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事例研究

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規則で縛らない「図書館」に人が集まる――大和市の複合施設「シリウス」

オープン5カ月弱で100万人、“市民の居場所”目指す

茂木 俊輔=ライター【2017.4.26】

一体運営へ、融合事業などを話し合い

 指定管理者制度の導入は市にとって、どのような意味を持つのか。

 財政上の比較は容易でない。旧図書館と旧生涯学習センターの直営コスト計約3億5000万円に対し、大和市文化創造拠点「シリウス」の指定管理料はその倍以上に相当する。しかしそこには、図書館や生涯学習センターのほか、芸術文化ホールと屋内こども広場が置かれ、施設全体の規模もはるかに大きい。開館時間は最長で午後10時までと大幅に延長されているため、同じ土俵の上では比較できない。

3階の屋内こども広場(写真:茂木俊輔)
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 ただそれを踏まえたうえで、柴田氏はこう言い切る。「運営コストが増えても構わないということでは決してないが、指定管理者制度を導入し始めた当初と違って、いまはコスト削減を必ずしも第一に期待しているケースばかりではない」。

 市にとって、指定管理者の導入目的として重要なのはむしろ、「大和駅東側第4地区公益施設管理運営基本計画」で掲げていた施設全体の一体運営と民間活力の積極活用という2つの狙いの実現だ。細かなルールで利用者を縛らない、開館時間を大幅に延長する、という利用者の視点に立った開館時の運営はまさに、民間活力の積極活用の成果といえる。今後は施設全体の一体運営をどこまで実現できるかという点が、一段と問われていく。

 施設全体の一体運営は、指定管理者側も十分に意識している点だ。統括責任者の金守氏は、こう強調する。「縦割り意識を生まない一体運営は管理運営上の重要な柱。統一のテーマに基づく融合事業の企画や広報など具体の取り組みを通じてそうした運営を心掛けるとともに、各施設を運営する個別事業者間では館長会議や共同事業体(JV)会議などを定例で開き、日常的な情報共有や課題解決を図っている」。

 図書館流通センターの今村氏も、「例えば芸術文化ホールで文楽の催しがあれば、こども図書館で落語講座を、生涯学習センターで歴史講座を開くなど、各施設の連動性を高めたい。事業面ではそうした融合事業を展開しながら、より多くの利用者に来てもらうことを一番に目指している」と意気込む。

 指定管理者制度の導入を背景に、いまでは年間200万人もの利用者を見込む大和市文化創造拠点「シリウス」。これだけの集客力を持った施設の生み出す価値は周辺一帯にとっても極めて大きい。再開発事業や保留床取得への公共投資を踏まえれば、それを地域の活性化に生かさない手はない。市の「次の一手」が待たれる。

企画・運営
  • 日経BP総研


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