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人を組み替える

2015.05.26

社員が3万人ならば、3万本分の「ベクトルの和」を求めなければならない

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

コミュニケーション イノベーション 意識改革

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

社員の心をつかみ、人事管理(ヒューマンリソースマネジメント)をするときは、ぜひ「ベクトルの和」の考え方で進めてほしい。

会社という太いベクトルの矢印に対して、ナナメの方向を向いた従業員の細いベクトルがある。それらを2辺とした平行四辺形を描き、「ベクトルの和」となる長い対角線上に“ツボ”を見いだすことによって、お互いに最大のエネルギーを発揮することができる。

リクルートでは、組織と個人のあいだでシナジー効果を生むために、この方法を全社員一人ひとりと行おうと考えていた。社員が3千人いれば3千本の様々なベクトルが存在することになるが、一つひとつとベクトル合わせを行わなければならない。

その昔、リクルートでは異動希望を年に4回も聞き取りしていたことがあった。さすがにそれは多過ぎるので今は1、2回に落ち着いていると思うが、社員の1から3千まで、ベクトル合わせをサボらずに行おうという意識が大事だ。

20世紀の「成長社会」から21世紀の「成熟社会」に入り、一人ひとりが多様な解を見つけ出さなければならない複雑な社会に突入したことを、本連載の第1回からお伝えしてきている。皆が同じ正解を素早く引き出す「情報処理力」が重要視されていた時代から、関係者同士が納得できる解を探りあてる「情報編集力」が大事になっている。正解主義ではなく、修正主義で仕事を進めなければならない。

「みんな一緒」という感覚から脱却できず、「それぞれ一人ひとり」という時代の流れをとらえられない会社のビジネスシステムでは、年々利益を失っていく。既に成熟社会の新しい潮流に逆らわず「それぞれ一人ひとり」の顧客をとらえる努力を怠らなかった携帯会社やコンビニ、通販会社などが、利益を総取りしていくこととなる。

ヒューマンリソースのマネジメントにおいても、皆が一緒だという感覚で部門単位に考えているようではもう遅い。社員が3万人になっても3万本を別々のベクトルととらえ、一人ひとりとベクトル合わせを行おうとする会社が勝ち残る時代に突入していることを、忘れないでほしい。

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プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。