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時間を味方につける

2015.04.23

特に歳をとってから効く、“目標設定”の妙

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

老後 意識改革

ギャンブルに勝つ確率は種類によって異なるが、「当たる・外れる」で考えれば常に50%である。この50%という数字は非常に重要で、人間がもっともやる気がでる確率が50%なのだ。

あまりに目標が低ければ簡単に実現できてしまい、いつでもできると思えば、やる気は出てこない。また極端に目標が高いと最初から諦めてしまい、真剣にやろうとしないし、むろん意欲もわかない。

“大変であるが、努力すれば実現可能”というのが50%の確率であり、この場合に最も「やる気ホルモン」とも言われるドーパミンが、脳内で分泌されることが分かっている。

年齢とともに失われる意欲

ある程度、事を成し遂げて実績を残し、会社も順調に成長している。そんな状況になってくると、以前のようにわき出るような意欲を維持することはできなくなってしまう。そこそこ仕事をしたし、これからは若い者に任せるという考えが頭をよぎり始める。

そうなってしまうと、もはやバリバリ仕事できず、老け込んでいくばかりとなる。また、年齢とともに目標値が下がってきて「まあ、やればできるから」ということになり、仕事に向かう気持ちが薄れてきてしまう。すっかり目標を失ってしまった状態となる。

再び自分に合った目標を

歌手の舟木一夫さんは若くして大スターとなったが、次第に自分の新曲が世間に受けなくなり、かなり悩んだという。しかし50歳を前にして、「やはり自分が若かったときのヒット曲が同世代に受ける」ということを再認識し、コンサートでは新曲をいっさい歌わず、過去のヒット曲を歌うことにした。すると、再び世間から賞賛を浴びることになったという。

ヒットした曲ばかりでなく、新曲を歌いたいと思うのは歌手の宿命なのかもしれない。しかし、その挑戦が時代を超えて世間に受け入れられ続けることは稀だ。団塊世代に人気のあった多くの歌手は、舟木さんと同じように昔のヒット曲を歌うことで、自分たちの存在を再び認識しているようにみえる。これも実現可能な目標に切り替えることで、意欲を維持している典型なのではないだろうか。

私ごとであるが最近、京都の美術大学に入学した。入学といってもスマホで講義を聞く通信教育である。医師としての仕事をしながらも、何か新しいことに挑戦したいと思っていたところで偶然、ネットでこの美術大学を見つけて入学した。

先日、京都で行われた入学式にも参加した。最高齢95歳の方もいた。入学はやさしいが、卒業するにはきちんとレポートを提出していかねばならず、大変だとは思っているが、私にとっては実現可能な目標を設定したと思っている。

目標をどこで見つけ、実現していくか

ある程度の仕事をしてくれば、そのまま同じペースでやっていけばいいと思うかもしれない。しかし、それでは本当の満足は得られない。人間は常に変化していくことによって快感を覚える。

自分の仕事とはまったく関係のない分野に、ちょっと挑戦してみてはどうだろうか。自分の視野も広がるし、新しい発見もある。無論、ちょっと面倒な努力も必要ではあるが、目標達成の快感を再び感じてみようではないか。

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プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。