リポート

記事一覧

交流拠点としての図書館を整備、野々市市

2018年4月には「地域中心交流拠点施設」もオープン、両施設を核に賑わい創出

黒田 隆明【2017.12.20】

 石川県野々市市がPFIで整備した図書館と市民学習センターなどの複合施設「学びの杜ののいち カレード」(以下、カレード)が11月1日にオープンした。旧北国街道を中心としたエリアで「野々市中央地区整備事業」として整備を進めている2つの施設、「文化交流拠点施設」と「地域中心交流拠点施設」のうちの前者だ。

「学びの杜ののいち カレード」外観(写真:本稿すべて大和リース)
[画像のクリックで拡大表示]
施設概要
敷地面積:1万8822.8m2/延べ面積5695.7m2(うち図書館部分2680.85m2)/構造・階数:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造・地上2階建て/駐車台数:129台(車椅子・マタニティ用、夜間用含む)/駐輪台数:95台
図書館部分の内観。高さ約9メートルのブックタワー2本が目を引く
[画像のクリックで拡大表示]
カレードは人口約5万2000人の野々市市の中心部に位置する(資料:野々市市)
[画像のクリックで拡大表示]

 野々市市では、両施設の整備と維持管理および文化交流拠点施設(カレード)の運営などを担う事業者を公募、2015年7月に大和リースグループが 84億5523万7048円(消費税及び地方消費税を含む)で落札した。代表企業は大和リース、構成企業は梓設計、三上建築事務所、フジタ、豊蔵組、清水建築、図書館流通センター(TRC)、太平ビルサービス、アイビックス北陸だ。市はSPC(特別目的会社)の野々市中央まちづくりと2029年3月末日までの契約を結んだ。

 カレードはBTO(Build TransferOperation)方式で、SPC構成企業のTRCが施設運営業務を、太平ビルサービスと地元企業のアイビックス北陸が維持管理業務を担う。2019年4月開業予定の地域中心交流拠点施設については、SPCは運営業務はせず維持管理を行うBTM(Build Transfer Maintenance)方式だ。また、ホールや会議室などで構成する地域中心交流拠点施設の敷地内には、分棟で独立採算の民間収益施設(野々市市観光物産協会が運営する店舗が入居予定)を建設する。

「文化交流拠点施設」(カレード)と「地域中心交流拠点施設」の位置(資料:野々市市)
[画像のクリックで拡大表示]

 野々市は、両施設の整備を核とした「中央地区整備事業」を展開中だ。同事業は、図書館の移転、中央公民館などの建て替えや機能拡充を図ることにより、“芸術・文化に親しむ”「文化交流拠点」と“賑わい創出”の「地域中心交流拠点」の2つの拠点を形成し、その間に位置する旧北国街道の賑わい創出を図ることを目的としている。

図書館を囲むように学習センターを配置

 市民の学びと文化・芸術・創造、情報発信、市民協働におけるシンボルと位置付けられたカレードは、延べ面積5695.7m2(うち図書館部分2680.85m2)。開館時間は午前9時から午後10時まで。休館日は毎週水曜日と年末年始、特別整理期間だ。図書館の蔵書は開館時13万冊。今後25万冊を目指す。

 1階は、図書館を囲むように学習センター(キッチンスタジオ、音楽スタジオ、会議室など)の各部屋を配置しているのが特徴だ。児童書エリアを室として分けずオープンな図書館空間として一体化したり、学習センターの各スタジオ付近に関連した書籍を配置したりするなど、来館者の交流を促す空間となっている。施設中央には、天井付近まで本を積み上げた2本のブックタワーを設置、「知の集積」を象徴的に視覚イメージ化している。ブックタワーは閉架書庫で中に入れるのは職員のみ、いわば“見せる書庫”として機能している。2階は学習室や図書館のヤングアダルトスペースなどを配置した。

「学びの杜ののいち カレード」1階の配置図。カレードという名称は「kaleidoscope」(万華鏡)の冒頭の「kaleido」から。ギリシャ語の「kalós」(美しい)+「eîdos」(形)を意味する。市民が万華鏡のように生き生きと多様な輝きを放つ様子を表現しているという(野々市市の資料を一部加工)
[画像のクリックで拡大表示]
「知の集積」を象徴するブックタワー近くの図書館内観
[画像のクリックで拡大表示]
児童図書コーナー
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
左がキッチンスタジオ、右が音楽スタジオ
ぶどうの木(金沢市)がカフェを出店。付帯事業としてPFI事業者が運営する

 カレードには、開館から1カ月、11月末までに約7万2000人が来館した。約30万人と見込んでいた年間来館者数の4分の1近くがすでに訪れたことになり、まずは出足好調といえそうだ。カレードの堀尾あづみ館長は「計画時の狙い通り、小さいお子様連れのお母さん、学生、年配の方々などすべての世代の人が来てくれている。若い世代が多く住んでいて発展途中にある野々市市と足並みをそろえて成長していきたい」と手ごたえを語る。

この記事のURL http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/report/121800103/