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事例研究

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72公共施設を小修繕を含めて管理、廿日市市が包括委託

大面積の自治体特有の課題解決に取り組む

真部 保良=日経アーキテクチュア【2017.11.29】

個別発注していた年間1000件前後の業務を一括で

 包括委託に切り替えるに当たり、市内にある約500の公共施設のうち、どこまでを対象とするかがポイントとなった。包括委託の前例は、千葉県流山市のように市域が比較的狭く、施設が集中しているところに限られていた。広域の廿日市市では、範囲を広げ過ぎると民間事業者が包括受託によるスケールメリットを得られないため、応募を尻込みしてしまう恐れがあった。

 そこで、市では民間企業の意向を公募前に調査した。大手2社、広島県内2社の、合計4社から意向を聞いた結果、まずは72施設の包括管理業務を委託することにした。選んだ施設はいずれも、極端な遠隔地ではない場所に立地し、特殊な設備を備えていない建物である。

包括管理業務の対象施設の一つ、串戸市民センター(写真:廿日市市)
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包括管理業務の対象とした72の公共施設(資料:廿日市市)
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 2016年の7月から10月にかけて公募型プロポーザルを実施した。応募のあった5社の中から、大成有楽不動産を選定。2017年4月から2020年3月までの3年間の契約を結んだ。

 今回の契約では委託側も受託側も、窓口を一本化した点が特徴といえる。委託する市では、学校を担当する教育総務課、市民センター担当の地域政策課、保育園担当のこども課といった担当部署がそれぞれ行っていた契約、支払い、作業日程調整などの業務を、行政経営改革推進課が引き受ける。一方、受託側は大成有楽不動産が自家用電気工作物や消防用設備など7項目にわたる保守点検業務のほか、営繕、巡回点検などの業務も受け持つ。自動ドアの保守点検など、実際の作業は別の事業者が行う場合でも、窓口の役割は大成有楽不動産が務める。

 双方の窓口の一本化とともに、行政職員の業務効率を上げるために実施したのが、小規模な修繕も含めた委託だ。「1件当たり数万円から、小さいものでは数千円のものまで、年間1000件前後を一つひとつ職員が発注し、支払いを行っていた。技術に不慣れな職員の場合もあり、手間が最もとられていた部分だった」と、同課の森井治子氏は振り返る。2016年度の、これらの修繕の総額は2100万円だった。

 包括委託の基本的な枠組みは、先行して導入していた千葉県流山市などの事例を参考に組み立てた。小規模修繕の金額の明確化など独自の取り組みもあるという。包括委託によって行政事務の効率向上だけでなく、コスト削減や技術的な質の向上といったメリットも生まれているという。

次は施設の総量削減へ

 市は2017年9月から、包括委託の第2弾に取り組んでいる。宮島地域の水質管理センター、水道施設、清掃センターなどを対象としたもので、施設の運転監視や保守点検、修繕などを含んでいる。

 期間は2018年4月から2023年3月までの5年間で、提案上限額は合計約7億560万円としている。既に応募者からの企画提案書の提出を受け、12月にプレゼンテーションを実施して審査結果を公表する予定だ。

 同市では、こうした包括委託の取り組みと並行して、2013年に策定した「公共施設マネジメント基本方針」に基づいた施策を進めている。胡課長は「今後は残す施設とそうでない施設を見極めて、総量を削減する方向にかじを切りたい」と話す。

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