• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

キーパーソン登場

記事一覧

「食べる通信」は、都会と地方の「関係人口」を増やす手段

日本食べる通信リーグ代表理事 高橋博之氏に聞く

聞き手:渡辺博則=日経BPビジョナリー経営研究所【2016.11.15】

地方の活性化に向けて、ユニークな取り組みをしている一般社団法人・日本食べる通信リーグ。農業や漁業に携わる人や現場を紹介する紙媒体と一緒に、そこでとれた食材をセットで届ける、食べもの付きの定期購読情報誌「東北食べる通信」の創刊が2013年7月。新しい形のCSA(Community Supported Agriculture)ともいえるこの手法のノウハウを全国各地の編集・発行者に提供する「日本食べる通信リーグ」を翌年設立して、各地で「食べる通信」の発行を推進している。地方の生産者と都会の消費者とを結び付け、地方を活性化することが狙いだ。全国で発行される「食べる通信」は、いまや36誌。自治体(鹿児島県長島町)が発行する「食べる通信」もある。「つくる人と食べる人をつなぎたい」という代表理事の高橋博之氏に、これまでの経緯と現状、その思いを聞いた。

(写真=清水真帆呂、9月16日撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

――まず、食べもの付きの定期購読情報誌を全国展開するベースとなった、「東北食べる通信」を始めた経緯からお伺いしたいのですが。

 始めたきっかけは、東日本大震災です。東日本震災が起こった後、多くの都市住民が支援ということで岩手にやってきました。そこで何が起こったのかというと、漁師や農家は、出荷した先にいた大消費地の生身の消費者に出会った。都会の消費者は、テレビでしか見たことがないような漁師と出会ったわけです。それで互いに連絡先を交換して知り合いになっていった。僕もいろんな形で復興支援活動をやっていたのですが、そのときに、こんな姿を方々で目撃しました。

 そうして、食べる人とつくる人、両方にいい変化が生まれた。都会からでは見えなかった、食べものの裏側にいる、食べものを生み育てている生産者に消費者が「共感」し、生産現場に「参加」していったんです。

 生産者にだけではなく、その産業の価値に共感した人が、立場を超えてその価値を守り育てるために参加していく。必ずしも自分が農家・漁師にならなくても、消費者としてできる範囲で、その価値を守るためにどうすればいいのか、主体的に行動していく人たちがたくさんいたんです。まさに消費者が共感、参加して地域が活性化していった。消費者と生産者の分断をつないだのが震災だったわけです。

 これはもう「支援」じゃないなと思いましたね。

――確かに、「支援」という言葉は一方的な関係をイメージします。

 一般的な被災地支援のイメージもそうですが、いまの地方創生の文脈というのは、「大変な農漁村を都会が支援する」みたいな、弱い人に強い人から手を差し伸べるかのような文脈ですよね。僕はそこに上下関係をどうしても感じてしまうわけです。ところが、被災地の現場で実際に起こった「共感と参加」というのは、それとはまったく違う関係です。

 ただ、これは仕方のないことですが、被災地支援というものは次第に風化していく。被災地支援を越えて、日常的に生産者と消費者がどうすればつながり続けられのかということを考えた結果、こうした「食べる通信」というかたちにたどり着いたんです。

最初の食べもの付きの定期購読情報誌となった「東北食べる通信」(2013年7月創刊)。NPO法人・東北開墾(代表理事は高橋氏)が発行する月刊誌で、定期購読料は月額2580円。読者には情報誌と一緒に、掲載された旬の食材が毎月届けられる。1500部の限定発行。編集長も務める高橋氏は「これ以上部数を増やすと生産者と読者のコミュニケーションがとりにくくなる」と部数限定の意図を説明する。
[画像のクリックで拡大表示]
企画・運営
  • 日経BP総研


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

pickup

ページトップへ