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事例研究

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規則で縛らない「図書館」に人が集まる――大和市の複合施設「シリウス」

オープン5カ月弱で100万人、“市民の居場所”目指す

茂木 俊輔=ライター【2017.4.26】

新しい図書館のスタイルを追求

 「シリウス」の運営は、市が選定した指定管理者「やまとみらい」が担う。図書館流通センター、サントリーパブリシティサービス、小学館集英社プロダクション、明日香、ボーネルンド、横浜ビルシステムの6社で構成する企業グループだ。各社は、図書館、芸術文化ホール、生涯学習センター、屋内こども広場(げんきっこ広場、ちびっこ広場、保育士が常駐する保育室、育児相談室など)の運営、ビルの維持管理を専門領域としている。

 なお、1階エントランスと連続した空間に入居するスタバは、指定管理者「やまとみらい」が選定し、市と協議のうえで誘致を決めたもの。床の権利を持つ市からスターバックス コーヒー ジャパンがスペースを借りて営業している。大和市文化創造拠点「シリウス」とは別に外から出入りできる1・2階のスペースには、飲食店舗(酒類も提供するカフェ)やコンビニエンスストア、歯科、以前からあった神社などが入居している。ここは市以外の地権者から床を借りている形だ。

シリウスに入っている各施設の業務分担(資料:大和市)
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建物西側に沿った1・2階部分に、民間地権者のテナントが入っている(写真:茂木俊輔)
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コンビニエンスストアは建物内から図書館と行き来もできる(写真:編集部)
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 施設の魅力は、誰もが居場所を見つけて気軽に利用できる点だ。

 フロア構成上、図書館の主機能は3階の一部(こども図書館など)と4・5階に配置されているが、1・2階にも書架や閲覧席を並べ、図書館の本は施設内ならどこででも、貸し出し手続きを経ずに閲覧できる。

 「図書館がまちづくりの核として機能するようになってきた中で、市民に求められる新しい図書館のスタイルを検討した結果、複合施設の全体を図書館と捉え、市民の居場所にしようという発想が生まれた。それを、フロアの造りや図書館の運営に反映させた」。大和市文化スポーツ部文化創造拠点開設準備室係長(取材当時、現・文化スポーツ部図書・学び交流課)の柴田豊氏は説明する。

2階の通路に設けた書架と閲覧席(写真:茂木俊輔)
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 2階に置かれている有料の座席「市民交流ラウンジ」は、図書館として運営しているのではなく、6階に主要施設が配置されている生涯学習センターの一部だ。会議室などを有料で貸し出す6階の共同学習用のスペースに対して、個人学習用のスペースと位置付けられる。利用者は自動販売機で購入したチケットのQRコードをゲートにかざし、出入りする。「電源コンセント付きの、しつらえのよい席であることから、受益者負担の考え方に基づき、利用料を徴収している」(柴田氏)。

2階の有料スペース「市民交流ラウンジ」(写真:茂木俊輔)
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 シリウスでは、利用者は公共施設にありがちな細かなルールで縛られることがない。「館内での飲み物、おしゃべり、写真撮影、これらは一部のエリアを除き、強く注意していない。施設を管理する側としてこれまでは細かなルールを課してきたが、ここを“居場所”とするなら、利用者の視点でそれらのルールがどうあるべきかを考える必要がある」。指定管理者の代表企業、図書館流通センターで神奈川営業部部長を務める今村啓吾氏は話す。

無料で利用できる6階の「市民交流スペース」(写真:茂木俊輔)
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 読書も学習も、飲み物片手にどこででも――。利用者にとっては使い勝手のいい、運営者にとってはリスクも伴う施設は、どのように誕生したのか。建設プロジェクトの経緯から振り返っていこう。

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