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人を組み替える

2015.05.07

「真摯さ」「出口」「参画性」──人望あるリーダーなら体現している、当たり前の資質

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

成長戦略 信用 リーダー

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

社内のコミュニケーションレベルが上がり、アイデアも豊富でイノベーションが日常的に起こるようになれば、経営者やマネージャーの評価も自ずと上がっていく。しかし、人望という点ではどうだろうか。今回は、人望ある経営者なら持っている資質について、三つにまとめてみた。

まず一つ目は「真摯さ」。かのドラッカーが、一も二もなく経営者にとっていちばん大事な資質だと繰り返し述べている。真摯さとは、誰よりも真面目で、ひたむきに物事に取り組む姿勢と言ってもいいだろう。日常的にどのような取り組み方をしているのか、従業員も取引先もしっかりと見ているものだ。

ドラッカーといえば、ユニクロの柳井正さんは信仰者だし、リクルートを創業した江副浩正さんもたびたび引用していた。この真摯さがいちばん大事だということは、強く胸に刻み込んでほしい。

そのうえで二つ目を説明すると、自分の仕事の「出口」を考えているかということ。マーケットを開拓した後、状況が変化しているのに、いつまでも同じ所に居座っていたり。次の段階に入ったら誰に任せるべきか考えていなかったり。創業段階から管理すべき段階、利益を出さなくてはならない段階に移行しているにもかかわらず、いつまでも自分の役割に執着していたり。そういう人がけっこう多いのではないかと思う。

創業経営者の率いるオーナー企業とサラリーマン経営の企業では異なる部分もあるだろうが、サラリーマン経営者やマネージャーの場合は特に、何を成し遂げたら自分は退いて次に任せるのかという発想を持っているか持っていないかによって、人望に大きな影響を及ぼす。リクルートでは、そういった社長交代が非常にうまく進められていると思う。

そして三つ目は、「参画性」を高めることだ。従業員の参画性を高めて、それぞれ「自分の会社なんだ」という意識が強まれば、当然のごとく経営者の人望も厚くなる。このとき、よくオーナー経営者が「自分は従業員第一主義だ」なんてことを言うが、株主の構成を聞いてみたりすると同族で支配しており、従業員持株会がなかったりする。それで「従業員第一主義」と言われて、誰が信用するのかは分からない。

たとえ役員が同族で占められていたとしても、もし従業員を心から大切と感じ、その人の人生について“真摯さ”をもって考えるならば、やはり株式を社員が買えるように、従業員持株会があってしかるべきだと思う。皆の力で利益が出たならば、それを共有し、資産も分け合おうと考えるのが健全な発想だろう。

従業員のパワーを最大限に引き出し、「ベクトルの和」の法則で徹底的に伸ばしたいのならば、持株会は非常に大切な要素だ。リクルートに良い人材が結集した秘密の一端も、そこにある。一時期は従業員持株会が4割近くの株を持っていた。そうなれば気持ちや言葉だけでなく、“実感として”自分の会社だと思えるものだ。

経営者としての人望を求める人には、自分が人望を集めるに値する資格を有しているのか、“真摯さ”をもって見直してみてほしいと思う。

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プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。