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カネを活かす

2015.06.18

中小企業の「接待交際費」──税務調査で厳しく見られる詳細なポイント

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

制度 法律 節税

日本においては事業活動の慣行もあり、得意先との良好な関係を得るために、接待・飲食等は必要な支出となります。ところが法人税法においては、過度の接待や飲食および個人的費用の会社付け回しを抑制するため、交際費等として支出した金額のうち、全額または一定額以上を法人の所得計算上の経費(損金)に算入しないという仕組みがとられています。

そして交際費については次のようなケースが想定されるため、税務調査においても最も厳しく見られる項目の一つとなっています。

・個人的な費用を会社に付け回しするような場合
・会議費、福利厚生費として他の費目で計上されている取り引きが、税務上、交際費として処理すべきものであるような場合
・交際費として損金算入をするための書類の保存方法が不完全であったような場合

交際費課税については、毎年のように改正が行われていますので、税務調査において慌てないためにも、正しく理解されておく必要があると思います。

1. 交際費の判断基準

税務上の交際費等とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」とされています。

この規定にあるように、交際費とは得意先、仕入先等の事業関係者に対する接待、慰安、贈答のために支出するものをいい、事業関係者等の特定の者に対する接待等を目的とする行為のために支出する費用で、次の要件を満たす場合が考えられます。税務上の交際費は、会計帳簿の範囲よりも広くとらえられ、会社が交際費として経理していなくても次の要件に該当する場合には交際費として認識されます。

(1)支出の相手側が得意先等の事業に関係する者であること。事業関係者には将来の取引予定者、社員、OB、株主等も含まれ、その範囲は広い。
(2)支出の目的が得意先等をもてなすことにより親密度を増し、円滑な取り引きを進行させるための支出であること。商取引の対価としての支出ではなく、一方的な利益供与が該当します。
(3)支出の行為が、接待、供応、慰安、金品贈与等の行為のために支出すること。

2. 交際費課税の制度

平成26年の税制改正において、法人の交際費等の損金不算入制度に関する規定が改正され、平成26年4月1日以後に開始する事業年度からは、以下のようになりました。

損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。
(1)交際費等のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除き、以下「接待飲食費」といいます。)の50%に相当する金額を超える部分の金額
(2)800万円(定額控除限度額)を超える部分の金額
接待飲食費の損金不算入額 改正前と改正後の違い

(1)交際費等のうち、「飲食その他これに類する行為のために要する費用」については以下のような点に注意をする必要があります。

1. 「飲食その他これに類する行為のために要する費用」とは

例:得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差し入れを行うための「弁当代」などが対象になります。得意先等において差し入れ後、相応の時間内に飲食されることが想定されるもの。単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は「飲食その他これに類する行為」には含まれず、通常の交際費に該当します。飲食店等で飲食後、その飲食店で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」は「飲食その他これに類する行為」に該当します。

2. 「飲食のために要する費用」とは

例:飲食等のためのテーブルチャージ料やサービス料等として飲食店等に対して直接支払うものが対象になります。一方、得意先等との飲食等を行う飲食店等に送迎するために送迎費を負担した場合には、本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、通常、飲食等のために飲食店等に対して直接支払うものでもありませんので、その送迎費自体は交際費等に該当することになります。

3. 「専ら従業員等のための飲食費」とは

例:この社内飲食費に関しては、仮に、接待する相手方である得意先等が1人であっても、その飲食等のために自己の従業員が相当数参加する必要があったのであれば、社内交際費に該当することはありません。

4. 「ゴルフ等に際しての飲食費」について

例:ゴルフ・観劇・旅行(国内・海外)等の催事に際しての飲食等については、通常、それらの催事を実施することを主たる目的とする一連の行為の一つとして実施されるものであり、飲食等は主たる目的である催事と不可分かつ一体的なものとして一連の行為に吸収される行為と考えられます。従って、飲食等がそれら一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合を除き、それら一連の行為のために要する費用の全額が、交際費等に該当するものとされます。

(2)帳簿書類への記載事項について

該当する交際費(「接待飲食費」)は、帳簿や書類に次の事項を記載しなければなりません。 ・その飲食があった年月日。
・その飲食に参加した取引先・得意先の氏名や名称と接待側との関係。
・その飲食の支払金額と支払先の名称および所在地。
・その飲食が飲食費であることを示すためのメモ。

3. 1人当たり5,000円以下の飲食費の取り扱い

また、平成18年度の税制改正で、法人の支出する交際費等の損金不算入制度について、次のような改正が行われ、平成18年4月1日以後に開始した事業年度分から適用されています。

・交際費等の範囲から「1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費は除きます。以下同じ)」が一定の要件の下で除外されました。
(注)「社内飲食費」とは、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出する飲食費をいいます。

・交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費を除外するための一定の要件。
次に掲げる事項を記載した書類を保存していることが必要とされます。

(1)その飲食等のあった年月日
(2)その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
(3)その飲食に参加した者の数
(4)その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
(5)その他参考となるべき事項

4. 最後に

繰り返しますが、交際費は必要経費のなかでも、もっとも厳しく見られる項目の一つです。

その理由としては、私的経費としての付け回しが比較的簡単にできること、そして金額が比較的大きいので、否認された場合に税務調査官の成績につながりやすいということもあると思われます。税務調査を乗り切るためには、適切に帳簿書類の整理をしておく必要があります。

例えば、交際費のうちの商品券等については、単に領収書が保存されているということだけではなく、贈答した相手ごとに贈答日、氏名又は名称及びその関係等を明らかにできるようにしておく必要があると思います。

また、飲食費のなかで高額なものについては、税務調査官からの視点で考えれば、単に領収書が保存されているだけでは、事業に関係ある者を接待したという状況は想定できません。従って、領収書の余白にでも接待に関する状況をメモしておいたほうが、説明を求められたときにスムースに対応できると思われます。特に、高額な飲食をされて、その内容に関する説明が曖昧な場合、その飲食店への反面調査も行われる可能性もありますので、十分注意をしていただきたいと思います。

「備えあれば、憂いなし」です。

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プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。