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カネを活かす

2015.04.23

現実的に稼ぐために、100万人(100×100×100)に一人の存在となる方法

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

成長戦略 競争 多様性

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

稼げる人と稼げない人の違いとは何だろうか。日本の仕事において時給がどれぐらいかと調べてみると、例えば首都圏のコンビニやファーストフード店のアルバイトで時給800円程度。これがコンピューターのプログラマーとなると時給千円〜2千円と上がっていき、生徒の東大入学を請け負う家庭教師ともなると時給4、5千円といった金額になる。

一流企業の会社員だとしても、自分の年収を年間の総労働時間で割って時給に換算すると、だいたい3千円〜5千円といった計算になる。東大向けの家庭教師より低くなるかもしれない。その代わりに安定感や保障は異なる。さらには弁護士。一流弁護士だと時給が2万円、3万円と増えていく。そしてマッキンゼーあたりの国際的に活躍するトップコンサルタントともなると、時給は8万円にものぼるのだ。

800円から8万円まで。この100倍の差が生まれる理由は、「どれほど大変か」といったこととは関係ない。ファーストフード店だって、介護のような仕事だって、大変な仕事というものはたくさんある。その金額の差は、ひとえに“希少性”から生まれるのだ。つまり“かけがえのなさ”によって決まる。

他の誰かと取り替えやすい仕事ほど時給が低くなり、他の誰かには替えられない、かけがえのない仕事ほど時給が高くなる。仕事における自分自身の付加価値を高めるには、希少な存在になるしかないということだ。子どもにも分かる言葉で表現するならば、ゲームなどにおける“レアカード”を目指そうということになる。自分自身がレアカードとなれば、稼ぐのにも困らなくなり、自ずと時給も上がるということになる。

ここでポイントとしたいのが、「100万人に一人の存在になる」という発想だ。100万人と競い合ってピラミッドの頂点に立てという話ではない。これからお話しするのは、100万人に一人の“ユニークさ”、自分自身の希少性で100万分の1の存在になるための方法論だ。

100万人に一人というのは、ほぼ一世代に一人の存在ともいえる。そうなれば当然、年収も一千万は超えていく。そのために、まず第一段階として100分の1の存在になることを考えてほしい。今、経理の仕事をしているとする。人は1万時間も費やすと、ほぼ何でもマスターレベルに達する。1日3時間ならば年間365日で千時間となり、10年で1万時間だ。1日6時間ならば5年、1日10時間も取り組めば3年で達するので、100分の1ぐらいの存在になれる可能性は十分にある。まず、今の仕事で100人に一人の存在となってほしい。

次に、経理の仕事ならば財務、人事給与の仕事をしているならば福利厚生といったように、隣接する仕事にすっと動いてみるのだ。ここでも同じように5年なり10年なりをかけて100分の1の存在を目指す。自分の左右の足場を踏み固めるように「100分の1」と「100分の1」を掛け合わせられれば、それで1万分の1の存在になれる。

20代のうちにある仕事で100分の1となり、30代には別の仕事で100分の1となれれば、1万人に一人の存在になれるということだ。そして40代でもう一つの100分の1を目指すときは、ちょっと違う分野に大きく踏み出してみよう。その三点が描き出す三角形の面積が広ければ広いほど、より多くの人と共感し、信用を得られる機会も増える。なので3つ目の100分の1は、ぜひ思い切り遠くへ踏み出してみてほしい。そうすれば、40代で100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1の希少性が実現できるはずだ。

100万分の1の存在とは、オリンピックのメダリスト級と同じぐらいの割合であり、十分に稼ぐことができる希少性となる。一つの分野でオリンピック選手と同じだけのポジションに立つには、並々ならぬ才能と努力が必要とされるし、999,999人を押しのけてピラミッドの頂点に立とうと考えるよりは、こちらのほうが現実的でスマートではないだろうか。ぜひあなたのビジネスにも応用して、100万人に一人の存在となれることを目指してほしいと思う。

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プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。