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モノと道具を再構築する

2015.04.21

たかがホームページ、されどホームページ 更新=信頼の持続

小さな組織では何が経営課題か?

〜「経営とITに関する調査」から〜

IT 成長戦略 小さな組織

2014年12月、本サイトの想定読者層にあたる企業、特に従業員100人未満の企業の経営者を対象に、「経営とITに関する調査」を実施した。回答数は300件。調査の目的は、経営者の自社企業に対する「経営課題とその重要性と対応」、および「経営を支えるためのIT基盤」と「経営に活かすためのITの活用実態と方向性」を分析すること。このコラムでは、その調査結果に基づき、「企業を継続するためには、儲けるためには経営者として“何をどう考えるべき”か?」、そして「ITを経営に活かすためにどうすべきか?」について分析していく。
「中小企業及び小規模企業 経営とITに関する調査」概要(PDFダウンロード

いまどき、会社であればホームページぐらいはどこでも持っているだろう……その予想は見事に裏切られ、従業員100人未満の会社においてホームページを実際に作っているのは45.0%、半分に満たないという結果になった。以前にも取り上げたように「信頼を得ることが重要な経営課題」と考える割には、会社の顔ともいえる企業ホームページを半数以上が持っていないとは、どういうことなのか。

重要なポイントを確認する。
(1)企業ホームページがある会社は半分以下(45.0%)
(2)企業ホームページについて約4割(40.7%)は不満に思っている
(3)企業PRが大事だと考えている企業が約4割(40.7%)

約4割の企業がPR活動を重要な経営課題だと考えており、ほぼ同数程度(45.0%)が企業ホームページを持っている。そして約4割の企業が自社ホームページの内容や使い方について不満を持っているということになる。

逆に言うと、6割は企業PRをさほど重要とは思わず、そして過半数の企業がホームページすらも持っていない。「信頼を得ることが重要な経営課題」と思いながらも、実際には実践していないということなのだろうか。ホームページは商品やサービスのPRだけではなく、会社のPR、つまり安心感や信頼感を与えるツールとしても重要なはずだ。

ホームページ導入状況
経営課題の重要度「自社のPR活動」

企業PRだけでなく、広告・宣伝、そして売り上げにも

意見交換に参加いただいた4代目経営者、A社長が営む老舗食品製造小売業の会社はホームページをもちろん持っており、現在はホームページからWeb通販なども行っている。同社の様に不特定多数が購入者=顧客となる業種では、店や商品のPR活動はきわめて重要だと認識されている。

先代の時代までは電柱広告から交通広告、チラシ広告まで、コストをかけていろいろとやっていたそうだ。現在はホームページを主体として、広告や宣伝、企業PRも行っている。とはいえ、A社長も会社を引き継いだ当初は、ホームページにどんなものを、どのように載せればいいか全く分からなかったという。趣味程度でパソコンの知識はあったが、ホームページの制作会社にまかせるしかなかった。

ホームページを作りだしたきっかけは、周りの会社や得意先・仕入先の会社が始めていたから。ホームページの制作会社も知り合いの社長から教えてもらったそうだ。制作費はけっこう高いと思ったし、また実際に効果があるのかどうかという疑問も正直あった。周りの会社でも二の足を踏むケースが多かったようだが、これからはそういう時代になるという自身の感覚で決定した。

自社のホームページを導入後、しばらく経って他社のホームページを見たりすると、営業的な効果があるECの導入など、自社のホームページと相当な違いを感じた。そこでECも導入してみたが、思ったほどその売り上げは良くなかった。当初、ホームページを更新するのは新商品を作った時のみ。それ以外に更新する情報が見当たらなかった。

しかし現在では、季節毎のキャンペーン商品に併せて更新している。今後の展開としては、どんな人たちが作っているのかといった紹介や、和菓子の歴史や地域とのかかわりといった和菓子そのものの情報も掲載したいと考えている。他にも工夫できる余地はあるので、現状には満足していない。また、さらにアクセス数を増やしたいので、そういう点でも不満を感じる。アクセス分析などを行い、数値的な判断をもって効果的に活用したいという。何より、売り上げにつなげることが喫緊の課題だ。

ホームページは企業の存在証明として、必ず必要

一方、A社長と一緒に話を伺った広告代理業のB社長は、「下請けだから、それほど不特定多数に見られる必要はない」と、名刺代わり程度の認識だ。同社でも、もちろん企業ホームページはあるが、「会社案内のようなもの」だそうだ。ホームページくらいは持っていないと信頼されないと考え、昔に例えるならば電話帳に掲載する程度の必須条項としている。

B社長の会社は下請けであり、ほぼBtoBのビジネススタイルなので、ホームページに盛り込む内容は会社案内と営業案内、過去の実績くらいで十分としている。ホームページにいろいろ書いたり、提案したりしても取引先が増えるわけではないため、更新はほとんどしていない。その必要性を感じていない。企業実績、売上高などを中心に、年に1回ほど更新している程度だ。

同社の印象は、調査結果を見て思い浮かべた代表的なペルソナの一つのように思える。信頼される企業と思われることが重要とは思いつつ、現在の業務で手一杯であり、ホームページにまでは手がほとんど回らない。あるいは現在の顧客先のみで十分といった考えが見受けられる。とりあえず仕事はあるし、新規顧客を獲得しても人手が足りないし、人を入れるにはコストもかかるから今は対応する気がないといったところか。

そしてホームページは単なる名刺代わり程度であって、そこからどう活用するかも考えておらず、活用方法も分からない。あまりホームページに効果を期待していないので、単純に会社紹介のみになっているようだ。よって更新する必要もない。一貫していると言えば一貫している。

更新しないホームページなら、むしろ無いほうが良い

中小企業の経営者とホームページについて会話していると、B社長のように名刺代わり程度に企業案内の役割として考えている人が多い。実際に掲載する内容も、企業概要や商品・サービスの単なる説明程度だ。そして内容の更新についても特に意識していないため、特に何もなければ何年もそのまま放置している。実はここに大きな問題がある。

更新されないホームページは、むしろ企業にとってマイナスの効果しかない。最終更新が3年前といった企業ホームページを見ると、「本当にこの会社は今も営業しているのだろうか」などと思われてしまう。自社の存在をアピールすべきホームページを3年も放置したままの企業は、いま一つ信頼に足る企業とは思えない。逆効果でしかないだろう。

何もECなどの機能をふんだんに盛り込んだものに変えろということではない。少なくとも、今でも活力のある企業であることを証明しなくては意味がないということだ。

信頼のおける企業であることを重要視する経営者が多いのであれば、まずは何よりもホームページを構築すべきあり、構築したならば定期的な企業情報を更新するべきだ。そして少なくとも、経営者自身のポリシーぐらいは宣言してほしいと思う。

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企業はもともと創業する際にコアな事業があったわけで、その事業を継続して今に至るという歴史を持っている。企業の性格によっては、新規事業や海外への販路開拓などへと進むべき企業もあるだろうが、多くは限定的な展開となるだろう。基本はコア事業をじっくりと育て、継続するということになる。

プロフィール

小さな組織では何が経営課題か?

小さな組織の未来学では2014年12月、想定読者層にあたる企業、特に従業員100人未満の企業の経営者を対象に「経営に活かすITの活用実態に関する調査」を実施しました。ここでは、その調査結果を紹介し分析していきます。調査を行ったのは株式会社ノークリサーチ。