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特集

2015.12.09

地方に仕事を! 地方に企業を! 地方に人を!

創生する未来

〜地域支援プロジェクト〜

地方創生 IT 地方

いま、自分のいるこの場所は終わっているのか?

「創生する未来」プロジェクトでは、自分がまさにいるその場所を「地方(=地域)」と定義している。つまり、人口の多寡やGDPの指標などとは関係なく、すべてのエリアを「地方」として見ているわけだが、本稿では便宜的に東京などの首都圏以外を地方として話を進めることにする。

地方向けの施策や活動は過去から現在まで、官民くまなく多くのものが行われているが、何より一定の基準や視点にそって継続されることが重要である。この種の活動は実際に効果が出るまでに一定の時間がかかるものであるため、性急な成果を求めるあまり、短期間であきらめてしまう例が多々見受けられる。

創生する未来プロジェクトは、活動が継続すること、比較的時間をかけて実効を成してゆくということを前提にしている。経験論から言えば、この種の活動は誰かの犠牲や一部の頑張り、ボランティアでは長続きしない。

継続的な活動のためには一定の経済的なサポートが必要だ。そのためには支援者が欠かせない。プロジェクトの支援者として産官学が一体となり、特にITベンダーを中心とする民間の企業が加わっているのはそういう理由だ。

このプロジェクトは、経済産業省の「攻めのIT経営中小企業百選」という、全国の優れた中小企業のIT活用事例を表彰して地域を盛り上げる運動とも同期するように、2014年の12月にスタートした。

その後、「創生する未来」プロジェクトの母体となるクラウドサービス推進機構による、優れたクラウドサービスを認定する制度が始まり、初めての認定クラウドサービスが選定されたのが、2015年6月であった。

9月には総務省による「ふるさとテレワーク推進会議」で、創生する未来に関連する団体・企業も参画する産官学のコンソーシアムの提案が採択されることになり、総務省の実証実験にかかわるところとなった。この連載はそれに伴って始まったものだ。

過去にいくつか掲載された記事を参照してほしい。このプロジェクトはITやクラウドという要素技術、ツールを通じて、地域や中小企業、そこに関連する人たちをサポートすることを目指している。

地方に仕事を、地方に企業を、地方に人を!

地方には仕事がない、仕事が無いので人は首都圏、大都市圏に出て行く。子供が少ない上に、働き手は流出するので、高齢者が地方に多くなる。この繰り返しで、地方はさらに高齢に寄った人口構成比となり、人口は減少し続ける自治体ばかりということになる。

このままだといわゆる消滅してしまう自治体が数多いという説(日本創成会議では国内の約半数にあたる896の自治体に消滅の可能性があるとした)については、決して全面的な肯定はできないが、現実はその方向に進みつつあり、しかも首都圏ですら「大都市だからすべて大丈夫」ということでもない深刻さをはらんでいる。

「首都圏から地方に人が移住するだけでも、救われる地方が出てくる」という国の施策は、一定の効果を得られる可能性がありそうだ。正確に言えば、そもそも首都圏から地方に移住させること自体に困難な問題があり、「どのように地方に移すか」がポイントになる。

一方で、高速な通信回線がどこでも敷設されるようになり、ネットワーク、クラウドなどの新たな技術、ツールを用いることが可能になっている。また、通信インフラの環境さえ整っていれば、テレワークと呼ばれるような、場所の制限がなく、現実に人と会わなくてもよく、しかも仕事の場所を気にすることもなく、一定の仕事ができるようになってきた。

場所にとらわれずに仕事ができれば、首都圏などの都市でなくとも、地方の好きな場所で仕事ができることになる。そのためテレワークによる新たな仕事の仕方が俄然(がぜん)注目を集めるようになっている。

この話は可能性としては理解できるが、果たして通信回線などのインフラが整ってさえいれば、テレワークによる仕事の変革、首都圏で働く企業、人がそのまま地方へ移って仕事が同じようにできるのだろうか?

地方創生のフックとなる「ふるさとテレワーク事業」への期待

ふるさとテレワーク事業は、総務省が2015年9月から来年の2月まで全国15箇所で提案採択している実証実験である。地元に仕事を生み出す、人が地元から出て行かない、都会から地元に人や企業が来る、いわゆる地方創生を目的とした課題解決のための実証実験だ。

地方創生は何をもってゴールとするのかが曖昧になっているかもしれない。あるいは現実的な実現方法を導き出せていない可能性がある。もっとも端的なゴールは、そこに住んで生活している人、地元の企業にとって成果が見えることである。

連載のこのシリーズでは、この公的な目論見、つまり地方創生という大義を実現するための第一歩として、実証地域となっている松本市と横須賀市(プレスリリース「総務省事業、横須賀・松本商工会議所地域連携モデルの採択のお知らせ」)を通して、地方の今まで、そして地方のこれからを伝えていきたい。

松本、横須賀へは筆者を含み、この提案された採択事業にかかわる関係者へのインタビューをもとに進める。特に、ITやクラウドなどの新しい要素技術やツールを介した仕掛け・戦術を一つの要素として展開する、地方創生事業の実効はどうなのかを見極めたい。

本来の地方の持つ特徴、強み、弱み、課題などはそもそも、この事業をもとに変えることができるのか、もしくは変わらないのか、あるいは全く別の視座による地方の展開があるのか。そのあたりのヒントも出すことも、この連載に期待しているところだ。

文:ノークリサーチ代表取締役 伊嶋 謙二

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脚光を浴びている「地方創生」というキーワードも実は新しくて古い根源的なテーマだ。そして2014年は何回目かの地方の再生・創生が脚光を浴びている時期となっている。

プロフィール

創生する未来

《創生する未来とは何か?》「創生する未来」とは、ノークリサーチが提唱する地域支援のための活動です。地域自治体、地域経済団体、大学などと連携し、地域のITを提案する企業、ITを活用して事業の推進・拡大を目指す地元企業に向けて、IT/クラウド/IoTなどの最新技術をツールとしたセミナーなどの企画、運営、実行する事業を行います。また、調査やコンサルティングも行いながら、地域におけるITの認知、啓蒙、活用による地域企業を支援し、それによる地域活性化を目標としています。