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時間を味方につける

2015.06.15

人は午後になると嘘をつく

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

コミュニケーション 身体

人は体が作り出すリズムで生活している。だから脳が調子の良い時間帯というものがある。朝が良いという人もいれば、夜のほうが頭が冴えてくるという人もいる。結論から言えば、脳が最も能力を発揮できる時間帯は、人によって違うということだろう。

「朝型」を勧める人は多い。確かに人間の生体リズムを考えれば、朝に向かって様々な脳内物質も増えていき、睡眠から覚醒へ切り替わっていくので、朝のほうが有利かもしれない。しかし、それはあくまで平均値であり、個体差はどうしても出てしまう。自分がいつの時間帯に脳が冴えてくるのか、経験的に知るしかないのが実際のところだろう。

ところが、脳と生体リズムの関係をもう少し違う角度から眺めてみると、どうも不思議な傾向があるようだ。

午後になると嘘をつきやすくなる

ハーバード大学のマリアム・クーシャキらの研究によれば、人が不誠実(嘘をつく)になるのは、午前中より午後だという。理由として、精神的疲労によって午後になってくると、倫理的なモチベーションが下がってしまうからだとしている。

重要な判断が必要な状況でも、疲労には勝てないということだろう。だから、会議や重要な決断が必要なときは、午前中にやってしまったほうが良いようだ。

午後2時の眠気

もう一つ世界的な傾向として、午後2時の眠気というものがある。どの国でも午後2時ころになると眠くなってくる傾向がある。これは昼食後で眠気が出るからだとか諸説あるが、本当のところはわかっていない。

それに対して先進国では、おやつやアフタヌーンティーといった習慣で眠気を回避し、仕事を続けるようにしたというわけだ。ラテン系の国ではシエスタとして昼寝を取るところもある。これらは脳の生体リズムに対して、人が考え出した対策ということだろう。

やはり働き過ぎなのか

こういった人間の生体リズムを考えてみると、私たちはやはり働き過ぎなのだろうか。仕事の効率を考えるならば午前中だけで仕事を終わらせてしまったほうが良いのかもしれない。もちろん、自分だけ極端に労働時間を減らすのは難しい。特に時間給という働いた分だけお金がもらえるというシステムは過剰労働になりやすく、脳科学的にはよろしくないと言えるだろう。

ITが発達し、いまよりさらに情報や物が高速で移動し、生産過程でロボットがさらに一般的に使われるようになれば、午前9時から働いて午後5時に仕事が終わるといった労働時間は変わってくるに違いない。近未来的には、1日の労働時間は3時間が標準になるだろうと考える人もいる。

同じことを繰り返す時間

決められた仕事のパターンのあるものは、ロボットに置き換わっていくだろう。近い将来、どう考えてもロボットにかなわないところが増えていく。しかし、最終的な判断や新しい戦略を考えるといった本来、人間が持つ脳の能力を活かすには1日3時間くらいが適当であり、午後は判断力が鈍るので働かない。そんな時代がくるのかもしれない。

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プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。