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人を組み替える

2016.04.18

話を聞く時の「自分の意識」の使い方

高石 宏輔

場の空気を変える「もの」コレクション

コミュニケーション 感情 意識改革

場の空気を変える「もの」コレクション
「聞き上手」と言われる人は、どんな話の聞き方をしているのでしょうか。今回は話の聞き方を左右する「自分の意識」の使い方を学びます。

この記事を読む前、誰かと二人で話したのはいつでしょうか。思い出してみてください。誰と、どこで、どういう話をしたか。相手は、家族の誰か、仕事関係の誰か、友人、恋人……場所は家、仕事場、カフェなど……。

そのとき、相手が話をしている間、どこに意識が向いていたでしょうか。例えば、自分が話したいことをどう話そうかと考えていたとか、その次にある予定のことを心配していたとか、相手の様子を気にしていたとか、あるいは話し相手ではなく、そのときに周りにいた人、例えばカフェの店員や、隣の席で話している人たちのことが気になっていたとか……。

話を聞いている時、自分が意識を向けているものは何か

会話が上手な人ほど、今、自分が何に意識を向けているかを自己観察できています。自己観察を失うと暴走してしまいます。自分の話ばかりしてしまったり、怒ってしまったりと、他人からは余裕がないと思われるような行動を取りがちです。

誰かと話しているとき、必ずどこかに意識が向いています。どこか一つというわけではなく、いくつかのところに同時に、あるいはそのときどきで違うところに向いているかもしれません。

同じような会話の場面でも、意識の向け方が違えば、そのときに感じられることは違います。これから、三つの意識の向け方の例を挙げていきます。

1. 自分の考えに意識が向いている場合

相手の話を聞いているようで、自分自身の考えに意識が向いてしまう場合です。自分のことばかり話してしまう人や、過度に相手に気を遣ってしまって何を話せば良いかわからなくなってしまう人にはよくあることかもしれません。

(次は何を話せば良いだろうか)
(次はこれを話したい)
(話を聞いていて、こんなことを思い出した)
(こういうこと話す人、よくいるよな)
(自分もこんなこと思ったことあるな)

相手の話を聞きながら、こんな風に思っているとき、自分の考えに意識が向いています。

2. 相手に意識が向いている場合(共感)

相手の話に共感しやすい人はこんな感じかもしれません。

(少し話しづらそうだな)
(楽しそうだな)

相手の表情や全体の様子、声の様子からそう思っているときには、話をしている相手に意識が向いています。

3. 相手に意識が向いている場合(物のように)

(肩についている糸くずが気になる)
(高そうな服を着ているな)

同じように相手に意識が向いているときでも、こう思っている場合は先ほどのものとは少し違います。現在、目の前で話をしている相手というより、目の前に自分とは関係なしに置かれた物体として、その人に意識が向いています。

相手の話がつまらないときにはこんな感じになっているかもしれません。また、相手に対して注意深い人や、そうでなくとも相手を警戒していたり、嫌っていたりする場合はこうなりやすくなります。相手の気持ちはあまり感じないけれども、よく見ているというような状態です。

相手を信用していないとき、会話をしていても相手が話している文脈とは異なることを考えてしまいます。話の内容の細かい論理的な矛盾に気がいってしまう場合もそうかもしれません。そうすると、共感性の欠けた会話になってしまいます。

相手に意識を向けて話を聞くための方法

こんなとき、相手がどんな様子で話をしているかを見てみると、共感することができます。楽しそうなのか、悲しそうなのか、あるいは感情を込めずに淡々と話しているのか……。同じ話でも、こうして相手に意識を向けてみると、その話から読み取れるものが変わってきます。

例えば「最近、恋人にふられたんですよ」と言われたとします。それに対して、(それは大変だ、励ましてあげなきゃ)とか(あぁ、自分もそういえば恋人がいないな)などと思った場合は、自分の考えに意識が向いています。(そりゃ、こんな服装だったら仕方ないだろうな)とか(姿勢悪いな)とか思った場合は、相手に対して物のように意識を向けています。(嬉しそう)、(恥ずかしそう)、(言いづらいことをやっと言ったような感じがする)と思ったときには、相手に対して共感的に意識が向いています。

共感的に意識が向いていると、話を勝手に勘違いせずに「そのわりに嬉しそうに話すね」とか「なんか恥ずかしそうだね」とか「言いづらかった?」と聞いたり、それらを言葉にせずとも、相手の気持ちと話したい方向性に沿って話を聞くことができます。

一方、相手に対して物のように意識が向いている場合は、「そりゃ、そんな服だったら付き合ってくれる人いないよ」とか「自分も恋人が欲しいと思ってたんだよね」とか、相手の話したい方向性に関係のない返事をしたり、言葉にせずとも頭の中では違うことを考えながら話を聞いたりしてしまいます。そうすると、一見話が合っているようで、噛み合っていない会話になってしまいます。

とはいえ、このような聞き方のバリエーションは自然と起こるものです。変えようがないと思われるかもしれません。その場で意識の方向を変えようとすることは難しいかもしれません。気が向いたとき、会話が終わった後に振り返って、自分がどのような意識の向け方をしていたか思い返していると、自然と思う通りに意識が向けられるようになっていきます。

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プロフィール

高石 宏輔 (たかいし ひろすけ)

1980年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文専攻中退。在学中よりカウンセリングのトレーニングを受け、セミナー講師を務める。スカウトマンを経てカウンセラーとして活動を開始。クライアントからの要望により、路上ナンパ講習も始める。著書に『あなたは、なぜ、つながれないのか──ラポールと身体知』(春秋社)、共著に『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(中経出版)。