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第19回図書館総合展 ARGブース内トークイベント(3)

これからの公共施設は「20世紀に学んだ建築学が通用しない」

小口 正貴=スプール【2017.12.13】

パシフィコ横浜で開催された第19回図書館総合展(2017年11月7日~9日)。図書館や公共施設のプロデュース、コンサルティングなどを手がけるアカデミック・リソース・ガイド(横浜市。以下、ARG)の出展ブースでは、「ファンドレイジング」「指定管理」「エリアマネジメント」をテーマに興味深いトークイベントが立て続けに開催された。本稿では「エリアマネジメント」についてのトークイベントの模様をお伝えする。

会場となったARGブースは有機コーヒーを出す移動式カフェを併設するなどリラックスした雰囲気(写真:小口 正貴)
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 トークイベントのテーマは「地域を編み直す〜公民連携、イノベーション、エリアマネジメント〜」。ゲストは一級建築士でスターパイロッツ(東京都目黒区)代表の三浦丈典氏、日本各地のまちづくりに関わるアフタヌーンソサエティ(東京都千代田区)代表取締役の清水義次氏。ホストをARG代表取締役の岡本真氏、ARG取締役の李明喜氏が務め、まずは三浦氏、清水氏がそれぞれの取り組みを紹介した。

 スターパイロッツは建築物の完成を目的としないユニークな設計事務所として知られる。現在43歳の三浦氏は、学生時代に街のスラム化に対してどう対処していくべきかの教育を受けたが、「仕事をするようになり、実際は人が減ってスカスカでスポンジ化し、低密度の時代になっている」(三浦氏)ことを痛感した。

道の駅の設計だけで終わらず、指定管理者の株主に

 「今まで習ってきたことで仕事をやろうとしても、まったく仕事がない。ハコをデザインするのではなく、空いたハコの使い方をデザインする。これが建築家に求められる時代になった」(三浦氏)

 例えば同社が手がけた「こみち荘」(東京都荒川区)は、等身大の国際交流を掲げる下宿形式の宿だ。既存不適格・再建築不可の古い木造一軒屋を30代の女性が購入し、彼女の住居を兼ねながら外国人を迎え入れている。

スターパイロッツの三浦氏(写真:小口 正貴)
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 総事業費が1000万円と限られていたため、「最終的には設計料をスタッフの人件費のみにした」と三浦氏は言う。ただしレベニューシェア型設計管理契約を締結。60カ月間、損益分岐点の30万円を越えた分の2割を配当してもらう内容とした。

 「通常、設計者は家が建ったらいなくなってしまう。自分の作品を作りたい、売り上げがほしいということだけではなく、建物ができた後も関係を続けながら、利益を共有できることをこの経験から学んだ。契約段階からお互いに同じ方向を向いて、同じ利益のために一緒になって走ることができるからだ」(三浦氏)

 長野県木島平村の古い工場を改修した道の駅「FARMUS(ファームス)木島平」では、新たな村民のコミュニティスペースとしての機能も持たせた。ここでも改修して離れるのではなく、指定管理者の株主となり「運営上も関わる建築家」(三浦氏)として現在も関わっている。映画館のない木島平村の子供たちに映画の醍醐味を味わってもらおうと映画イベントを開催したりもした。

 そのほか、山形県鶴岡市の山王商店街では手作りの野外映画祭を開催したり、岡山県西粟倉村では保育園の上棟式でシャボン玉イベントを実施したりと、各地で子供たちの思い出づくりに積極的に貢献している。これらはすべて、三浦氏なりの“まちづくり”のビジョンに基づくものだ。

 「究極の目標は、“いいまちの未来”を作ること。未来を作る子供たちを1人でも多く増やすことがゴール。自分のまちが楽しかった記憶を増やしてあげることが、回り回ってまちづくりにつながると考えている」(三浦氏)

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