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時間を味方につける

2016.03.11

社長の旅はクルーズにかぎる

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

文化 国際

ここ数年、日本に寄港する外国の大型客船が増加し、ようやく日本にもクルーズブームが訪れている。もっとも、中国人が乗ってくる大型客船のほうが、さらに多く日本に寄港しているが。

クルーズに「豪華客船」というイメージがあるのは、今から約30年ほど前、日本の会社がクルーズを広めるために作り出したイメージである。そのため日本では、クルーズはお金持ちが行くものということになってしまった。その結果、とても高級な旅であり、なかなか庶民には手が届かないものと決めつられるようになった。「リタイアしたら一度は乗ってみたいです」。そんなイメージでしかなかった。

しかし、昨今ようやく外国船が来るようになり(まさに黒船である)、認知度が一気に広まった。それでも、まだまだクルーズは特別なもので、会社社長がクルーズに行けば、そんな贅沢をしていいのかという見方をされてしまう。

アメリカ人のカリブ海クルーズなどは、もはやバス旅行と変わりない。高度に肥満したアメリカ人が飛行機に乗れず、その代替手段としてフロリダまで車で来て、そこから船に乗るといったこともある。安い船ならばカリブ海1週間のクルーズで5万円以下とか、そういったカジュアルなクルーズもたくさんある。

クルーズ船といってもいろいろなレベルがあるが、ここ数年、日本に寄港して周辺をクルーズしている外国船は、ちょうど真ん中のクラスである。つまり、クルーズ初心者にはちょうど良いのだ。

なぜ船の旅でないとダメなのか

飛行機で海外旅行する場合、移動時間は無駄な時間で、ただ寝ているだけということになりがちだ。しかし、クルーズでは目的地に向かうまでの移動する時間も重要な意味を持つ。

日本から香港まで船で行くには数日を要するが、その船での移動に費やす時間こそ、海の広さ、地球の大きさを感じる時間なのだ。私たちは普段、陸地にいることが当たり前の感覚であるが、大海原に船で浮かんでいると、地球では陸より海のほうが圧倒的に広いということを実感できる。

また、船で移動することによって、地球の大きさが次第に脳の中に出来上がってくる。この地球の空間的な認識こそ、本当に地球の大きさがわかるという感覚。これぞクルーズの醍醐味である。

クルーズで何かをしないといけないのか

いわゆる高級船に乗ると、多くの乗客は船内のシアターや大きなダイニングルームに出てこないことが多い。自分の時間を自由に使うことができるから、何も船内の予定に合わせて生活しなくていいのだ。

クルーズというと、正装して豪華なディナーを食べ、社交ダンスをしなければいけないと思ってしまうが、過ごし方は自由であって、食事もルームサービスで食べれば他人に気遣う必要もない。

自分の時間を自由に使うのが本来のクルーズである。寄港地ツアーにも参加しないで、午後になって船内に人がいなくなったころ、港を歩いてもいい。クルーズになれた人が取る行動だ。

忙しい人が地上の様々なしがらみから逃れ、自由な時間を過ごす。それこそがクルーズの目的なのだ。

空間体験が脳を刺激する

私自身、多くの客船に乗ってきているが、なんと言っても船に乗る瞬間がもっとも期待感が高まる。

新しい船に乗るとき、そこには今までに経験したことのない、新しい空間に入ることになるからだ。まさに右脳刺激である。創造性や直感にかかわる右脳を刺激できると、その経験は何かを作り出すときに役立つことになる。

もちろん船内だけでなく、クルーズは毎日のように違う国に寄港するので、あちこち街歩きをすることができる。つまり客船というのは、街歩きするための移動手段とも言える。船内でのんびり過ごせるのは世界一周している船であり、もっとも多い1週間から2週間くらいのショートクルーズは、実は想像以上に忙しい旅なのだ。

朝起きると別の国の港に入っていて、街歩きが始まる。そうやって多くの街を、手荷物を持たずに旅することができるのもクルーズの良さだ。

クルーズはもはや一つの旅の手段であり、決してリタイアしてから行くものだけではない。現役で元気なときにクルーズ体験できれば、それが仕事で使う脳に必ず変化をもたらすはずだ。

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旅といってもいろいろな旅があるが、重要なことは自分で行き先を考え、交通機関を予約して、できるだけ個人旅行をすることだろう。旅行プランを立てるとき、前頭前野と言われる前頭葉の一番先の部分を刺激することができる。

プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。