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「地方創生」の順番は、まず個人、家族、コミュニティ、そして地方

アウトドアを軸に地方創生に挑む――スノーピーク山井太社長に聞く

渡辺 博則=日経BP総研 ビジョナリー経営研究所【2017.9.4】

キャンプがもたらす人間性の回復、その延長線上に「地方創生」が

――事業範囲も広がっていますが、スノーピークとしては、どのようなビジネスを目指しているのでしょうか。

 スノーピークがやっていることは、「人間性の回復」なんです。例えばファミリーキャンプをやって、そこにお父さん、お母さん、お子さん2人がいたとすると、4人とも人間性が回復される。

 まず自然の中で、一人ひとりのユニットで人間性が回復されるんです。さらに、家族の絆も深まります。普段の生活ではそんなに緊密なふれあいとか共同作業をすることはないんですが、家族でキャンプに行けば1日中ほぼずっと一緒にいます。テントを立てるところから、テーブル、椅子を並べてお料理を作るところまでをみんなでシェアする。原始的な人間としての行為を家族で共有して、原始的な交流、ふれあいができるので、ご家族の絆は非常に深まるわけです。

 さらに、そのキャンプでたまたまお隣になったご家族同志も、まず子ども同士が一緒に遊ぶようになって、夜になるとご飯おかずを作り過ぎたので差し入れしたりする。そうすると次の朝、むこうのご家族から差し入れ返しが来たりとか。キャンプ場では2泊3日、1泊2日のコミュニティができるわけです。

 家族の絆やコミュニティといった、現代の生活、高度な文明社会の中で失われてきたものが戻ってくる。そうしたことの延長線上に、地方創生もあると思っています。つまり、一人ひとり、家族、コミュニティ、そして地方という創生の順番です。

 スノーピークはキャンプ用品をつくって売っているメーカーなわけですけれど、本当は「人間性の回復」や「家族の幸せ」「コミュニティの復活」をつくっているわけです。ただ課金の仕方が、製品の販売という形になっているということなんです。

 先ほど申し上げましたように、スノーピークには30万世帯ぐらいの会員がいらっしゃるのですが、その半分ぐらいはコミュニティになっている。スノーピークはもちろん製品のブランドではあるのですが、コミュニティブランドともいわれています。東京、大阪など全然別のところに住んでいる会員同士が一緒にキャンプをしているようなこともあったりします。

 ブランドコミュニティの形成で有名なハーレーダビットソンは、ユーザーのコミュニティがあって、そこにリーダーがいて、土日に一緒にツーリングに行って、ハーレー乗り同志が仲よくなる。それと同じようなことが、スノーピークのユーザーの中でも起こっています。

スノーピーク自慢のキャンプ場「スノーピーク Headquartersキャンプフィールド」。新潟県三条市にある本社敷地内に整備した。「ここが理想的なキャンプ場」と山井社長。草地をそのまま買い取って社長自らがデザインした(写真:スノーピーク)
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――送客できる会員組織は自治体にとって魅力的です。自治体からの引き合いはさらに増えそうですね。

 今、私たちに声を掛けていただいている自治体は30ぐらいあって、今のところ、15くらいは連携できそうかなと考えています。ほかからもお声掛けがあれば、まずはお会いします。

 私は、地域の魅力に一番気づいてないのは、その地域の人間だといつも思っています。なので、私たちが仕事をお受けできるかどうかは別として、自然豊かなところは、一回呼んでいただければと思っています。アウトドア・パーソンから見た、その地域の魅力というのは、私たちの方がよく分かる。一度行けば「こんな感じかな」というコメントはできますし、実際行かないと分からないですから。

山井太(やまい・とおる)
スノーピーク 社長
山井太(やまい・とおる) 1959年新潟県三条市生まれ。明治大学を卒業後、外資系商社勤務を経て86年、父が創業したヤマコウ(現在のスノーピーク)に入社。アウトドア用品の開発に着手し、オートキャンプのブランドを築く。96年の社長就任と同時に社名をスノーピークに変更。自身が熱狂的なアウトドア愛好家で毎年30~60泊をキャンプで過ごす。著書に『スノーピーク 「好きなことだけ! 」を仕事にする経営』(日経BP、2014)。(写真=清水真帆呂)


■訂正履歴
初出時の3ページ目、新潟県十日町市の「大源寺キャンプ場」としていたのは、正しくは「大厳寺高原キャンプ場」。また、「3月末から営業してもらうように」は、正しくは「4月末から営業してもらうように」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2017/9/5/10:00]
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