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人を組み替える

2015.06.02

「ゼクシィ」「ホットペッパー」そして「受験サプリ」……“ガチ”だから提案されたアイデア

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

競争 イノベーション 意識改革

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

リクルートにおけるイノベーションの秘密を語るとき、「RING(Recruit Innovation Group)」という新規事業提案制度について触れないわけにはいかない。新入社員から役員まで、全社からアイデアを出しまくるこの制度によって、社員の意識を改革し、イノベーションの起こりやすい風土を醸成しているからだ。他社の社長や人事の人間が、リクルートへと見学に来ることも少なくない。

この制度が開始されてから30年以上も経つので、いまや形だけ続けられているような制度かと思うと、そんなことはないようだ。数年前に「受験サプリ」という事業企画がRINGにおいてプレゼンされ、いまや受験生の2人に1人が利用するサービスとして世に広まっている。

この企画の中心にいた人間は、他のIT企業からリクルートへと転職してきた一社員だった。しかし、この企画にあっという間に予算が付き、1年後にはネットビジネス推進室の室長になっていた。そしてその1年後には、会社の執行役員となり、2〜3年で年収が2〜3倍になったなんて噂も聞く。いま、彼はその部門を統括する会社の社長だ(笑)。リクルートという会社では、それぐらいスピーディーに投資と人事が行われる。

一般的に社内でアイデアコンテストなどを行っても、何となく表彰してそれで終わってしまう。いわば社員の“ガス抜き”にしかならないケースが多い。その程度の制度だということは社員にもすぐ伝わってしまうから、翌年からは「そんなことに時間をかけてももったいない」ということになり、左から右へカット&ペーストしたものが提案されることになる。

ところがリクルートのRINGの場合、審査を通過して先に進むと、各アイデアに予算も役員もつくことになる。優勝を目指して関係者が責任もって進め、それが通った場合には事業として予算が付き、遂行する責任者が指名される。多くは言い出しっぺだ。だからこそ、次から次へとアイデアが出てきて、それが事業になっていく。「とらばーゆ」も「じゃらん」も「ゼクシィ」も「ホットペッパー」も、そういう中から生まれてきた。

イノベーションの起こりやすい風土を培おうというとき、形だけの制度を採用しても意味はない。新規事業のアイデアを募るならば、失敗しようが実際に人と予算をつけてやってみるという意気込みこそが第一なのだ。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
「真摯さ」「出口」「参画性」──人望あるリーダーなら体現している、当たり前の資質

社内のコミュニケーションレベルが上がり、アイデアも豊富でイノベーションが日常的に起こるようになれば、経営者やマネージャーの評価も自ずと上がっていく。しかし、人望という点ではどうだろうか。今回は、人望ある経営者なら持っている資質について、三つにまとめてみた。

プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。