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フィリップスが怒涛の異業種連携、堤社長が狙い語る

ソフトバンク、ヤマトロジスティクス、札幌市、アルムなどとの協業を表明

大下 淳一=日経デジタルヘルス【2017.12.15】

「日経デジタルヘルス」2017年12月6日付の記事より

 「我々は、ヘルスケアプロセスを全体最適化するソリューションを提供するヘルステックカンパニーへと生まれ変わる。『オープンなエコシステム』がそのキーワード。さまざまな業界との連携により、従来とはまったく異なるヘルステックのソサエティーをつくっていく」――。フィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏は、2017年12月5日に同社が開催した2018年度事業戦略発表会でこう宣言した。予防から診断、治療、ホームケアまでの一連のヘルスケアプロセスを全体最適化するソリューションの構築に向けて、異業種を含めたエコシステムづくりを加速させる(関連記事1同2同3)。

登壇した堤氏
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 この言葉を裏打ちするように、フィリップス・ジャパンは5日、複数企業とのパートナーシップを発表した。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)を活用したヘルスケア分野のソリューション開発について、ソフトバンクと協力。ヤマトロジスティクスとは、安心・健康分野のソリューション提供に向けた検討を開始した。発表会では、これら2社を含む9者との協業に合意したことを明らかにした。

 「カセットテープという製品を世に送り出したのはPhilipsだ。その際、パテント(特許)を取らなかったことが普及につながった」。こんな事例を引き合いに出しながら、堤氏は自社の製品やサービスに閉じない、オープンなエコシステムづくりの重要性を強調した。

 具体的には「ヘルススイートデジタルプラットフォーム(HSDP:HealthSuite Digital Platform)」と呼ぶクラウド基盤を連携のハブとし、業種を問わずさまざまなサードパーティーのソフトウエアやアプリケーションをここに実装していく。連携先候補になる業種として、「通信・情報インフラ」「アプリ」「機器」「保険」「製薬」「地方自治体」「建設」「物流」「食品」「流通」「警備」などを挙げた。「健康というキーワードのもとにはさまざまな企業が集まってくる」(堤氏)とし、あらゆる業種がパートナーになり得るとの考えを示した。

札幌市で「健康と食文化」に着目した街づくり

 通信・情報インフラ分野の協業先となるのが、ソフトバンク。IoTやAIに関する同社のノウハウを活用し、特に予防分野に比重を置いたサービス開発やその実証を進めていく。この分野ではNTTコミュニケーションズとも連携し、既にデジタル病理診断支援のソリューションを共同開発した。ドイツSAP社やJSOLとも、地方自治体向け案件などで協力する。

 地方自治体の協業先に挙げたのが、札幌市だ。新さっぽろ駅周辺の再開発事業にフィリップスが加わり、先制医療のノウハウを提供。「健康と食文化」に着目した街づくりを進める。建設業界のパートナーとしてここに、大成建設と大和ハウス工業も参加する。こうした地域でのコミュニティーづくりも、これからのフィリップスの重要な事業領域になるという。

 物流業界のパートナーとして協業を発表したのが、ヤマトロジスティクス。フィリップスの製品やサービスのサプライチェーンマネジメントなどで協力する考えだ。ヤマトロジスティクスの地域ネットワークを生かし、例えばCPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療装置)周りの消耗品供給に関する協業などを検討する。

 アプリに関しては、医療従事者間の情報共有アプリ「Join」などを手掛けるアルムとの協業を進める(関連記事4)。救命救急向けの統合ソリューションを開発するという。

 こうした異業種との連携を通じ、「世界トップレベルのヘルステックのソリューションを構築する。フィリップスはオランダの会社だが、日本の会社でもある。世界で勝てる医療を日本から実現していく」(堤氏)と意気込みを語った。オープンイノベーションを推進するためのイノベーション拠点を設ける構想にも言及した。どこにどのような拠点をつくるかについては「(発表を)楽しみにしてほしい」(堤氏)。

この記事のURL http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/report/120700099/