風呂に入るようにしています。

湯船に浸かって、体にたまった疲れや緊張を落とすように、お湯の温かさを感じながら、何も考えずにじっと浸かっているんです。

そうすると、「あぁ、こんなところも緊張していたんだな」と、自分の体の緊張していた部分に気づいたりします。気づいた部分の緊張は、何も考えずにお湯に浸かっていると力が抜けていきます。

力が抜けていくのを感じていると、今日はこんなことがあったなとか、その日一日にあったことがふと思い浮かんでくるんです。

そのまま、思い浮かぶがままにしていると、思い出す場面が変わったりして、一日のうちで印象的だったことが短い時間の中で浮かび続けていきます。その中には、そのとき自分が大して気にもとめていなかったことがあったりして、自分が体験しながらも見逃していたものに気づいたりすることがあります。

この文章を読んでいる間に、まぶたや、指先、足は動いたでしょうか。まばたきの速度に変化はあったでしょうか。また、呼吸の速度に変化はあったでしょうか。それから何か思い浮かんだこと、思い出したことはあったでしょうか。

急に聞かれても、あらかじめ意識していなければ、なかなか気づきにくいものかもしれません。自分の体の動きや自然と思い浮かぶものにも意識を向けながら、もう一度読んでみてください。意識してみると、文章を読みながら、自分が反応していることに気づくことができるはずです。

反応が分かりにくい場合は、決してこの文章に影響を受けまいとして読んでみてください。その方がより微細な自分の変化に気づきやすくなります。

自分の変化に気づくと、相手の変化にも気づく

前回、話をしながら相手に意識を向けることについて書きました。もし上の文章の内容を人に話したとしたら、そのときの相手も、この文章を読んだあなたと同じように言葉に応じた変化を示すはずです。語りながら相手の様子を見ることで、相手の状態がどうあるかを観察することができます。

「僕は一日の終わり、寝る前に、お風呂に入るようにしているんですけど……」

このように話しただけでも、聞き手にはいろいろな反応があります。「寝る前に」の辺りですでに呼吸が深くなったり、まばたきをゆっくりとする人もいるでしょうし、この一文だけでは様子が全く変わらない人もいるでしょう。

話を聞きながら、こちらに意識を向けて共感している場合、先に挙げたような変化を示します。頭で理解しようと聞いている場合には、あまり変化は起きません。そういう動きの変化から、相手が自分の話に対して、どのような意識の向け方をしているか読み取ることができます。

日常の挨拶でも、相手の意識の変化を読むことができる

「湯船に浸かって、体にたまった疲れや緊張を落とすように、お湯の温かさを感じながら、何も考えずにじっと浸かっているんです」

この部分になると、反応が分かりやすく、顕著に出るかもしれません。こちらの目を見たままの人であっても、よく見てみるとその間に目の周りの緊張が少し抜けることもあるでしょう。背もたれに背を預け、目を半ば閉じかけていれば、その人は他人の話を相当、共感的に聞いているのでしょう。

はじめに挙げた文章は影響が出やすいようにしたものですが、普段の会話でも全く同じことが起きています。

「もう、だいぶ温かくなってきましたね」

春先のちょっとした挨拶ですが、この一言を言ったときに相手の様子はどう変化するでしょうか。皆それぞれ、違う反応をするはずです。他人に共感的に意識を向けていると、こうしたちょっとした会話の中からでも、相手のことを感じることができます。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
「相手の意識」を読み取りながら話をする

人に何かを伝えようと話をする時、話す内容にばかり気を取られてはいないでしょうか。話をしながら、聞き手である相手の意識を読むことで、話の仕方はより良いものへと変えていくことができます。

プロフィール

高石 宏輔 (たかいし ひろすけ)

1980年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文専攻中退。在学中よりカウンセリングのトレーニングを受け、セミナー講師を務める。スカウトマンを経てカウンセラーとして活動を開始。クライアントからの要望により、路上ナンパ講習も始める。著書に『あなたは、なぜ、つながれないのか──ラポールと身体知』(春秋社)、共著に『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(中経出版)。