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認知症予防で目標達成、天理市が公文教育研究会に成果連動の支払い

山田 雅子=ライター【2018.5.9】

 奈良県天理市は4月17日、成果連動型支払い方式で公文教育研究会に委託した認知症予防事業の成果を発表した。認知症の疑いがあった9人のうち、8人の認知機能が改善し、当初設定の成果目標をクリアしたことから、満額の委託報酬を支払うことになった。成果の評価は、第三者である慶應義塾大学SFC研究所(以下、慶大SFC研)が実施。市、公文教育研究会、慶大の三者によると、認知症予防分野において、成果連動型支払い事業の目標が達成できたケースは日本初だという。

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天理市と公文教育研究会が実施した認知症予防事業のスキーム(発表会配布資料を一部加工)

 この事業は、公文教育研究会が提供する認知症予防プログラム、「脳の健康教室」を活用したものだ。東北大学の川島隆太教授らとともに開発したプログラムで、2017年度は全国の約210市区町村で、約410教室が開催された実績を持つ。天理市では「活脳教室」と名付け、約20人の高齢者を対象に、2017年7月から12月にかけて実施した。

 内容は、2人の高齢者に対して1人のサポーターが付き、簡単な読み書き計算とコミュニケーションを交えた30分程度の学習支援を行いながら、高齢者の脳を活性化させ、自信、意欲、誇りを引き出していくというものだ。公文教育研究会によると、簡単な問題をスラスラと解くことにより、脳への効果が見込めるという。市のメディカルセンターを会場に、対象者は週に1回、半年間で計22回、活脳教室に参加した。サポーターを務めたのは、市が募った地域のボランティアだ。所定の研修を受講した上で、活脳教室をサポートした。

5つの指標で成果連動型の支払い

 今回の事業の最大の特徴は、完全な成果連動型の支払いだったことだ。参加者の認知機能の改善など、あらかじめ成果指標と目標を設け、クリアできれば市から公文教育研究会に対して報酬が支払われ、クリアできなければ、まったく支払われない。

 支払いに直結する指標は計5点。事業実施に関わる指標として、「サポーター数の確保」「所定の研修の受講」「活脳教室の開催回数」「参加者の出席率」、成果に関わる指標として「認知機能検査『MMSE』の改善」を設定した。

 MMSE (Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)とは、とは認知能力や記憶能力についての簡便な調査のこと。活脳教室開始前に実施し、スコアが認知症の疑いのある26点以下(30点満点)だった参加者のうち、8割以上が終了後の検査で改善していることを目標とした。

 活脳教室終了後の結果は、MMSE26点以下に該当する9人中8人の点数が改善。9人のMMSEの平均値は、開始前の7月時点では22.1点だったが、終了後の12月には25.0点に改善した。事業実施に関わる4点の指標もクリアし、支払いに関わる成果目標をすべて達成したことから、天理市は公文教育研究会に対して、サポーターへの謝礼や研修費などの実費22万円と、成果報酬4万円の計26万円を支払うことになった。

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支払いに直結する指標とその結果(発表資料より)

 市によると、今回の成果報酬型事業のメリットは大きくは2つ。まず、あらかじめ指標を整理することで、従来は見えにくかった認知症予防の取り組みの成果が可視化できたこと。そして、予算投入に対する効果が明確化できたことだという。

 そのほか、参加者へのアンケートの結果からは、孤立感の減少、家族や周囲の人とのコミュニケーションの増加、身体機能の維持・向上が実感されていることが分かった。ヒアリングでは、「週一回の外出が生活のリズムとなった」「毎週顔を合わせる仲間ができて楽しい」といった声も挙がり、活脳教室が、外に出る機会や通いの場として機能していることもうかがわれた。

 また、副次的な指標として、前頭葉の機能を測る検査であるFAB(Frontal Assessment Battery)を実施したところ、有意に改善が見られたという。

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