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特集

2015.04.10

外部から「信頼を得る」ことが極めて重要な課題

小さな組織では何が経営課題か?

〜「経営とITに関する調査」から〜

IT 信用 危機管理

2014年12月、本サイトの想定読者層にあたる企業、特に従業員100人未満の企業の経営者を対象に、「経営とITに関する調査」を実施した。回答数は300件。調査の目的は、経営者の自社企業に対する「経営課題とその重要性と対応」、および「経営を支えるためのIT基盤」と「経営に活かすためのITの活用実態と方向性」を分析すること。このコラムでは、その調査結果に基づき、「企業を継続するためには、儲けるためには経営者として“何をどう考えるべき”か?」、そして「ITを経営に活かすためにどうすべきか?」について分析していく。
「中小企業及び小規模企業 経営とITに関する調査」概要(PDFダウンロード

小さな組織はどのように信頼を獲得するのか

企業が生きるためには、売り上げと利益を生み出すスキームをもつことが最重要の経営課題であることは言うまでもない。では、それ以外の要素で経営者は何を経営課題として重要視しているのか。今回の調査結果から見ると、各種の経営課題の中から「信頼のある会社と思われたい」が最も多い回答を得た。経営者の約8割(77.0%)が重要な経営課題として挙げている。

経営課題の重要度 「信頼のある会社と思われたい」

昨今、情報漏洩や食品偽装、さまざまな人的不祥事、モラルハザードなど、社会的責任・倫理観を問われるような不祥事を起こした会社に対しては、SNSによる情報拡散なども含め、追及の手が厳しくなる一方だ。CSR(企業の社会的責任)の保持・保全は重要な要素だろう。それは大企業だけでなく、100人未満の中小企業でも同じことが言える。むしろ中小企業のほうが、倒産にまで追い込まれるような、より決定的なダメージを被る可能性が高いからだ。

問題は、その命題について実際に中小企業がどのように考え、どう対応しようとしているかだろう。そこを前回同様、実際の中小企業経営者との意見交換から取り上げつつ考察したい。

「信頼」を継承できる会社の最低条件

地方にある老舗食品製造小売業の4代目経営者であるAは、「信頼は会社の継続・存続自体に必要不可欠で、これが無いと会社の継続が不可能」、さらには「会社としての最低限の構成要素」と語る。では、その「信頼」の中身とは何か?

例えば、商品の質と安全・安心、社員の対応、サービス、フォロー、店舗の外観や内装、会社や商品の歴史、仕入先との関係、売り上げ、支払いなど、会社の活動要素をしっかりと理解した上で、そこにモラルが加わる。そして、それが顧客に評価されて、その積み重ねが信頼となる。

サービスや商品には、無条件でカスタマーロイヤリティ、ブランドロイヤリティが発生する。例えばBtoCの商品の場合、「親が使っていたから」という理由で、子供が何の迷いも無く選択するケースが多い。この場合は、商品や会社の歴史(あるいは商品の継続性)に対して信頼=ロイヤリティが発生している。口コミは、そういった層をコアユーザーとして広まっていく。つまり“信頼”が顧客を作り、ファンを広げ、会社の価値を高めることで、自ずと経営しやすい環境がつくられる。その結果は、売り上げや会社の成長へとつながっていく。

一方、業績の思わしくない会社は、目先の売り上げや資金を優先し、内部に投資する余裕はないことが推察される。余裕があるならば、Webサイトを工夫して企業をPRしたり、SNSを使って自社をプロモーションするなど、ITを駆使して顧客との接点を大事にすることができるだろう。「会社の存続や売り上げ優先だけではいけない」とは理解しているようだが、小さな会社の社長は目の前の営業活動に専念するあまり、社内基盤の充実までは現実問題として手が回らないのが実態だ。

「顧客への信頼」と「社会的な信頼」

下請け主体の小さな広告代理店の社長Bは、信頼について「特定された相手に対しての信頼であり、ロイヤリティと言い換えてもよい」「会社は信頼されたいはずだ。それは信頼されないと仕事が来なくなるからだ。信頼されるには、納期を守り、クライアントのニーズに応えて満足感を得ること。クライアントの先のクライアントにも迷惑をかけないこと」と語る。そして、そこが下請けである同社の強みだと十分に認識している。

一方、情報漏えいなどのセキュリティについては「関係ない」ものとして見ている。それは事業が「BtoBであり、一般のコンシューマーがいないので関係ない」から。セキュリティを強化したところで売り上げが上がるわけではないし、何よりコストになるだけだ。ベネッセコーポレーションのような個人情報流出のトラブルを見ても、「BtoCは大変だ」と対岸の火事のように感じている。

同社ではイベントの手伝いやアンケートで個人情報を得ることはあるが、多くても数百件レベルなので、ベネッセのようなトラブルが起きることは想定していないという。同社ではほとんど個人情報を扱うことがなく、あったとしても少数であり、問題はないとしている。そして企業としての信頼については、特定の企業や人に対してさえ信頼があれば、十分であると考えているようだ。

しかし現在の社会において、企業の活動は常にネットワークを通じて不特定多数の目にさらされる危険性をはらんでいる。従業員教育や企業モラルに関して厳密に対応すべきことは、いかなる組織であっても果たすべき重要な命題ではないだろうか。個人情報を扱うことがなくとも、取引先の大切な情報などが外部に漏れてしまうことがあれば、経緯のいかんを問わず会社にとって致命的な事象となり得る。

「信頼される会社」になるために、今やるべきこと

そういった思いとは裏腹に、例えばパソコンのセキュリティソフトに関する調査では、35%が「利用していない」という結果が出ている。また「従業員への教育」などにも関心が低い。「信頼のおける会社」への思いはあるものの、実際に投資的な行動に移していない企業が、まだ相当に多いことが分かる。

一回の失敗でさえ会社を揺るがす可能性のある「信頼を失うこと」のリスクを理解しているのであれば、その対応を行うのは、今すぐでなければならない。そして信頼を保つためにもっとも重要な要件は、人に対する教育・投資だ。それを“コスト”の一言で片付けてしまっては元も子もなくなるので、ご用心である。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
次世代への企業継承とは何か?

今回からは調査結果に基づき、従業員100人未満の中小企業経営者の現実と希望を探ってみる。さて1回目は、会社にとって次の社長が決まっているか、つまり継承者が決まっているかどうかについて。

プロフィール

小さな組織では何が経営課題か?

小さな組織の未来学では2014年12月、想定読者層にあたる企業、特に従業員100人未満の企業の経営者を対象に「経営に活かすITの活用実態に関する調査」を実施しました。ここでは、その調査結果を紹介し分析していきます。調査を行ったのは株式会社ノークリサーチ。