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松山城 二之丸史跡庭園

モノと道具を再構築する

2016.08.25

企業の成長に欠かせない切り札、インサイドセールスで売上アップ!

創生する未来

〜地域支援プロジェクト〜

IT 地方創生 マーケティング

旧来の法人営業から脱却し、売上目標を達成する経営手法

前回は、四国の人材派遣・紹介会社のクラウドSFAの事例について紹介した。今回は、最近注目を浴びているマーケティングオートメーション(MA)にも関係がある「インサイドセールス」について紹介しよう。

東京に本社を置くブリッジインターナショナルは、2007年に松山市の誘致企業として、同市内に事業所を開設した。現地スタッフは2016年現在150名まで増えている。松山には愛媛大学のほか、3つの大学があり、彼らによれば、これらの大学には地元への帰属意識が強い優秀な新卒も豊富なのだという。同社代表取締役社長の吉田融正氏は「地元企業への定着率が高く、雇用が流動化する東京よりも人材確保面で有利なのです」と、松山に拠点を置いた理由について説明する。

ブリッジインターナショナル 代表取締役社長 吉田融正氏
ブリッジインターナショナル 代表取締役社長 吉田融正氏

同社は松山市のほかにも福岡市の天神に事業所を持ち、今年6月には徳島市に新たな拠点としてサテライトオフィスを開設している。そんな同社が、法人営業を活性化するために提案しているのが「インサイドセールスマネジメント(ISM)」だ。ISMとは、経営指標のなかで最も重要な売上目標を「インサイドセールス」によって確実に達成するという手法だ。インサイドセールスとは、電話、eメール、Webinar(Web上のセミナー)、SNSなど、マルチチャネルを利用する非対面営業(内勤営業)活動のこと。同社では、このISMを支えるために、コンサルティング、アウトソーシング、ソリューションの3本柱をクライアントに提供している。

経営上の最大の課題は、売上拡大と収益確保に尽きる。しかし、法人営業というものは属人的な要素に左右され、それも営業組織内でブラックボックス化していることが多かった。つまり、いまでも現場では、一部の優秀な営業マンとその既存顧客による売り上げで占められているケースが多い。

吉田氏は「これまで広告やセミナーなどから顕在ニーズを拾ってきましたが、モノが売れない低成長時代に入っています。潜在ニーズを喚起しなければ、売り上げを達成することは難しいのです。しかし従来モデルでは、販売から見積もり、受注、納品まで一人の営業が担当しており、新規顧客を開拓する余裕もなく、期待した成果も上がりませんでした」と指摘する。

そこで、新しい法人営業モデルとなるインサイドセールスの出番となるわけだ。インサイドセールスは、欧米で常識的な手法になっているという。

インサイドセールス総合ソリューションとは?

ブリッジインターナショナルが提供するインサイドセールス総合ソリューションは、訪問なしのインサイドセールスと従来の訪問型営業をプロセス的に分業して管理している。

いろいろなチャネルから潜在的な見込み客(リード)を発掘しても、その中ですぐに商談につながるような“ホットリード”はほとんどない。そこで、現状を把握した上で、見込み客を醸成する「リードナーチャリング」を実施し、確度が高い(購買の可能性が高い)リードだけを選別し、営業部門に引き渡すことが求められる。商談化できない質の悪いリードをむやみやたらに多く渡されても、逆に現場の営業が困ってしまうからだ。

同社のインサイドセールス総合ソリューションは、前段のインサイドセールスをアウトソーシングとして提供している。具体的には、センターのスタッフがリード発掘から、現状把握、リード醸成、課題発掘までを担当する。これらの情報は、SalesforceベースのクラウドSFAサービスに蓄積される。ここから確度の高いリードのみが、顧客企業の訪問型営業に渡され、成約に向けて具体的な提案活動が始まる。

インサイドセールス総合ソリューションの概要。マルチチャネルを利用する非対面営業活動を行い、リード発掘からリード醸成などを前段で実施。その後、後段の訪問型営業につなげてクロージングさせるという流れだ
インサイドセールス総合ソリューションの概要。マルチチャネルを利用する非対面営業活動を行い、リード発掘からリード醸成などを前段で実施。その後、後段の訪問型営業につなげてクロージングさせるという流れだ

ここで特に注目したいのは、顧客の特性によって複数のプロセス分業モデルが考えられることだ。同社では、顧客のポテンシャルや規模に応じて、インサイドセールスと訪問型営業の分業モデルを臨機応変に変えていくように提案している。

「例えば、大規模セグメントで期待される売上規模が大きい場合は、最初から訪問型営業でフルカバーしたいというお客様も多いです。一方、中規模セグメントでは、インサイドセールスと訪問型営業が二人三脚で協力しあうほうが効果的でしょう。小規模セグメントになると、多くの企業にアプローチする必要があるため、効率性が求められます。インサイドセールスと訪問型営業を完全に分離し、前段のインサイドセールスが営業プロセスの多くをカバーし、後段の訪問型営業はクロージングに特化します」(吉田氏)

つまり、インサイドセールスと訪問型営業をどの割合で分業していくべきか、投入リソース(人員数)と、その見返りとなる売上・利益とのバランスを考慮することが重要なポイントになっている。

顧客特性別(顧客ポテンシャルとセグメント規模)に応じて、インサイドセールスと訪問型営業をどの割合で分業していくべきかという点がポイント
顧客特性別(顧客ポテンシャルとセグメント規模)に応じて、インサイドセールスと訪問型営業をどの割合で分業していくべきかという点がポイント

インサイドセールスで前段の負荷を軽減し、訪問型営業は主戦場の“提案活動”にフォーカスする

では、インサイドセールスとの分業によって具体的にどのようなメリットがあるのだろう? 訪問型営業のみのケースでは、営業活動の初期段階であるリード発掘やリレーション構築に十分な時間をかけられず、どうしても抜けやムラが発生していた。しかし、分業を行うことでリード発掘からクロージングまでの営業プロセス全体にかかる負荷を均等に分散できる。

「訪問型営業は、すべての営業プロセスのなかで最もコストがかかる一方で、最もスキルを発揮されることが期待されます。そこで主戦場となる「提案活動」と「成約活動」にフォーカスしてもらいます。前半のリード発掘やリレーション構築については、インサイドセールスのほうでカバーします。これにより負荷が軽減されたぶんを、ほかのスキル習得にも回せるようになるのです」(吉田氏)

効果について考えたとき、もし10名の営業がいて、1人当たり1億円の売り上げで10億円を計上していたとする。そこにインサイドセールス担当を3名ほど投入する。人数は増えるものの、インサイドセールスの仕組みにより、仮に1人当たり1.2億円まで売り上げをアップできたとすれば、計13人で15億円超の売り上げになる。適材適所に人員を配置して、分業しながら利益を高めていけるわけだ。

インサイドセールスによる生産性の向上と売上効果。1人当たり1億円だった売り上げを、仮に1人当たり1.2億円までアップできたとすれば、13人で15億円超の売り上げになる
インサイドセールスによる生産性の向上と売上効果。1人当たり1億円だった売り上げを、仮に1人当たり1.2億円までアップできたとすれば、13人で15億円超の売り上げになる

吉田氏は「企業活動のバリューチェーンのなかで営業の生産性を高めるために、販売・マーケティングの部分をしっかりと改革し、情報を可視化していく必要があります。個人の経験と勘に頼る古い法人営業スタイルから脱却し、組織として対応できるモデルにしなければ、企業全体の成長もますます厳しくなるでしょう」と注意を促す。

これからインサイドセールスは、業界や規模にかかわらず、企業の成長に欠かせない切り札になるだろう。慢性的な営業課題を解決するために、中堅・中小企業だからこそ使いこなしていくべきソリューションなのかもしれない。

「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」の模様
「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」の模様

ブリッジインターナショナルによるインサイドセールスの記事は、6月17日に松山市で開催された「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」における講演をベースに執筆したものです。セールスフォース・ドットコムは、クラウド・ITの活用事例を通じ、「業務効率化」や「仕事の見える化」を目指すための秘訣やヒントを全国各地のセミナーにて紹介しています。

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創生する未来

《創生する未来とは何か?》「創生する未来」とは、ノークリサーチが提唱する地域支援のための活動です。地域自治体、地域経済団体、大学などと連携し、地域のITを提案する企業、ITを活用して事業の推進・拡大を目指す地元企業に向けて、IT/クラウド/IoTなどの最新技術をツールとしたセミナーなどの企画、運営、実行する事業を行います。また、調査やコンサルティングも行いながら、地域におけるITの認知、啓蒙、活用による地域企業を支援し、それによる地域活性化を目標としています。