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時間を味方につける

2016.01.29

なぜ女性は記念日にこだわるのか

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

コミュニケーション ジェンダー

夫婦間の記念日を考えても、お互いの誕生日、結婚記念日、バレンタインデー、そのお返しのホワイトデーがあり、このあたりは必ず抑えておかないと何かと問題になる。

「バレンタインデーとホワイトデーはお菓子メーカーが勝手に使ったものだろうに」と馬鹿にしていると、当日ひどい目に遭う。男性が、そんな記念日に対していろいろ失敗してきている割にあまり反省がないのは、女性と男性であまりに違う記念日への思いのためだ。

男性であれば、ある程度年を取ってくると自分の誕生日など、いまさらどうでもいいと思って、その日に仕事を入れてしまったりする。そして配偶者から非難を浴びることになる。記念日というのは相手だけでなく、自分の記念日も配偶者にとって重要な意味を持っていることが、なかなか男性には理解できない。記念日ビジネスとも言えるものが世の中にはあふれているが、男性目線からは首をかしげたくなるものも多い。

それにしても、どうして女性はそれほど記念日というものを問題にするのであろうか。そのあたりが理解できれば、ビジネスにも反映できるだろう。

解剖学的な脳における男女の違い

心理学的な分析であれば、「女性は自分のことを気にして欲しいので、記念日を覚えてくれている男性に好意的になる」とか、「記念日を覚えていないようでは、自分のことに興味がないと考えてしまう」といった見方をする。

しかし最近の考え方では、やはり脳自体の解剖学的な差が大きく影響していると考えられている。記憶に関係する「海馬」は、女性の方が男性より大きい。大きいということが意味するのは、神経細胞がたくさんあって、機能が優れているということである。

また、驚いたり怒ったりしたことを忘れられない記憶にさせる「扁桃体」という場所も発達している。だから女性は結婚記念日や誕生日など、うれしかったことを記憶に強く結びつけやすいのだ。

逆に、この脳構造の特徴によって、自分の感情が強く反応した時の記憶はずっと残ってしまうため、配偶者とけんかをすると様々な過去の記憶を思い出し、感情的になりやすい。さらに女性は共有することに意味を見出すので、「相手も自分の大事な記念日を記憶していて当然」と考えがちだ。

一方、男性は物事を追求していくタイプの脳なので、自分に直接利害のないことであれば、ほとんど忘れてしまう。基本的には自分の誕生日であろうと関心がないということになる。しかし、自分の趣味や好きなことの数値などには異常なほどの記憶力を発揮する。車好きなら排気量から馬力、最高速などをすぐに覚えてしまう。

つまり、男性にとっては“いま”が最も重要であり、記念日には興味がないということになる。

記憶力そのものの差

単純に女性と男性の記憶力を比較すれば、女性のほうが優れている。さらに女性はポジティブな画像を見ると、男性よりも感情がかき立てられる。だから楽しかったことへの記憶は男性より強い。男性はその場で楽しくても、すぐに忘れてしまう。

男性は意識して記憶するしかない

脳やその使い方の違いを考えると、男性の記念日への感覚では、女性が期待するようなことはできない。つまり男性は、かなり意識して記念日を考え、行動するべきだろうし、それができれば女性をターゲットとするビジネスも成り立つだろう。

例えば、女性の結婚記念日、誕生日などをあるサイトに登録しておけば、レストランの予約を促してくれたり、今年のプレゼントにこんなものはどうかとアドバイスしてくれるサイトを作れるはずだ。クレジットカードなどの情報と連携すれば、個人の好みもわかってくる。しかし、いわゆるブラックカードですら、そこまできめ細かいサービスはできていない。

つまりサービスをビジネスにしている業者ですら、女性の記念日に対する思いを十分に理解していないということだろう。

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プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。