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事例研究

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図書館と大型書店が同居、「本のまち」明石のシンボル施設に

4倍に増えた来館者、県内トップの人口増加にも貢献

真部 保良=日経アーキテクチュア【2017.9.18】

兵庫県明石市のJR明石駅前に誕生した再開発ビルの4階に「あかし市民図書館」、2階にジュンク堂書店が、同時オープンしたのが2017年1月。5月までの図書館の入館者数約34万人は、旧図書館の約4倍。駅前の通行者数もオープン前より4割増えた。本のまちづくりを施策に掲げ、2013年から人口増を続けている同市の、賑わいの拠点となっている。

「あかし市民図書館」やジュンク堂書店が入る再開発ビル「パピオスあかし」を明石駅前広場から見る(写真:日経アーキテクチュア)
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4階のあかし市民図書館の入り口(写真:日経アーキテクチュア)
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2階のジュンク堂書店明石店の入り口(写真:日経アーキテクチュア)
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 1日当たり延べ約13万人が乗降するJR明石駅と山陽電鉄・山陽明石駅。両駅の南側約2.2haの地区で進められていた市街地再開発事業が2016年12月に完了し、衰退していた駅前商業地に賑わいが戻ってきた。駅前を通行する歩行者数は2017年2月時点で約2万8000人と、工事期間中だった2015年10月時点の約2万人から4割増えている。

 賑わいの回復に大きく貢献しているのが、駅前再開発ビル「パピオスあかし」の4階にある「あかし市民図書館」と、2階のジュンク堂書店明石店だ。前者の蔵書数は約60万冊で、後者は約40万冊。個別にはこの数字を上回る施設はいくつかあるが、公共図書館と民間書店が同居するこれほどの大型施設は、国内に例がないという。

市民の声で役所を図書館、子育て支援施設に変更

 順調なすべり出しを見せている再開発ビルだが、完成までの経緯がスムーズだったわけではない。

 明石駅の南約300mには明石港がある。かつては淡路島への旅客船の乗降客がこの地区を行き交い、市内最大の商業地として栄えていた。だが、1998年の明石海峡大橋の開通による乗降客の減少や、周辺地域に進出してきた大型ショッピングモールなどの影響で、商業地区の衰退が加速。2005年には、駅前の複数のビルで営業を続けてきた大型小売店ダイエーが撤退した。

 危機感を抱いた市や地元の権利者は、2009年に再開発準備組合を設立。市は2010年に、駅から港までの一帯約60haを対象とした中心市街地活性化基本計画を策定し、その中で駅前地区の再開発を核事業と位置付けた。

 ただし、この時はまだ、駅前再開発ビルに図書館が入る計画ではなかった。「当時は市の人口が減り続けている状況で、駅前に賑わいを生み出すのは難しいだろうという空気があった」。2011年に初当選し、今は2期目に入った泉房穂市長は、こう振り返る(関連記事はこちら)。市民が集まる施設ではなく、市役所の執務スペースの約3分の1をここに移転することでビルの上部3フロアを埋めることになっていた。

計画を見直す前の「パピオスあかし」の断面図。この段階では4階から6階にかけて市役所の執務スペースが入る計画だった(資料:明石駅前南地区市街地再開発準備組合)
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見直し後の断面図。4階に図書館を、5階に子育て支援施設を入れた(資料:明石市)
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見直し後の平面図(資料:明石市)
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 この計画に待ったをかけたのが、泉市長だ。就任前から泉氏は、多数の市民が駅前に求めている公共施設は市役所ではなく、図書館や子育て支援施設のはずだと思っていた。「市民目線の改革」を市長選で訴えて初当選した直後、改めて市民に、駅前再開発ビルに対する意見を問い直した。その結果寄せられたのは、図書館を望む意見がトップで42件、次いで子育て施設が35件、市民交流施設が19件と、泉氏が思い描いていた通りの答えが返ってきた。泉氏の就任から半年後、市は再開発事業計画を見直すと発表した。

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