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カネを活かす

2015.10.05

相続税を節税するには、生前贈与で現金預金を減らす──教育資金・結婚資金編

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

老後 法律 節税

前回から続きます。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置を利用する(1500万円)

この制度は、平成31年3月31日までに、30歳未満の子・孫の教育資金に充てるため、その直系尊属(祖父母や実親)が、子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、教育資金を一括して拠出した場合、この資金について、子・孫ごとに1,500万円(学校等以外のものは500万円)までが非課税となります。

相続税法では、教育資金については扶養義務者間で、その都度、必要な範囲内で贈与されるものは贈与税が非課税とされていますが、この特例を利用することで、扶養義務者ではない祖父母が教育資金を一括贈与した場合でも贈与税が非課税となります。

ここでいう教育資金は以下の範囲のものです。

(1)学校等に対して直接支払われる次のようなもの ・入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
・学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
・役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの
・教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
・スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
・上記に関連する物品の購入に要する金銭
・通勤定期代、留学渡航費等

改正前においては、全ての領収書を金融機関へ提出することが義務付けられていました。今回の改正において、平成28年1月1日以後に提出する書類については、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、当該領収書に代えて、支払先・支払金額等の明細を記載した書類で提出することが認められることとなりました。

この制度は、受贈者が満30歳に達した等の事由により「教育資金管理契約」が終了したとき、口座残高があれば当該残高に対して贈与税が課税されます。

文部科学省が公表した平成22年の学習費によれば、幼稚園・保育園から高校卒業までの学習費は、幼稚園から高校まで、すべて公立であれば約504万円ですが、すべて私立であれば1,700万円超かかります。また、大学の場合、文部科学省の平成24年の調査によれば、私立文科系学部の4年間の学費は平均で386万円、理科系学部であれば517万円、医歯学部6年の場合には2,315万円です。

また、今回の一括贈与の上限は、習い事など学校等以外に支払う場合は500万円が上限です。従って、本来非課税である両親がどの部分を負担し、祖父母がどの部分を負担するのか決めておく必要があると思われます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置を利用する(1000万円) 新設

この制度は、平成31年3月31日までに親・祖父母(贈与者)が、金融機関に子・孫(20歳以上50歳未満の受贈者)名義の口座を開設し、結婚・子育て資金を一括拠出した場合、この資金について、子・孫ごとに1,000万円(結婚関係のものは300万円)までが非課税とされます。

《金融機関の口座より払い出し可能な結婚・子育て資金》
結婚関係:挙式費用(結婚指輪の購入費、新婚旅行代は対象外)、新居の住居費(敷金、仲介手数料、契約締結後3年分の賃料)、引越費用
出産関係:不妊治療費、出産費用、産後ケア費用
育児関係:小学校就学前までの子の医療費、子の保育費(ベビーシッター含む)

贈与者死亡時の残高は相続財産に加算されます。また、受贈者が50歳に達する日に口座は終了し、使い残しに対しては、贈与税が課税されます。

これまで説明してきたことを整理すると、贈与税の非課税の特例は以下のとおりです。

1.基礎控除                 110万円
2.配偶者控除               2000万円
3.相続税精算課税             2500万円
4.住宅取得資金の贈与           3000万円(最高)
5.教育資金の贈与             1500万円(一人当たり)
6.結婚資金の贈与             1000万円(一人当たり)

これらの特例を組み合わせることで、多額の現金預金を所有している方は、かなりの節税ができると思われます。ぜひ、活用していただきたいと思います。

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平成27年度より相続税が大幅に増税されました。今回の改正の特徴は、基礎控除の引き下げにより課税ベースが下がり、課税対象者が大きく広がったこと、つまり「富裕層の税金」とのイメージが強かった相続税が、かなり「身近な税金」になったことです。

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。