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人を組み替える

2015.06.09

採用面接における“面接官”側の心構え──真に優秀な人材とは

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

社会 コミュニケーション 意識改革

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

優秀な人間を採用したい。新卒で採用するなら、なおさらだろう。

経営者にとって、コミュニケーション能力に長けた人材へのニーズは高まる一方だ。「みんな一緒」という20世紀型の成長社会から、「それぞれ一人ひとり」という21世紀型の成熟社会へと移行し、情報処理力よりも情報“編集力”が求められる時代となっている。正解を早く正確に当てる情報処理力については、学歴によってある程度測ることもできるが、情報編集力はそうもいかない。

情報編集力とは、例えば用意されたア〜エの4択問題から正解を当てる力ではなく、自分で仮説を立てながら4つの選択肢を生み出し、答えはどうもアとイの中間にあるのではないかとか、チャレンジしてみたら実はア〜エでもなくBが一番良かったといった納得できる解=“納得解”を導き出す力だ。正解主義ではなく、修正主義で物事を進められる人材が重要となる。

そういった人材を見抜くためには、面接する側にも知恵が必要となる。以前にもご説明したが、リクルートにおいて伝説となっていた採用担当者の方法を、いま一度ご紹介しておきたい。

面接のとき、「大学時代にどんなことをしていましたか」と聞けば、学生側も練習してきたとおり、立て板に水のように語り出すだろう。人間は、近い過去についてはいろいろと嘘をつくこともできる。そういった話は、それほど信用できるものではない。

なので、それは自慢話として聞き流し、翌週にもう一度来てもらい、今度は高校のときの話を聞いてみる。そこでまた自慢話を聞いても良いが、徐々に失敗・挫折・病気といったマイナスモードの話を聞き出し始める。次週は中学のときの話、その次は小学校のときへと徐々にさかのぼり、遠い過去におけるマイナスモードの話をしてもらう。

近い過去については嘘もつけるが、遠い過去については嘘はつきづらくなる。そこで果たして、自分の失敗や挫折や病気といった話、もしくはいじめられていたり、入院が長引いて勉強に追いつけなくなってしまったといった話を、いかに人に面白おかしく話せるか。そこに、その人のコミュニケーション能力の神髄が現れることになる。面白おかしく話せるということは、その人がそうした苦難を乗り越えてきた証でもあり、こちらがじっくりと聞いてあげるだけで、お互いの絆を深めることにもつながる。

面接のときはプラスモードだけを聴くのではなく、マイナスモードの話をヒアリングしてあげる。そういった姿勢で、ぜひ応募者のコミュニケーション能力を推し量ってみて欲しい。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
失敗・挫折・病気──相手を引き込む「マイナスモード」の自分プレゼン

相手とつながるためには相手が感心のあることを話す必要があるが、失敗・挫折・病気といったことについては誰でも経験するものなので、相手の中に「像」を結びやすい。それを語るだけで共感され、感情を共有しやすい話題と言える。

プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。