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人を組み替える

2016.01.13

自分の本音を知ることで、苦手な人とも話ができるようになる

高石 宏輔

「非モテ系社長」改造レッスン

リーダー コミュニケーション 感情

一国一城の主たる社長といえど人の子です。悩みの一つや二つ、持っているもの。この企画では「取引先にモテない」「異性にモテない」など、社長のモテに関する悩みを、路上ナンパ講習まで引き受けるカウンセラーの高石宏輔さんが引き出し、「モテ」へのヒントを与えます。

第1回の今回は、東京都内で小規模なWeb制作会社を営む山田社長(仮名)に「仕事モテ」に関する悩みを聞いていきます。取引先との世間話が苦手だという山田社長、それを改善するにはどうしたら良いのでしょうか。

「非モテ系社長」改造レッスン──高石 宏輔

「発注元との飲み会が嫌で仕方がない」

山田:もうちょっと普通の男性と普通の会話をできるようになりたい……というか、それを嫌がらない自分になりたいな、と思うんです。社会人ぽい社会人というか、スーツを着ている人があんまり得意じゃないんですよ。しっかりしてる人、というか。

得意先にそういう人が多いので苦手意識は出さないように付き合っているんですけど、そういう人と世間話をしたり、っていうのは正直あんまり得意じゃない。本当は「好きじゃない」というのが近いのかもしれないですけど。

行けば行ったで頑張るんですけど、だからなのか、実際のところ、行っても全然盛り上がらないんです。そういう意味では、付き合いがあるところとはずっと付き合っていられるんですけど、新しいところを開拓するのが正直すごく嫌なんですよ。それは会社の経営者としてはかなり致命的かな、と思うんです。

高石:僕にはお仕事のことはよくわからないので、当たり前のことをお聞きしてしまうかもしれませんが……それは必要なものなんですね? お客さんを広げていくために、飲み会に行かなきゃいけないという。

山田:やっぱり、飲み会に行ったりして仲良くなればなるほど仕事は来やすくなりますね。

高石:なるほど。わかりました。行くとどうなってしまうんですか? そんなに苦しいことが待っているんですか?

山田:まぁ、2時間くらい世間話をずっとし続けるんですけど、それがものすごく嫌なんですね。

高石:どんなところが嫌ですか?

山田:私にとって、まったく興味がない話なんですよ。ほとんどの場合、すべてが。まぁ、そうじゃないケースももちろんあるとは思うんですけど。興味がない話をずっと話さなきゃいけない。でも、興味があるフリをしなきゃいけない。

高石:なるほど……興味があるフリをするのも必要なことなんですね?

無理にしている相槌の中に隠している気持ちがないか

山田:やっぱり相手からしたら、つまらなそうに話を聞いているっていうのはありえないのかな、と思いますよね。相槌を打つにしても、「あ、そっすね」とか言えないじゃないですか(笑)。「あぁー、そうなんですかぁ!」とか言わなきゃいけない。

高石:あ、その「そうなんですかぁ!」はしんどそうですね(笑)

山田:うん、まさにそれが辛いですね。

高石:その無理に打っている相槌の背後に多分、山田さんが隠している気持ちがあるんですよね。

山田:そうですね。自分の気持ちは表に出さないですよね。

高石:隠し過ぎて疲れてしまっているのかもしれないですね。

山田:そうですね……。もともと、自分のことを喋るのが大好きなんですよ。そして、それをやっちゃいけないという気持ちがすごくあるんだと思うんです。

高石:そういう人との飲み会で、「そうなんですかぁ!」と相槌を打つのは、例えばどういうときですか?

山田:例えばですけど、日本の経済状態がどうなのかとか、もうちょっと細かい話だったりしますけど。「今後、建築業界はどうなるんですかねぇ」みたいな、そのお客さんのところの業種の話から、「Web業界ってこれから儲かるのかね」みたいな話になったりとか。「最近クラウドとか言ってるけど、どうなの?」みたいな話とか。もちろん聞かれたら答えますけど、正直、日本の経済状態とか考えてもしょうがないですよね。

高石:なるほど。その時に「考えてもしょうがないのになぁ」みたいな感じがあるわけですね。

山田:そうですね。正直、それはあると思いますね。

歳が離れた取引先の社長に対する、共通の話題の探し方

高石:そこでどうしたらいいですかね。何か違う話題を振ったりとかはダメなんですか? 「子どもいるんですか?」とか。

山田:それは……そっか。それはいいですね。

高石:取引先の方も話すことがないのかもしれないな、となんとなく思って。

山田:そうですね。お天気の会話のように、話すことがない時にも話せる話題。それが彼らにとって経済の話なのかもしれないと今、思いました。

高石:取引先の方に関することで、山田さんが関心が持てることってありそうですか?

山田:それがないんですよね……。なんか共通の話題があればいいんですけど。共通のところってなにがあるんだろう。

高石:とりあえずは……「男であること」ですかね。

山田:そうですね。

高石:「最近、アッチのほうはどうですか?」みたいな。

山田:!! さすがに言えないですよそれは! 聞いてみたいけど(笑)

高石:そうですか(笑)。聞いたら喜んでお話ししそうですけどね。

山田:面白そうですね(笑)。でもさすがに、もうちょっと仲良くならないと…。

高石:じゃあ、もうちょっと仲良くなったら(笑)

山田:うん、いけそうですね。

高石:あとは……山田さんも取引先の人も同じ社長さんですよね。

山田:同じですね。

高石:部下も同じようにいる?

山田:規模が全然違いますけど、確かにいますね。

高石:他の社長さんに聞いてみたいなと思うことってありますか? しかも自分のために聞く、ということはないでしょうか?

山田:だとしたら、人を雇うにあたって何をキーにしていますか、ということは聞いてみたいですね。

高石:それは面白そうですね。向こうも話したいかもしれないですね。

山田:ですね。でもこれが難しいのが、その場に雇われている人がいたりするので……。あ、でもまぁ向こうが部下を褒めてあげればいいことか……それを聞いてあげればいいのか……。

高石:それは良さそうですね。

本音を隠すのは相手だけにしておいた方がいい

山田:そうか、それをやる……うーん。なんかその……こっちにも思い込みがあるのかな。あんまり飲むところで仕事の話をしたくない、みたいなのがあるのかもしれないですね。だから逆にちょっと引いちゃう、みたいな。それで、こちらから話しかけるということが実は意外となかったなと。「彼らの話を聞いていなきゃいけない」と思い込んでいたのかも……。

高石:確かに、向こうにも「山田さんに話を聞いてもらって、気持ち良くなりたい」というのはあるかもしれないですね。

山田:「教えてあげたい」くらいの気持ちでいるかもしれない。

高石:なるほど……教えてあげたい、ですか。向こうのそういう気持ちを拾うことができれば、ちょっと話を聞きやすくなるんじゃないでしょうか。山田さんにとっても面白いな、と思える話題を互いに共通している点から見つけられるかもしれないですね。

山田:どちらかっていうと自分の性格としては「自分が自分が!」っていうタイプだと思っているからだと思うんですけど、「思っていることを隠さなきゃいけないんだ」と思っているんですよね。

高石:確かに相手には隠した方がいいこともあるかもしれないですね。でも、自分の中では隠さない方がいいと思います。それは山田さんが自然と思う本音だから、隠すとしんどくなってしまうかなと。そういう本音の中に、会話を進展させるヒントがありそうですね。

相手を尊重することと本音のバランス

山田:そうですね……そうか。自分の中でも隠しちゃっているというか。自分の感情もちょっと殺しちゃって話を聞いている、という。

高石:それはしんどいですね。直接言わないとしても、ちゃんと自分の本音を大事にしながら聞いていると、これだったら聞いても良さそうだな、とか、これだったら言っても大丈夫そうだなとか。なんとなく見つかるかもしれないですね。

山田:そうですね、そこで本音を隠さない方が良いんですね。でも、やっぱり「自分が自分が!」っていうのは隠した方がいいですよね。相手に対しては。

高石:「自分が自分が!」になっちゃうと、今度は相手を尊重できなくなってしまいますよね。今は相手を尊重されていますよね。その気持ちは大事だと思うんですよね。

山田:そっか……そうですね。

高石:今の相手を尊重している中に、ちょっとずつ自分の気持ちを入れてみて。でも入れ過ぎると「自分が自分が!」になってしまうので、そうならないように注意しつつ、うまく気持ちを伝えられると会話が楽しくなるかもしれないですね。気持ちを、どのタイミングでどれくらい入れるのがいいのかという加減は、やってみる中でコツをつかんでいって……。

山田:そっか……そこでうまくこう……。まさに自分自身の本音を知って、そのコントロール次第で、会話がうまくいくかどうかが決まるんですね。

 

「取引先との飲み会が嫌でしょうがない」と話していた山田社長でしたが、うまく会話ができなかった理由は、自然と出てきてしまう本音を社長自身の中でも殺してしまっていたことにあったようです。

「自分が自分が!」となることを自ら抑え込んでいたという山田社長は、いつしか「普段正直に思っていたこと」を自然と話されています。はじめは辛そうだったのが、いつの間にか楽しそうな様子に変わっています。高石さんは山田社長の何を捉えているのでしょうか? この連載では相談への回答もさることながら、高石さんの話術、場のつくり方にも注目ください。

続いて次回は、山田社長の「恋愛モテ」に関する悩みを聞いていきます。

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プロフィール

高石 宏輔 (たかいし ひろすけ)

1980年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文専攻中退。在学中よりカウンセリングのトレーニングを受け、セミナー講師を務める。スカウトマンを経てカウンセラーとして活動を開始。クライアントからの要望により、路上ナンパ講習も始める。著書に『あなたは、なぜ、つながれないのか──ラポールと身体知』(春秋社)、共著に『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(中経出版)。