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モノと道具を再構築する

2016.09.30

バドミントンのことをバトミントンと言う人、ビッグをビックと言う人

伊嶋 謙二

ホンネのITマネジメント

コミュニケーション 教養 IT

今に始まったことではないが、固有名詞を間違って使っている人は、そこら中で見ることができる。場面によってはうっかりでは済まされないことがあって、私は商売柄、あまり気にせずに間違ったまま言い放っている人を見るにつけ、気持ちが落ち着かなくなる。

例えば、何かを成し遂げたときに感じる浄化されたような気持ち「カタルシス」のことを「カタストロフ」と言うIT企業の役員がいる。「それじゃ、まるで逆じゃん」と思う。「DTP(デスクトップ・パブリッシング)」を「ディスクトップ・パブリッシング」と話す、つわものIT営業マンもいる。「デスク」も「ディスク」も同じとばかりに。

いちいち「違いますよ」とは言わなくても、聞いている方はなんとなく分かるし、「相手もそのうち気が付くからいいかな」と思うこともしばしば。また、指摘することが失礼かなと思ったりで、そのままやり過ごすことが多い。その結果、間違って使う人は間違ったままに、その言葉を吹聴し続けることになっている。

そもそも話し言葉なのだから、多少違っても通じていれば「まあ、そのままでいいかな」と思う感覚は、分からないでもない。しかし話し言葉も、とりあえず口から出るというだけでなく、そのまま頭に残り、しかるべき大事な発言の場や文章として書くときに、間違ったまま表現してしまうこと、使ってしまうことが多い。

この状況を、IT業界の場において考えてみよう。言葉が間違っていてカッコ悪いというレベルでなく、礼儀として間違ってはいけないケースを挙げてみる。たとえば「キヤノン」を「キャノン」と書く、「SAP(エスエーピー)」を「サップ」と言ってしまう、「オービック」と「OBC」を同一視する、または違いを知らずに話す人など、まだまだ類似したおかしな事象がある。そして、そのあたりについて無神経な人が結構多い。無神経なのか無知なのかはさておくとして、IT業界にかかわる人としては「そんな人に仕事を頼んで大丈夫か」と思わせる、気になる実例だ。

そういう状況を身近で観察して気が付くのは、そういう言葉、特に固有名詞に頓着しない人というのは、身の回りの様々なことにテキトーにかかわっていて、「まあ、意味が通じていれば、多少間違っていても良いか」と、自分に対して非常に甘い傾向の人が多いということだ。

それが問題なのは、言っていることが通じていればいいじゃないか、では済まないことだ。言葉の正確性についていい加減だと、言っていること全体が信用が置けないということになってしまう危険性がある。「一事が万事」とはこれに当てはまることで、細かなことがいい加減で、確認も調べることも適当であるために、「この人を信用して大丈夫かな」と、危ぶまれることが問題である。

タイトルに記したバドミントンの例は、メディアや公式な表記でも間違いが目立つところに、いたく立腹している。不用意に「バトミントン」と語る人が「ドをトに間違えるくらいならいいじゃない」と語る時点で、何かが決定的に抜け落ちているか想像力が足りないと感じる。おそらく「BIG」を「ビック」という人に通じる、例えるなら下着を帽子と勘違いしてかぶっている人を見るような、とても恥ずかしい感じがする。

細かいと言われればそれまでだが、いろんな事柄は細かなことの積み上げで成り立っている。細かなゴミが集まっても、やはりゴミの集積でしかないわけで、少なくともそのあたりに配慮のない人は、早めにそれではだめだと気付いてもらいたい。少なくとも数字をもとに分析したり、ものを書いたりする人なら、そのような有り様では完全に“アウト”であることは言うまでもない。

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プロフィール

伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

1956年秋田生まれ。矢野経済研究所でのIT産業の調査・研究業務に従事した後、1998年にIT調査会社ノークリサーチを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。中堅・中小企業(SMB)市場のIT調査を得意とし、SMBのIT利用実態に詳しい。様々な関連業界誌で積極的な執筆も展開中。