• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

リポート

記事一覧

海外で進む水道事業の民間活用とイノベーション

内閣府「水道事業における民間活用とイノベーションに関するシンポジウム」より

山田 哲也=イデア・ビレッジ【2016.12.5】

「水道事業における民間活用とイノベーションに関するシンポジウム」(主催:内閣府、日本政策投資銀行)が、10月6日、都内で開催された。水道事業を民間委託して成果を挙げているフランス第2の都市・リヨン市のジェラール・コロン市長による講演のほか、アクセンチュア、日本IBMによる、参画している海外事例の紹介などが行われた。当日のプログラムより、この3人の講演の概要をお伝えする。また、海外事情については「フランス・英国の水道分野における官民連携制度と事例の最新動向について」(内閣府、日本政策投資銀行、日本経済研究所)を参照することでさらに理解が深まるだろう。

基調講演「フランスの地方公共団体におけるPPP・コンセッション」

リヨン市長
ジェラール・コロン氏

(写真:山田 哲也)

 リヨン都市圏(メトロポール・ド・リヨン:Metropole de Lyon)では、1986年から30年間、水道事業を民間委託した。2001年にリヨン市長になった私も、この契約を受け継いだ。そのとき私は、民間によるサービスの質が高いことを確認した一方で、限界も感じていた。公共事業体としてのサービス能力が徐々に失われていること、契約がきちんと履行されているか、管理が難しくなっていることが課題だと考えた。

 30年の契約期間が満了することから、2010年代の初め、新しい管理形態を検討することになった際に、「公営の場合のメリット」「民間委託の際のメリット」について掘り下げた調査することを私は指示した。

 当初から私は民間委託が正しい選択肢だと思っていたが、もちろん公営に戻るという選択肢もあった。結果として、配水網の複雑さなどの技術面からも、財政面からも公営に戻ることは難しく、民間セクター(仏・ヴェオリア)への委託を選択した。

 ただし、検討チームでは極めて高い目標を掲げた仕様書を策定した。この仕様書は現在、フランスやヨーロッパの多くの都市が参照するものとなっている。公共サービスを民間に委託するときには、長期にわたる掘り下げた調査に基づいて仕様書をつくり、契約者双方の権利と義務を定義するべきだ。

 仕様に基づく選考基準の第1には、受託事業者が新しい水源を探すことが盛り込まれた。リヨンの主水源はローヌ川だけであったが、もし汚染された場合を考えるとローヌ川のみへの依存は大きな問題を引き起こす。そこで、ソーヌ川からも取水できないか調査・検討を行うことを受託者に要請した。

 次に、長期的な観点から、事業者には配水網、とりわけ導管について、投資を年間25%増加する約束をしてもらった。その結果、2500万から3300万ユーロへと投資額は引き上げられた。

 また、リヨン都市圏による“水の主権”を保証するために、水道施設の主要な構成要素となる150mm以上の大型配管についてはリヨン都市圏が直営で改修工事をし、その後の管理は受託事業者が行う「官民の混合方式」を採ることにした。

 さらに、リヨンはフランスの中で比較的水道料金が高い自治体であったが、購買力が低下した市民のために、新しい契約では基本料金の25~35%、従量料金では20%の水道料金引き下げを図りたいと考えた。この結果、リヨンは水道料金が安い自治体の1つへと転換した。

 イノベーションの活用も挙げられる。リヨンが技術革新の最先端として位置付けられるために、受託事業者にスマート化を求めた。その結果、5000万ユーロの投資が約束された。新たに構築する上水網の総合的な監視システムには、2018年までに1万個のスマートメーターと、5500基の漏水探知センサー、水の品質管理をするための数百個のセンサーが設置される。これはまさにPPPによるメリットだと考えている。常にイノベーションが起こり、リヨンを常に新しいスマートな上水制度が持てる都市にすることができる。

企画・運営
  • 日経BP総研
健康ソリューション

<新設!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ