• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

リポート

記事一覧

第19回図書館総合展ARGブース内トークイベント(1)

図書館における指定管理者制度の課題と可能性

小口 正貴=スプール【2017.12.12】

パシフィコ横浜で開催された第19回図書館総合展(2017年11月7日~9日)。図書館や公共施設のプロデュース、コンサルティングなどを手がけるアカデミック・リソース・ガイド(横浜市。以下、ARG)の出展ブースでは、「指定管理」「ファンドレイジング」「エリアマネジメント」をテーマに興味深いトークイベントが立て続けに開催された。本稿では「指定管理」についてのトークイベントの模様をお伝えする。

指定管理の現状を深くえぐる質問が投げかけられた(写真:小口 正貴)
[画像のクリックで拡大表示]

 2003年に始まった公の施設の指定管理者制度(以下、指定管理)。日本図書館協会の調査によれば、2015年までに指定管理を導入した全国の公共図書館数は469館。これは全体のおよそ14%に当たる。

 制度開始から14年が経過し、図書館における指定管理は何をもたらしたのか。トークイベントは、ARGスタッフの野原海明氏がファシリテーターを務め、ゲストが質問に答える形で進行した。ゲストに招かれたのは、図書館の指定管理を数多く手掛ける「図書館流通センター(TRC)」代表取締役会長の谷一文子氏、鹿児島県指宿市の市立図書館の指定管理を行うNPO法人、本と人とをつなぐ「そらまめの会」(以下、そらまめの会)代表理事の下吹越(しもひごし)かおる氏の両名。以下、それぞれの言葉を通し、指定管理の課題と現状を浮き彫りにしていく。

指定管理は“ブラック”なのか?

TRCの谷一氏(写真:小口 正貴)
[画像のクリックで拡大表示]

野原氏:指定管理が開始されて14年が経ちました。改めてメリット、デメリットを整理してみたいと思います。まず、指定管理の賃金体系は低いと言われますが、それに関してはどう思われますか。

谷一氏:弊社では2005年から「北九州市立図書館」で本格的に指定管理を始めましたが、賃金が低いといった意見はほとんどありませんでした。むしろある程度、必要な金額を自治体に提示するとプロポーザルで受け入れられる印象が強かったですね。

 指定管理は(金額だけで決まる)入札制度による業務委託と異なり、良質なサービスを提供することである程度の指定管理料をいただける。図書館の中で非正規の職員さんが1人から2人ぐらいしかいない場合など、(指定管理料の範囲で良質なサービスを提供するのは難しいので、募集があっても)私たちとしても受けられない場合はありますが、必ずしも指定管理という制度だから賃金が安くなった、とは感じていません。

そらまめの会の下吹越氏(写真:小口 正貴)
[画像のクリックで拡大表示]

下吹越氏:私たちが指定管理を受けたのは今から10年前。そのとき、指宿市からは「委託料を安く抑えてほしい、そして民間のノウハウがほしい」との要望がありました。そうなると結局、圧縮するのは人件費しかありません。10年目に入り、ようやく行政と親密に言い合える仲になってきました。スタッフがいくらお給料をもらえれば働くことに生きがいを感じて、どうすれば経営していけるのかを話せるようになりました。

野原氏:例えばスポーツ施設のように有料ならば客を増やすことが待遇の改善につながりますが、図書館は難しい。その中でどのようにして自分たちでお金を稼いでいくべきだと思いますか。

谷一氏:民間らしい方法でどのようにしてお金を生むか――。はっきり言えば、業務の効率化しかないと思います。TRCが指定管理を行う図書館の中には、ICシステムを導入することで自動返却、自動貸出を実現したところもあります。これにより、通常なら15人必要な図書館が10人以下で運営できるようになります。もちろん初期投資はかかりますが、5年程度をメドに投資を回収していく考えです。

下吹越氏:私たちの場合、本は売ってもいいことになっています。ただし、許可されているのは私たちが出した本、指宿市民が出した本、社会教育課が売ってもいいといった本のみ。図書館バッグなどを作って許可が出れば売りたいとも考えていますが、大した金額にはならないでしょう。

 そこでNPOの特性を生かして何かできないかと考え、ファンドレイジング(非営利団体が活動資金を調達する行為のこと)を実施しました。指宿市を回る移動図書館車をつくり、図書館がない地域の子どもたちに本を届けるための資金をクラウドファンディングで調達するプロジェクトです。そこで市民向けに出張の読み聞かせやカフェなど、有料サービスを展開する予定です(編集部注:移動図書館は市の事業ではなくそらまめの会の活動として実施)。

企画・運営
  • 日経BP総研
健康ソリューション

<新設!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ