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時間を味方につける

2015.07.02

NEATを増やそう──脳のために、健康のために“立つ”こと

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

健康 身体

健康のために、まずは立ち上がる

座っている時間が長いと体に悪いという研究がよく見られるようになった。長く座っていることは、喫煙と同じくらいのリスクになると指摘する研究者もいる。現代人の生活では、寝ている時間より座っている時間のほうが長いので、それが健康を害してしまうというわけだ。

1時間座っていると、脂肪を燃焼する酵素の生成率が9割近く低下する。つまり肥満になりやすくなる。さらにHDL(善玉コレステロール)も低下してしまうのだ。座っていること=運動不足の状態を維持していることになる。

別の研究によれば、テレビを見る時間が1時間増えるごとに死亡リスクが11%上昇するという。フィンランド保健省は、たまに立ってご飯を食べることや、歩きながら新聞を読み、コーヒーを飲むように推奨している。

実際、イタリアのカフェを見ていると、エスプレッソをカウンターで立ち飲みし、新聞を読んでいる。健康のためにというより、それは習慣なのかもしれないが。

立ってNEATを増やす

座りっぱなしより、立ったり座ったりをしていると、1日で約350kcalのエネルギーを消費する。これは茶碗1杯半のごはんにあたるエネルギーを消費する計算になる。これを続ければダイエットにもつながっていくはずである。

仕事でずっと立っていることはできないだろうが、せめて1時間に1回は立ち上がって少し歩いてみるくらいの努力は必要だろう。ずっと立っているのではなく、時々立ち上がる健康法のほうが現実的ではないだろうか。

こういう考え方は、実は以前から指摘されている。運動する時間がない人は、「NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis:非運動性活動熱産生)」を増やせばいいという理論だ。わかりやすく言えば、NEATとは日常の生活活動で消費されるエネルギーのことだ。掃除をする、歯を磨く、新聞を取りに行くなど、日常生活の中でできるだけ体を動かし、それでエネルギーを消費しようとするものだ。

立っているということでもエネルギーを使うし、メタボの予防にもなる。実際にそれによって糖尿病を防ぐことができるという研究結果もある。

立って会議をするか

脳にとって、立つことによるメリットはあるだろうか。脳へ行く血流は自動調節能と呼ばれる仕組みがあり、立ち上がったときに脳の血流が低下することを防ぐようにできている。

健康な人の場合、この機能によって立ち上がっても脳血流が下らず、めまいがすることはないが、動脈硬化などが進んでいると脳への血流が一時的に下がってしまい、めまいなどがしてしまう。

逆に立つことで、こういう脳の機能を刺激して、正常に保っていく必要はある。寝たきりが脳によくないのは、この機能が低下していくこともひとつの原因だ。

立ち上がればすぐに交感神経が刺激されて、脳の活動性も上がる。軽度の緊張状態となるからだ。理論的には立って会議をしたほうが脳の活動性が高くなるので、アイデアも出やすくなるはずである。脳のためにも、健康のためにも、会議が行き詰まりアイデアが出ないというなら一同、立ち上がって会議をするのもいいかもしれない。

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プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。