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事例研究

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海側と山側で補完、尾道の遊休建物改修

広島県尾道市「ONOMICHI SHARE」ほか

山本 恵久【2017.10.19】

Interview 4つの拠点で最大200人の宿泊客受け入れを視野に ディスカバーリンクせとうち代表 出原昌直代表

出原 昌直(いではら まさなお) 1969年広島県福山市生まれ。93年法政大学経済学部卒業後、伊藤忠商事を経て2000年にアパレル事業等の現ディーフィールド設立。12年にディスカバーリンクせとうち設立。15年4月より広島県議(写真:日経アーキテクチュア)
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 会社設立後、民間の事業者として、一部の少額の助成を除けば資金面では自立して進めてきた。

 ONOMICHI U2の規模の事業に携わるに当たっては、民間都市開発推進機構のまち再生出資のほか、地銀の融資に助けられている。観光というのは、簡単には利益を生まないサービス業ながら、雇用を生む効果がある。「地域の雇用を守るために観光を手段とする。そこに融資できないようなら、地銀である意味がない」と言っていただき、支援を受けている。

 県と市の協力により、U2は、海側に人の流れを呼び込む新しい魅力の核になった。広報面の効果を含め、建築やデザインの力の大切さを実感した。山側にも、そうした大きなきっかけになる場所が欲しい。ここしばらく、千光寺に上る新道の脇にある旧・新道アパートを、宿泊、飲食、公共スペースの機能を持つ複合施設にリノベーションする山白屋のプロジェクトを継続している。

 山白屋に関しては、インドの建築設計事務所のスタジオ・ムンバイが実施設計を、ほぼ終わらせている。湊のやどをつくって分かっていたが、車の入り込めない山手では工事の費用も時間も平地の倍は必要で、運営を始めてからも物や人の上下が簡単ではない。来春の開業を予定していたが、延びる可能性がある。逆に国内でも、まれな施設になるはずだと考えている。

 スタジオ・ムンバイの建築を知っておきたい、とブランディングを担当しているスタッフから声が上がって急きょインドに趣いたのは、U2を計画中の頃だった。建築を体験できればいいだろうと思ったら、インドの知人のつてで代表のビジョイ・ジェインさんに会い、家に泊めてもらうことができた。サポーズデザインオフィスの吉田愛さんも同行していたので、それ以来の意見交換などはU2のデザインに影響している箇所があるのではないかと感じる。

 湊のやど、U2、山白屋、もう1つ公表前の新築プロジェクトを合わせ、4つの拠点によって150~200人の宿泊客をディスカバーリンクせとうちが担う状況に持っていこうと考えている。農業、漁業との連携でサービスを開発し、山手に上がったら1泊か2泊は下に降りずに完結した新しい過ごし方ができるようにしたい。

 これまでの施設を合わせ、雇用も200人程度を創出する計算になると思う。これだけ各地で観光振興が進むと、尾道に限らず、サービスのための人材確保が課題になってくるのは間違いない。

 次の世代に残したい建物には、積極的に再生に関わるつもりで取り組んでいる。新築にしろ、まちの資産になるものにしたい。そういう姿勢でも、企業誘致に公的支援があるのと比較し、ホテル建設には行政の支援を得にくい。規制緩和を含め、難題の多い事業を推進できる状況になって欲しいと感じている。

 尾道がひと段落したら、もともと視野に入れていた鞆の浦の側の事業開発にも力を入れたい。(談)

現状の新道アパート。スタジオ・ムンバイのビジョイ・ジェイン氏は小津安二郎監督の「東京物語」が好きで舞台の尾道は知っており、本件のために何度も足を運んでいるという(写真:日経アーキテクチュア)
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