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モノと道具を再構築する

2016.08.08

効率的なクラウドSFAで四国の人材派遣・紹介を支えるアビリティーセンターの取り組み

創生する未来

〜地域支援プロジェクト〜

IT 地方創生 効率

攻めのIT投資へ転換を! クラウドの啓蒙活動を進める松山のベンダー

前回までは四国最大の地方都市・松山が抱える問題を考えてきた。今回から2回にわたり、ICTの力で地元を元気にしているベンダーや、クラウドを活用して自社の業務効率化に成功した企業について紹介する。

四国は全般に、中堅・中小規模の企業が多く、大企業は数えるほどしかない。特に松山は、一大消費地として第三次産業が中心の商業都市、つまり個々の企業規模は大きくない。そのため地元企業も身の丈にあったIT投資でシステム導入を進めることが現実的な解になっているようだ。

スカイネットシステム 代表取締役 中岡富茂氏
スカイネットシステム 代表取締役 中岡富茂氏

スカイネットシステムの中岡富茂氏は「我々はITコストを考慮し、クラウドサービスの導入・開発支援を始めています。地元企業はまだ(ローカル環境上の)MS Excelで案件を管理していることが多く、出先からの迅速な対応や売り上げの予測・管理がうまくできていません。会議のために、わざわざ資料を作り直すことも日常茶飯事。しかしクラウドを利用すれば、いつでもどこでも情報を引き出し、データを見える化できます」と語る。

同社は、もともと在庫・生産・顧客などの管理システムを手掛けてきたが、クラウドサービスとして「GoogleApps」や「Salesforce」を取り扱い、地元企業の業務効率化を支援。クラウドへの理解がようやく浸透してきたタイミングで、コスト削減という「守りのIT投資」から、売り上げの増大につながる「攻めのIT投資」への転換を図るべく、地場の中堅・中層企業に対して啓蒙活動を行っているそうだ。

クラウドSFAに移行した愛媛の人材派遣会社の取り組み

すでにクラウドSFA(営業支援システム)を採用し、自社システムを移行した企業もある。愛媛県新居浜市に本社を置くアビリティーセンターは、従業員110名、年商36億円の人材派遣会社だ。

アビリティーセンターのWebサイト
アビリティーセンターのWebサイト

同社のメイン事業である人材派遣サービスには、四国を中心に約6万人の登録者がいる。一方、人材紹介サービスのほうも、主に四国エリアにUJIターンを考えている求職者が年間800人ほど登録している。営業向けの社員研修やアウトソーシング・インソーシングも提供し、企業内容をアピールする動画制作なども数多く手掛けているそうだ。

一般業務の流れは、まず、欲しい人材に対する依頼を営業が受けることから始まる。クライアント企業からの受注案件を、社内のコーディネーターに渡し、彼らが社内データベースの登録情報をもとに、最適な人材をマッチングさせる。業務プロセス自体はシンプルなので、社内システムもそれほど複雑でないように思われるかもしれない。しかし業界的に少し複雑な事情があり、内部的にはビジネスプロセスの動線も分断されていた。

アビリティーセンター 情報戦略グループリーダー 加藤士陽氏
アビリティーセンター 情報戦略グループリーダー 加藤士陽氏

「以前は、人材派遣業と人材紹介業の政府の管轄が異なっており、人材派遣システムと人材紹介システムを独立して構築する必要がありました。そこへインターネットの進展にともなって後付けでWebシステムも追加したので、さらに社内システムが複雑になっていたのです」と打ち明けるのは、同社でシステムを担当する加藤士陽氏だ。

実は、クラウドSFAであるSalesforceについても、同社はだいぶ前から導入済であった。ただし、従来の人材派遣・紹介システムだけで主な業務が回っていたため、Salesforceは営業日報での利用にとどまっていたという。

そんな折、労働者派遣法の改正もあって、新たに社内システムを見直すことになったという。そこで、これまで一部の利用にとどまっていたSalesforceを有効活用しようという話になったそうだ。

「我々の営業プロセスを含めて、セールスフォースドットコムさまにサポートしてもらえることになり、クラウドSFAを中心としたシステムに変更することにしたのです」(加藤氏)

顧客拡大を狙うマーケティングオートメーションの展開も!

社内システムをSalesforceに寄せるにあたっては、Salesforceの開発ノウハウを持つベンダーを紹介してもらった。新しい社内システムによって、人材派遣・紹介システムがSalesforceで1本化された。経理系の売上データもSalesforce側に逐次インポートする構成にして、売上予測・管理にも対応させた。

このように同社のシステムは、Salesforceの本格活用により、人材マッチングやコンタクトも含めて業務プロセスが大変シンプルになった。加藤氏は「Salesforceを本来の営業支援ツールとして使い倒すことができました。また人事評価システムにもSalesforceを取り入れています」と新システムを評価する。

スクラッチのシステムから、クラウドサービスを利用した新システムに移行したことで、営業支援と業務の効率化が進んだ同社だが、さらにSalesforceによる今後の展開も思案中だ。

Salesforce「Pardot(パードット)」
使いやすい見込み客発掘ツール、パーソナライズされたカスタマイズメールの送信、見込み客の育成と評価による新規の引き合いの増加、強力な分析ツールによるマーケティング投資対効果の改善が可能な「Pardot」

1つ目として、MA(Marketing Automation)の可能性を探っている。Salesforceでは「Pardot(パードット)」と呼ばれるサービスを提供しているからだ。

「我々の業務も求職者のコンタクトがメールやSNSなど多様なチャネルに広がり、どのチャネルが最適か計測しづらい状況です。そこでMAを導入し、マーケティング活動に生かしたいと考えています」(加藤氏)。

また今後はSalesforceの「Comunity Cloud」を利用し、顧客やパートナーとつながるコミュニケーションなども進めていく予定だ。

「企業側から自社サイトに直接コンタクトしていただき、求人情報を入力できるようにする方針です。これで我々の営業活動の負荷も減り、お客様に向きあう仕事も増えるでしょう。さらに求人情報がアップされた段階でタイムリーにオウンドメディアに反映される仕組みを構築したいと思います」(加藤氏)

後編では、企業の売り上げを向上させる攻めのIT施策として、最近、特に注目を浴びているインサイドセールスやMAについて紹介する。モノが売れない時代の経営手法に役立つヒントが得られるだろう。

「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」の模様
「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」の模様

アビリティーセンターのクラウドSFA事例は、6月17日に松山市で開催された「中小企業の“攻め”を産み出すクラウド戦略 in 松山」における講演をベースに執筆したものです。セールスフォース・ドットコムは、クラウド・ITの活用事例を通じ、「業務効率化」や「仕事の見える化」を目指すための秘訣やヒントを全国各地のセミナーにて紹介しています。

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優秀な人材を呼び込む「変則Iターン」で地方活性化を狙う

今回は、松山商工会議所に商工活性化の立場から、ITに関する企業支援や人材発掘などの取り組みについて話を伺った。松山商工会議所は明治15年に設立され、130年を越える歴史がある団体だ。これまで企業経営の支援や実務的なサポートのほか、地域活性化、産学連携の取り組みなどを実施してきた。

プロフィール

創生する未来

《創生する未来とは何か?》「創生する未来」とは、ノークリサーチが提唱する地域支援のための活動です。地域自治体、地域経済団体、大学などと連携し、地域のITを提案する企業、ITを活用して事業の推進・拡大を目指す地元企業に向けて、IT/クラウド/IoTなどの最新技術をツールとしたセミナーなどの企画、運営、実行する事業を行います。また、調査やコンサルティングも行いながら、地域におけるITの認知、啓蒙、活用による地域企業を支援し、それによる地域活性化を目標としています。