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自治体と分散型エネルギー(1)

「民が走り、公が支える」気質で実現、米子市の地域新電力

施設の事業性を向上できる協力関係を築く

加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ【2018.5.10】

 鳥取県米子市は、山陰地方の中心都市の一つである。美保湾や中海に面し、面積は約132m2、人口は約15万人の規模がある。再生可能エネルギーの資源にも恵まれ、太陽光発電所をはじめとする再エネ発電所が多く立地する地域である(図1)。

図1●米子市周辺
手前に見える太陽光発電所はソフトバンクグループの出力約42MW。右に見える山は大山(出所:日経BP)
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 米子市では、2016年4月の電力自由化を機に、エネルギーの地産地消を目指す動きを加速させている。内需型の産業を育てたいという構想の一環となる。

 他の分野に比べて、エネルギーは地産地消の効果がわかりやすく、そして、取り組みやすい。そこで、電力から実行していくことにした。他の分野であれば、6次産業的な取り組みや、その地域ならではの付加価値といった面が成功の鍵を握ることが多い。一方、電力には、そのような面はほぼ問われず、取り組みやすさにつながっている。

 エネルギーを地産地消の面で見ると、鳥取県全体で、電気料金として県外に流失している金額は、年間で約1000億円となっていた(図2)。この数値から、米子市では年間で約500億円が流出していると推察できた。鳥取県、米子市ともに、その最大の支払い先は、広島市に本社を置く中国電力となっている。

図2●鳥取県では年間1000億円が電気料金として域外に流出
米子市でも同約500億円が流出と試算した(出所:ローカルエナジー)
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 米子市では、電力市場が自由化されると、さらに首都圏や大都市圏に集中するような流出の構図になるのではないかと危機感を抱いた。これまでの中国電力から、首都圏や大都市圏に本社を置く大手企業による新電力に、流出先が変わることが予想された。

 電力市場の自由化は、地域にとって好機でもある。米子市では、これまでの地域外への流出額を減らせる機会になるのではないかと考えた(図3)。

図3●地域外に流出していた資金の流れを抑える
青の矢印が地域内から地域外へ流出する資金、赤の矢印が地域内で動いて流出しない資金(出所:米子市)
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 そのための準備として、総務省などのプロジェクトを活用し、分散型電源を使った地域新電力で必要となる技術や課題などについて、検証を重ねてきた。地域新電力の構想から、分散型電源と蓄電池を使い、多くの住宅における需要に合わせた供給を想定した実証まで、幅広く検証してきた。

 成果として、その後、米子市の企業5社が中心となって設立した地域新電力のローカルエナジー(米子市角盤町)に出資するとともに、この新電力を分散型電源による発電電力を地産地消するプラットフォームとして活用している(図4)。

図4●電気で地産地消を目指す
ローカルエナジーの事業の構想(出所:ローカルエナジー)
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 市が運営しているクリーンセンター(廃棄物処理場)における廃棄物発電電力を供給すると同時に、クリーンセンターを含む市の施設の電力調達先を同社に切り替えた。売電・調達ともに、これまでの中国電力よりも良い条件となり、経済面の利点とともに、地産地消に近づく取り組みと両立できる利点も得ている。

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