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人を組み替える

2015.04.09

【問1】会社と従業員の“ベクトルの和”を求めよ

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

成長戦略 コミュニケーション 教育

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

コミュニケーションという見地から考えるとき、会社も個人もある方向にベクトルを持ったエネルギー体だと考えると、目指すべき方向をイメージしやすくなる。会社とは、ある“方向”と“大きさ”を持った巨大なベクトルだ。そして個人も、自分の志向によって何かを成し遂げようとするベクトルに他ならない。

経営者やマネージャーの中には、「とにかく自分が皆を引っ張っていかなければならない」と考える人がいる。しかし、このベクトルの“和”を意識して、合気道のごとくマネジメントできるようになると、小さい力で大きなエネルギーを発揮できるようになる。

昔は会社という大きなベクトル、大きな矢印の中で従業員が細かく動いていた。入社し、異動し、昇進し、また異動しては、ときどき矢印からこぼれ落ちる人がいたり。そういったヒューマンリソースの動きを、大きな組織の中における小さな活動としてとらえるような企業観が一般的だったと思う。しかし、「個の時代」に焦点を合わせるためには、異なる企業観を思い描く必要がある。

現代においては、会社という大きなベクトルに対して、個人のベクトルが同じ方向、同じ線上になくてもかまわない。むしろ、はみ出してナナメを向いていて良い。従業員が会社以外の豊富なリソースに目を向けることは、結果的に会社をも豊かにする。ここで高校2年ぐらいの数学で習ったベクトルの図を思い出してほしい。向きの違う二つのベクトルを合わせるとき、それらを2辺とした平行四辺形を描き、その対角線を“和”とする。この対角線は、それぞれのベクトルよりも長いものとなるのだ。

このイメージをマネジメントに置き換えて考えると、会社のエネルギーと従業員一人ひとりのエネルギーには必ず折り合うポイントがあり、その和となる対角線を導き出せば、自ずと大きなエネルギーが得られるということになる。その向かうべき対角線を無理に経営側に引っ張れば、個人のベクトルは縮まざるを得ない。もちろん逆に個人の好き勝手を許せば、会社としての成長は著しく損なわれてしまう。

会社と個人のベクトルをきちんと見極め、ベクトルの和となる長い対角線を描くことが、社内を活性化させるツボとなる。こういった姿勢で従業員一人ひとりとコミュニケーションすることが、ヒューマンリソースをマネジメントするうえで、最も重要な視点なのだ。これからの企業像を思い描くうえで、この「ベクトルの和」という考え方を、ぜひ活用してもらいたい。

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プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。