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カネを活かす

2016.04.26

平成28年度の税制改正について

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

法律 節税 制度

2016年3月29日、平成28年度予算が成立しました。平成28年度税制改正案については4月1日より施行されています。政府は、景気に関して個人消費を中心に国内景気が弱含んでいると判断しており、緊急経済対策を盛り込んだ28年度補正予算案を今後、早期に編成する考えのようです。

このように景気上昇に陰りが見えるため、平成28年度税制改正案の目玉策である、平成29年度からの消費税率アップ(10%)については、延期ということもあるのかもしれません。しかし、消費税改正以外においても、様々な改正が予定されていますので、主な改正点を見ていくことにしましょう。

1. 法人税税率の引き下げ

「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という考え方のもと、平成27年度に着手した改革をさらに進め、平成28年度には法人税率を23.4%に、平成30年には23.2%に引き下げます。それぞれ、4月1日以降に開始する事業年度において適用されます。

法人税税率の引き下げ

なお、外形標準課税の対象法人は、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える普通法人です。

2. 課税ベースの拡大

[1]租税特別措置の見直し

イ. 生産性向上設備投資促進税制について、平成28年に縮減、平成29年度に廃止されます。

生産性向上設備投資促進税制について

生産性向上設備投資促進税制とは、その名のとおり設備投資をすることによって作業の能率が上がり、業績の向上が見込まれる場合には、その投資に対して特別償却や税額控除という方法で優遇されるという景気刺激的な制度です。

この制度について平成28年4月1日以降は優遇部分が減少、そして平成29年度以降は廃止ということになりますので、そのような投資を考えられている企業は平成29年3月31日までに完了させることが必要です。

ロ. 太陽光発電システム等が対象となる環境関連投資促進税制については廃止されましたので、平成28年4月1日以降に取得したものについては特別償却、税額控除の対象とはなりません。

ハ. 雇用促進税制の見直し

企業が事業年度中に雇用者(雇用保険一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主に対する税制優遇制度(雇用者1人当たり40万円)が、平成29年度まで2年間延長されました。そして、対象となる雇用者が正社員に限定されました。

[2]減価償却の見直し

減価償却資産のうち建物付属設備、構築物の償却方法が定額法に一本化されました。平成28年4月1日以降に取得をした資産について適用されます。

減価償却の見直し

[3]欠損金繰越控除の見直し

法人実効税率の引き下げの財源として、繰越欠損金の繰越限度額における所得制限の割合が見直しされます。

欠損金繰越控除の見直し

3. 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

地方公共団体が行う地方創生事業を国が認定する枠組み(地域改正法の改正)の下で、人口減少の克服などの国家的課題に対応するため、地方公共団体が実施する地方創生事業に対して企業が行う寄附については、現行の損金算入制度に加え、新たに、法人住民税(及び法人税)から一定額が税額控除される優遇措置が新設されます。

イ. 概要

青色申告法人が一定の寄附金を支出した場合に、

(1)法人事業税:寄附金の合計額×10%の税額控除(ただし税額の20%、平成29年度以降は15%を上限とする)

(2)法人住民税:寄附金の合計額×20%の税額控除(ただし税額の20%を上限とする)

(3)法人税:
A. (2)で控除しきれなかった金額 / B. 寄附金の合計額×10%
AとBのうち、いずれか少ない金額を税額控除できる(ただし税額の5%を上限とする)

ロ. 対象となる寄附金

対象団体:道府県・市町村
ただし、以下の団体に対する寄付は対象となりません。
(1)東京圏、近畿圏中心部、中部圏中心部で地方交付税不交付団体である地方公共団体
(2)法人の主たる事務所が立地する地方公共団体

対象事業:国が認定した地域再生計画に基づく事業〈地方創生推進寄附活用事業(仮称)〉

ハ. 期間

「地方再生法」の改正法の施行日から平成32年3月31日までに支出したもの

ニ. 対象となる事業

内閣府が認定した効果が高い「地方創生推進寄附活用事業」に限定されます。

ホ. その他

特産品などを贈ることは、企業への「見返り」「利益供与」となるため禁止されるようです。そして、個人版とは異なり、寄附の対象が限定的なので注意が必要です。

■修正履歴
記事公開当初、「2. 課税ベースの拡大 > [1]租税特別措置の見直し」の項の表で「機械装置など/平成28年度/50%特別償却 or 5%税額控除」「建物、構築物/平成28年度/50%特別償却 or 3%税額控除」としていたのは、各々「機械装置など/平成28年度/50%特別償却 or 4%税額控除」「建物、構築物/平成28年度/25%特別償却 or 2%税額控除」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/04/26 19:50]
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少し古い話になりますが、オリックスの宮内義彦元会長の功労金は、役員報酬額54億7000万円のうち44億6900万円ということでした。一般庶民からすると気の遠くなるような金額です。一般的に税務調査の場面では1〜2億円の退職金の支払いを巡り、過大役員退職金ではないかと争うことになるのが現実です。

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。