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人を組み替える

2016.12.28

零細企業、及第点は捨てていい

社長の処方箋

中里スプリング 中里良一社長に聞く

ものづくり モチベーション 教育

20人規模の町工場でありながら、全国47都道府県に1600社以上の取引先を持つ、群馬県のばね専業メーカー・中里スプリング。中里良一社長に零細企業が生き抜くための心得を聞きました。

語り:中里良一/文:大川祥子 構成・写真:須賀喬巳

中里 良一(なかざと りょういち)

中里 良一(なかざと りょういち)

1952年群馬県高崎市生まれ。1974年立正大学経営学部経営学科卒業後、東京都内の商社に勤務。1976年有限会社中里スプリング製作所入社。1985年同社代表取締役社長に就任。2代目社長として、社員のやる気を引き出す社内改革や下請け体質からの脱却を行い、当時苦境にあった同社の経営を立て直す。現在同社は「群馬県1社1技術企業」「群馬県IT推進モデル企業」に認定され、2009年には「元気なモノ作り中小企業300社」に選定された。「ビジネス・イノベーション・アワード2012」にて優秀賞を受賞。

 

自分が100点を取れるところで勝負する

零細企業は一つでいいから明確なセールスポイントを用意することが必要だよ。もし、いい物を作っているのに思うように売れなかったり、仕事が来なかったりするなら、それはイメージ戦略ができていないんだと思う。

物が売れるようにするには、その会社の名前を聞いたときに「どう思われたいか」「何をイメージされたいか」を最初に設定して、アピールするべきなの。「中里スプリング」といえば、品質がいいのか、納期が早いのか、変わった商品も作れるのか、ぱっとイメージしてもらえるようにする。そうすれば、仕事は向こうから来るようになるよ。

セールスポイントは100点満点を取れるところを見つけなくちゃいけない。もしそれが60点や80点なら及第点というだけで何のアピールにもならないんだから、なくたっていいくらいだよ。

セールスポイントは口に出してアピールすることで、経営者自身へのプレッシャーになるね。それは結果的に品質の維持・向上につながる。そのとき、評価の基準は自分自身の中に持つこと。他人と比べているとキリがないし、嫌になる。過去の自社や自分と比較して、レベルアップを図れるといいよね。

ネット検索で出てくる情報は知っていても強みにすらならない

セールスポイントにするのは、まだほとんどの人が興味を持っていないことだといい。ネットで探しても見つからないような物事だと、なおいいと思う。今はネット検索すれば大抵の情報が得られてしまう時代。だから、ネットで得た知識をどんなに蓄積したとしても、それは誰でもすぐにアクセスできてしまう使い捨ての知識なんだよ。いち早く情報をキャッチすることに価値を感じている人もいるようだけれど、それはほとんどの場合は意味がないよ。どうせ一瞬で追いつかれてしまうんだから。

中里スプリング

本質は、無駄をたくさんやることで見えてくる

どうやって自分にしか知りえない物事を見つけるかというと、一見無駄だと思えることをたくさんすることなんだよ。ご覧の通り、うちの工場には無駄な物がいっぱいある。鉄人28号の置物も、タコの木彫りも、高崎のだるまも、どれも業務に直接関係はないものだよ。でも、この遊び心がすごく大切なの。遊びというのは、必要とされていない部分のことを指すよね。つまり、そこにはまだ誰も気がついていない魅力的な要素があるかもしれないというわけ。その本質は、とにかくたくさんの無駄をすることで、少しずつ見えてくるものなんだよ。

それにね、無駄を省くことばかり考えていると、夢も希望もなくなる。すると向上心が生まれなくなって、商品の品質に影響が出てくるんだよ。しまいには、経営者が社員をコストとして考えるようになってしまう。社員は減点方式で評価をすると被害者意識が芽生えるから、誰も会社のことを好きでなくなってしまう。それじゃいい会社にはなれないし、いいものだって生まれるわけがない。

経営者には、言い訳のための「言葉遊び」は必要ない。大切なのは「遊び心」だよ。

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全国から取材や公演の依頼が殺到する中里スプリングの工場が建つのは、群馬県高崎市に隣接した甘楽郡。辺りには一面、田畑が広がる。創業以来変わらない土地に建つ工場で、中里良一社長から人材についての考え方を訊いた。

プロフィール

社長の処方箋

各界の専門家、経営者が、実戦で培ってきたノウハウを提供する一編一解決のコラム。視点・習慣・道具・技術などを切り換えれば、結果が変わる。