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ソーシャル・インパクト・ボンド、日本でのこれから

社会的投資推進財団(SIIF)代表理事 青柳光昌氏に聞く

聞き手・構成:萩原 詩子=ライター【2017.11.22】

地方創生やPFIにSIBを組み込むこともできるはず

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(写真:日経BP総研)

――これからSIBに取り組む場合、行政、事業者、出資者のそれぞれについて、課題があるとすればどのような点ですか。

 SIBは、従来のような、行政が委託し事業者が請け負う、一方通行の関係では成り立ちません。関係者同士が対等なパートナーとして同じ目標に向かう必要があります。

 行政だけでは解決が難しい、複雑化する社会課題に取り組むために生まれたのがSIBです。活用するために、例えば行政は制度を変えたり条例をつくったりする必要が生じるかもしれません。また、SIBの目的は、現在のコスト削減ではなく、将来コストの削減です。予算編成の場面で首長や議会の理解を得るには、十分な説明が求められるでしょう。

 一方で、多くの投資家がインパクト投資に高い関心を向けています。海外では、SIBが目標達成できなくても、SIBそのものの失敗ではないと投資家自身が語った例がありました。失敗事例からも学ぶべきことは多いからです。そもそも、目標に届かなければ行政の出費はないのですから、積極的に取り組む自治体がもっと増えてほしいですね。

 もちろん、事業者は、単にイノベーティブなスキルを持っているだけでなく、それがちゃんと成果につながることを示せなければなりません。これまでの実績をデータで可視化しておくことが大事です。それがなければ、事業の成果を測定するための合理的な評価項目や基準がつくれないからです。

 事業者にとってSIBは、成果重視で仕事ができることがメリットといえます。きちんと結果を出せれば、その後は継続して随意契約で質の高い仕事を受託できる可能性もあるでしょう。

――今後は、日本ならではの展開も考えられるでしょうか。

 まず考えられるのは地方創生ですね。移住促進や地域での起業支援、第一次産業の活性化などです。さらにそれを障害者の就労支援に結び付ければ、社会福祉課題の解決にもつながります。

 地方創生は国も地方自治体も多くの予算を割いて取り組んでいる優先課題ですから、案件も成立しやすいと思います。民間出資を組み合わせることで、より高い成果が期待できるのではないでしょうか。

 また、PFIとの組み合わせも考えられます。例えば、公営住宅の改修工事に際して、高齢者や障害者にとっても住みやすい環境を整備し、空き住戸を減らして健康寿命を延ばす、といったアイデアです。建物の改修とその後の運営を組み合わせれば、成果を評価することも可能だと思います。

 今後は、地方銀行や信用金庫の参画にも期待したいところです。SIBは地域の公共的な課題を民間事業者に開放して、民間ならでのチャレンジングな手法を活用するものです。地方銀行や地域の信用金庫が出資者になり、地域の事業者が活躍できるようになれば、地域全体の活性化につながるのではないでしょうか。

青柳光昌(あおやぎ・みつあき)
一般財団法人社会的投資推進財団(SIIF) 代表理事
日本財団に就職後、NPOへの多くの支援活動に従事。東日本大震災後、同財団の災害復興支援チーム責任者を経て、日本における社会的インパクト投資普及のための調査研究・パイロットモデルの実施などに携わり2017年より現職。

■訂正履歴
初出時、SIBについて「社会的インパクト投資」という説明をしていましたが「社会的インパクト投資の手法の1つ」と訂正しました。 [2017/11/24 19:05]
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