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「終活」支援で官民連携、注目集める横須賀方式

佐藤美の=コトノハ【2016.9.26】

身寄りがなく生活にゆとりのない高齢者の「終活」を、官民の連携によって支援している自治体がある。横須賀市は2015年7月、高齢者の死後の葬儀・納骨方法などの「終活」計画を生前に作成する「エンディングプラン・サポート事業」を開始した。この取り組みは全国の自治体から注目を集め、多くの問い合わせが相次いでいる。例えば、2016年7月には、同じ神奈川県の大和市も同様の事業を始めた。

エンディングプラン・サポート事業の概要(資料:横須賀市)
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 横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業」は、希望する高齢者から死後の葬儀、納骨の希望を事前に市がヒアリング。その後、希望者は市内の協力葬儀社との間で、生前契約(死後事務委任契約)を結び、死後の葬儀などを任せるというものだ。希望者は葬儀社に対して、葬儀・納骨代の20万6000円を契約時に支払う。この額は、生活保護受給者の火葬費用と同じ水準に設定している。

20件が成約、2件のサポートが完了

 「エンディングプラン・サポート事業」を受けられるのは、原則として65歳以上で、身寄りがなく、月収およそ16万円以下、預貯金が200万円以下で、土地家屋を所有していない高齢者だ。さらに希望すれば、「リビングウィル」についても計画に盛り込むことができる。リビングウィルとは、延命治療や緩和治療に対する本人の意思・考えのことだ。生前にあらかじめ治療方針を決めておけば、緊急時の治療に役立つ。

 横須賀市の2014年における高齢化率は約30%。人口約41万人のうち、高齢者は約12万人余りで、2015年にはひとり暮らしの高齢者が1万人を超えた。今後も、ひとり暮らしは増加の一途をたどると予測されており、全体の世帯に対するひとり暮らし世帯の割合は、2015年の28.5%から2035年には32.1%になる(横須賀市都市政策研究所「横須賀市の世帯数の将来推計(2014年5月推計)。

 横須賀市は、亡くなった人の身元が不明の場合、身寄りがいない場合、あるいは身元が分かっていながら引き取り手がいない場合、通常、市の費用で直葬(お通夜と葬儀をせずに火葬すること)し、遺骨を市の無縁納骨堂(浦賀納骨堂)に一時的に安置する。ただ、「政教分離」の原則のもとで供養はできない。納骨堂が遺骨でいっぱいになると、遺骨の引越し作業を進める。市職員が骨壷から遺骨を取り出し、名前、番号を台帳と突き合わせてから、遺骨を袋詰めにして業者に引き渡し、別の合葬墓に埋葬する。骨壷は、市職員が割り砕き、産業廃棄物として処理される。

 エンディングプラン・サポート事業は、こうした哀しくやるせない作業を担当した職員の声などに端を発している。「骨壷から遺骨を取り出し、袋に入れる。骨壷をかち割る――。こんなせつない作業をしながら、なにかできることはないだろうか、と考え始めるようになりました」。横須賀市福祉部生活福祉課の北見万幸課長は話す。

浦賀無縁納骨堂から遺骨をほかで合祀するための作業(写真:横須賀市)
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 サポート事業を開始して、約1年が経った。2016年8月末日時点で、市内からの問い合わせは120件。このうち20件が成約した。契約者が死亡してサポートが完了したのは2件だ。この2件を公費で火葬したと仮定すると、約40万円かかっていたことになる。

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