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キーパーソン登場

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「好立地じゃなくても賑わいはつくれる」と、行政も気づき始めた

まちづくりの根本は「人が遊びて」――バルニバービ社長 佐藤裕久氏に聞く

渡辺博則=日経BPビジョナリー経営研究所【2017.1.18】

レストランやカフェなど飲食店の経営や運営企画などを手掛けるバルニバービは、ほかの飲食事業者が注目していなかった、好立地とはいえない場所に出店する「バッドロケーション戦略」を掲げて成長を続けている。こうした戦略は、中心市街地の空洞化や過疎化に悩む地方の自治体にとっても非常に魅力的。滋賀県草津市の「草津川跡地テナントミックス事業」での新規出店など、公民連携のプロジェクトも相次ぐ。なぜいま、地方自治体との連携プロジェクトが増えているのか、その成功の要因は何なのか。佐藤裕久社長に聞いた。

(写真=清水真帆呂)
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年間20万人の来店で、街が変わった

――バルニバービは、一般的な飲食業の観点では好立地ではないところに出店する「バッドロケーション戦略」に基づいてレストランやカフェなどを展開して、大きな成功を収めています。いま、地方の自治体と連携した取り組みも急速に増えているようですが、どのような状況なのでしょうか。

 自分の勝手な想像ですけど、行政の人が、大都市の人通りの多い場所でなくても「賑わい」はつくれるんだということに、やっと気づいてくれたのかなという感じですよね。

 もともと行政は基本的に横並びで、事例のないことはやらない、失敗しないというやり方ですよね。それは税金を使うわけですから仕方のない面があるんですけど、逆に僕らは前例がないものをやってきた。立地がいいとはいえない場所で、賑わいをつくってきたんです。「ひょっとしたら無駄になるかもしれないけど、もしもこの世に生まれたらワクワクするじゃないか」みたいなことをやるのは、僕ら民間の仕事だと思うんですね。

 そして、そうした民間の前例があれば、優秀な行政マンは分析して、やれるかどうか判断していける。ですからいまは、地方の行政がまちづくり、賑わいづくりをやろうとして、それを僕たちがお手伝いするという状況になってきているんだと思っています。

バルニバービが2017年春に飲食店(店名未定、ピッツェリア、トラットリア&カフェ)の出店を予定する、滋賀県草津市「草津川跡地テナントミックス事業」の店舗エリア完成イメージ。そのほか、2016年度の公民連携事業としては、奈良市観光センター機能強化整備およびサービス施設運営、名城公園(名古屋市)へのトラットリア・ピッツェリア・カフェの出店などが決まっている(画像:草津まちづくり)
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――どんな「前例」が行政の目を引くことになったんでしょうか。

 僕らの1号店は、大阪の南船場にある店で、21年ほど前の1995年12月に倉庫跡を改装して立ち上げたんですけど、この時、南船場という街は大阪の中で、忘れ去られた、さびれた街だったんですよ。午後6時を過ぎると本当に人影のないところでした。でも、歩いて10分で心斎橋の商店街に行けるんです。ところが御堂筋という大きな道の反対側で、みんなわざわざ暗がりには行きませんから、道は渡らない。そういう街だったんですけど、その店はものすごくはやって大行列ができました。その頃、テレビで「大阪の行列ができる店」となると、必ず紹介されていましたね。

バルニバービの1号店、大阪・南船場のレストラン「Hamac de Paradis(アマーク・ド・パラディ)」(全118席)。「自分たちでセメントをこね、ペンキを塗ってつくった」(佐藤社長)という(提供:バルニバービ)
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 なぜ南船場だったかというと、当時家賃が心斎橋の3分の1、保証金は定期借家契約の法律がなかったころで10分の1くらいだったんですよね。それに僕は、繁華街の中で店をやりたいとも思っていなかったから。ひしめき合ってやるよりも、静かにテラスで本を読んだり、お茶を飲んだりするのっていいよねと思っていた。そうしたことで、南船場が一つの選択肢でした。

 そして次に、南船場で僕らは「CAFÉ GARB」という店を始めました。このGARBは1998年5月のオープンなんですけど、累計で50億円以上売っています。一番ピークで年商4億5000万円。客単価はランチもやっていて大体2000円ちょっとなので、ざっと年間20万人が足を運んでくださったということになります。

 20万人の人が来ると、街が変わります。人の流れが変わって、南船場が一大商業地になったんですね。このGARBの取り組みが、中心市街地の空洞化や過疎といった問題の解決策として、行政の目に留まりはじめたんじゃないでしょうか。

超人気店となった南船場の「CAFÉ GARB」。全374席の大型店舗だ(提供:バルニバービ)
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――つまり、新たなまちづくりの手法としても評価され、行政との案件に道筋がついてきたと。

 まず行政より先に、行政に近いような機関、具体的に言うとJR西日本のような公共性の高い鉄道会社や財団・社団法人といったところから話が進みました。最初は、JR西日本の子会社のプロジェクトで、場所はJR天王寺駅の駐車場ビルです。そこに敷設義務のある駐輪場があったんですけど、一部使われてないところがあったんですね。7年間ずっと使われずにいて、そこを僕らが借りて、レストラン「monochrome」を2000年9月にオープンした。何も使われていなかった場所に僕らは16年間で数億円くらい家賃を払っていますから、オーナーとしてはうれしい限りですよね。

 そして、今から8年くらい前に、行政からの最初の話が来ました。来たのではなくて僕から聞きに行ってコンペに応募したんですけど、受け入れてくれたのが、大阪市でした。いわゆる官地の民間活用ですね。「あの公園を民間に使ってもらって家賃を取ったらいいじゃないか、市民は喜び、少なくとも周りの環境整備になるし、公園の清掃に使うくらいの家賃は払ってくれるよ」みたいなことだったと思います。それが第1号で、中之島公園の再整備基本計画の一環で公園利用を活性化させるサービス施設として、川沿いの一軒家でピッツェリア・トラットリア・カフェ「GARB weeks」を2010年6月にオープンしたんです。

行政との連携第1号となった「GARB weeks」。店内86席・テラス74席のピッツェリア・トラットリア・カフェ(提供:バルニバービ)
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企画・運営
  • 日経BP総研


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